2008.07.05 (Sat)
『アヒルと鴨のコインロッカー』
[著者]伊坂幸太郎
[出版社]東京創元社 創元推理文庫
[初版発行]2006年12月22日
[感想等]
大学入学のために引っ越してきた、僕こと椎名は、アパートの隣室に住む
河崎と名乗る男が広辞苑を強盗しに書店へ行くのを手伝う羽目になる。
その2年前、同じアパートでは、琴美という女性がブータン人の恋人・
ダルジと共に暮らし、ペット虐待死事件に巻き込まれていた。
その琴美の元恋人が河崎で・・・椎名は2年前の事件の結末に、
途中参加してしまったらしいのだが・・・?
椎名が語る現在進行形の出来事と、琴美の語る2年前の出来事が、
交互に語られ、両方に出て来る人物と出て来ない人物のその後も気になり、
2年前に起きたペット虐待死事件はどうなったのか、と、話に引き込まれて
いくような作品である。
2年後の椎名は、琴美の部分を知らずに現在を生きているので、
読者である私の方が、真相を知るのは先でなければならないはずなのに、
彼同様、肝心なことに気が付かずに、すっかり騙されてしまった。
もう一度読んでみて、伏線の張り方の巧妙さに気が付いたし、
構成の上手さに感心した。
現在を語る椎名という青年だけでなく、2年前の主人公・琴美や、
琴美の恋人のブータン人・ダルジ、元恋人の女たらしの河崎などの他、
脇役たち、琴美の仕事先のペットショップ店主・麗子などの登場人物たちも
かなり魅力的で、彼らの言動も、ウィットがあり、風刺もあり、興味深く、
青春ドラマとしても楽しめた。
そして、何より、ホロリとさせられるラストが良かったと思う。
なお、私は未見だが、この作品は映画化されている。
原作そのままに映像化してしまうと、私の騙された部分の面白さが
殺がれてしまうのではないかと思ったのだが、上手く処理したらしい。

[出版社]東京創元社 創元推理文庫
[初版発行]2006年12月22日
[感想等]
大学入学のために引っ越してきた、僕こと椎名は、アパートの隣室に住む
河崎と名乗る男が広辞苑を強盗しに書店へ行くのを手伝う羽目になる。
その2年前、同じアパートでは、琴美という女性がブータン人の恋人・
ダルジと共に暮らし、ペット虐待死事件に巻き込まれていた。
その琴美の元恋人が河崎で・・・椎名は2年前の事件の結末に、
途中参加してしまったらしいのだが・・・?
椎名が語る現在進行形の出来事と、琴美の語る2年前の出来事が、
交互に語られ、両方に出て来る人物と出て来ない人物のその後も気になり、
2年前に起きたペット虐待死事件はどうなったのか、と、話に引き込まれて
いくような作品である。
2年後の椎名は、琴美の部分を知らずに現在を生きているので、
読者である私の方が、真相を知るのは先でなければならないはずなのに、
彼同様、肝心なことに気が付かずに、すっかり騙されてしまった。
もう一度読んでみて、伏線の張り方の巧妙さに気が付いたし、
構成の上手さに感心した。
現在を語る椎名という青年だけでなく、2年前の主人公・琴美や、
琴美の恋人のブータン人・ダルジ、元恋人の女たらしの河崎などの他、
脇役たち、琴美の仕事先のペットショップ店主・麗子などの登場人物たちも
かなり魅力的で、彼らの言動も、ウィットがあり、風刺もあり、興味深く、
青春ドラマとしても楽しめた。
そして、何より、ホロリとさせられるラストが良かったと思う。
なお、私は未見だが、この作品は映画化されている。
原作そのままに映像化してしまうと、私の騙された部分の面白さが
殺がれてしまうのではないかと思ったのだが、上手く処理したらしい。

2008.06.29 (Sun)
『玻璃(はり)の天』
[著者]北村薫
[出版社]文藝春秋
[初版発行]2007年4月15日
[感想等]
昭和初期の上流階級を舞台にして、女子学習院に通うお嬢様・花村英子
(「わたし」)と女性運転手・別宮(べっく)みつ子(「ベッキーさん」)が
周囲で起きる不思議な出来事の謎を解明していく、シリーズ第2弾。
ステンドガラスの天窓を持つ屋敷での墜落死の謎を扱った表題作『玻璃の天』
の他、『幻の橋』、『想夫恋』の3篇を収録。
前作『街の灯』同様に、昭和初期の風俗や上流階級の様子、そして英子の
周囲で起きる事件の謎を解明していくミステリ部分が楽しめる作品である。
何といっても、英子はお嬢様だが庶民的な視点を持てる点が魅力的である。
今回は、英子の学友の恋愛がらみの『幻の橋』、『想夫恋』といった作品に
彼女の成長を感じると共に、舞台となっている昭和8年という時代に、
戦争の近づいてくる重苦しい雰囲気も感じられたし、
ベッキーさんの父の話が判る『玻璃の天』といった作品もあり、
前作より、内容は重い感じがした。
新聞の死亡広告が元で仲違いをした兄弟の孫同士が恋仲になる、
『ロミオとジュリエット』風の『幻の橋』も、なかなか面白かったが、
やはり、暗号を扱った『想夫恋』が面白いと思った。
特に、ウェブスターの『あしながおじさん』を媒介にして、英子が学友と
親しくなるというくだりが、個人的には楽しかった。
なお、ベッキーさんのベッキーは別宮という名前の響きからの連想で、
サッカレーの『虚栄の市』という小説の主人公であるベッキー・シャープ
という女性にちなんだ呼び名である。

<My Blog関連記事>『街の灯』
[出版社]文藝春秋
[初版発行]2007年4月15日
[感想等]
昭和初期の上流階級を舞台にして、女子学習院に通うお嬢様・花村英子
(「わたし」)と女性運転手・別宮(べっく)みつ子(「ベッキーさん」)が
周囲で起きる不思議な出来事の謎を解明していく、シリーズ第2弾。
ステンドガラスの天窓を持つ屋敷での墜落死の謎を扱った表題作『玻璃の天』
の他、『幻の橋』、『想夫恋』の3篇を収録。
前作『街の灯』同様に、昭和初期の風俗や上流階級の様子、そして英子の
周囲で起きる事件の謎を解明していくミステリ部分が楽しめる作品である。
何といっても、英子はお嬢様だが庶民的な視点を持てる点が魅力的である。
今回は、英子の学友の恋愛がらみの『幻の橋』、『想夫恋』といった作品に
彼女の成長を感じると共に、舞台となっている昭和8年という時代に、
戦争の近づいてくる重苦しい雰囲気も感じられたし、
ベッキーさんの父の話が判る『玻璃の天』といった作品もあり、
前作より、内容は重い感じがした。
新聞の死亡広告が元で仲違いをした兄弟の孫同士が恋仲になる、
『ロミオとジュリエット』風の『幻の橋』も、なかなか面白かったが、
やはり、暗号を扱った『想夫恋』が面白いと思った。
特に、ウェブスターの『あしながおじさん』を媒介にして、英子が学友と
親しくなるというくだりが、個人的には楽しかった。
なお、ベッキーさんのベッキーは別宮という名前の響きからの連想で、
サッカレーの『虚栄の市』という小説の主人公であるベッキー・シャープ
という女性にちなんだ呼び名である。

<My Blog関連記事>『街の灯』
2008.06.21 (Sat)
『謎ときシェイクスピア』
[著者]河合祥一郎
[出版社]新潮社 新潮選書
[初版発行]2008年3月25日
[感想等]
良く知られているように、シェイクスピアは、正体を巡って18世紀以来、
様々な「別人説」が唱えられている。
この作品は、別人説を検証したり、シェイクスピアに言及したとされる
著述の真偽を追求し、シェイクスピアの謎や正体を解こうとする著作である。
従来、様々な人が唱えた、フランシス・ベーコン、クリストファー・マーロウ、
第17代オックスフォード伯などのシェイクスピアの正体とされる人物を、
本書『謎ときシェイクスピア』では中扉に「主な登場人物」の欄を作り、
「別人候補」と称して、紹介しているのには、まず驚き、興味を抱いた。
そして、それらの説を検証していく過程は、期待にたがわずに、
ちょっとした歴史推理の面白さがあるのだが、作者が示す結論は、
残念ながら、新説でも珍説でもなく、順当な気がした。
だが、資料の解釈での曖昧さやご都合主義を指摘するだけでなく、
従来よりロバート・グリーンの『三文の知恵』という著作で
シェークスピアを揶揄したとされている「成り上がり者のカラス」という
表現に関して、作者が提示する疑問や結論はかなり鋭く感じられた。
(なお、1585年のストラットフォード・聖トリニティー教会の
ウィリアム・シェイクスピアという男の双子の洗礼記録以降、
記録が途絶えた7年後に、劇場関係者としてのシェークスピアが初めて
言及されるのが『三文の知恵』という著作である。
この著作は、正式名称は『百万の後悔によって購われた三文の知恵』
といい、著者ロバート・グリーンの自伝的パンフレットで、彼の死後、
友人のヘンリー・チェトルが1592年に出版している。
内容は、名指しでシェイクスピアを批判しているわけではないが、
シェイクスピアを揶揄したような表現が多く見られると解釈され、
シェイクスピアが中傷されるほどの名声を、この頃までにすでに
かちえていたとされる資料になっているものだそうだ。)
『謎ときシェイクスピア』(amazon.co.jp)
[出版社]新潮社 新潮選書
[初版発行]2008年3月25日
[感想等]
良く知られているように、シェイクスピアは、正体を巡って18世紀以来、
様々な「別人説」が唱えられている。
この作品は、別人説を検証したり、シェイクスピアに言及したとされる
著述の真偽を追求し、シェイクスピアの謎や正体を解こうとする著作である。
従来、様々な人が唱えた、フランシス・ベーコン、クリストファー・マーロウ、
第17代オックスフォード伯などのシェイクスピアの正体とされる人物を、
本書『謎ときシェイクスピア』では中扉に「主な登場人物」の欄を作り、
「別人候補」と称して、紹介しているのには、まず驚き、興味を抱いた。
そして、それらの説を検証していく過程は、期待にたがわずに、
ちょっとした歴史推理の面白さがあるのだが、作者が示す結論は、
残念ながら、新説でも珍説でもなく、順当な気がした。
だが、資料の解釈での曖昧さやご都合主義を指摘するだけでなく、
従来よりロバート・グリーンの『三文の知恵』という著作で
シェークスピアを揶揄したとされている「成り上がり者のカラス」という
表現に関して、作者が提示する疑問や結論はかなり鋭く感じられた。
(なお、1585年のストラットフォード・聖トリニティー教会の
ウィリアム・シェイクスピアという男の双子の洗礼記録以降、
記録が途絶えた7年後に、劇場関係者としてのシェークスピアが初めて
言及されるのが『三文の知恵』という著作である。
この著作は、正式名称は『百万の後悔によって購われた三文の知恵』
といい、著者ロバート・グリーンの自伝的パンフレットで、彼の死後、
友人のヘンリー・チェトルが1592年に出版している。
内容は、名指しでシェイクスピアを批判しているわけではないが、
シェイクスピアを揶揄したような表現が多く見られると解釈され、
シェイクスピアが中傷されるほどの名声を、この頃までにすでに
かちえていたとされる資料になっているものだそうだ。)
『謎ときシェイクスピア』(amazon.co.jp)
2008.06.15 (Sun)
『香菜里屋(かなりや)を知っていますか』
[著者]北森鴻
[出版社]講談社
[初版発行]2007年11月22日
[感想等]
ビアバー「香菜里屋」のマスター・工藤哲也が店に訪れる常連客の
様々な事件や謎をさりげなく解いていく、連作短編集の完結編。
工藤の過去などが次第に判ってきて、今までの連作の登場人物や
北森鴻作品ではお馴染みの登場人物達が登場する短編、
『ラストマティーニ』、『プレジール』、『背表紙の友』、
『終幕の風景』、『香菜里屋を知っていますか』の5編を収録。
今までの登場人物達が、結婚や転勤などで、次第に
ビアバー「香菜里屋」から離れて行ってしまうのと並行して、
マスター・工藤の古くからの友人でバー「香月」のマスター
香月圭吾(かづき けいご)の口から、次第に工藤の過去が
明らかになって行き、ラストの別れへと進んでいくという、
ビアバー「香菜里屋」ファンにはかなり寂しい作品集である。
もちろん、工藤の深い洞察力や優しい心遣いを感じるような、
心にしみる作品ばかりであるし、今までの作品に出てこなかった、
工藤の過去に何があったのか、どうして「香菜里屋」を始めたのか
という疑問の答えも、以前『花の下にて春死なむ』を読んで感じた
彼の人間性を損なうものでなく、ほっとした。
そして、ラストの書き下ろし『香菜里屋を知っていますか』に
もしかしたら、また、工藤哲也に会えるかもしれない、という
かすかな期待を抱かされたのも、悪くなかった。

<My Blog関連記事>『螢坂』
[出版社]講談社
[初版発行]2007年11月22日
[感想等]
ビアバー「香菜里屋」のマスター・工藤哲也が店に訪れる常連客の
様々な事件や謎をさりげなく解いていく、連作短編集の完結編。
工藤の過去などが次第に判ってきて、今までの連作の登場人物や
北森鴻作品ではお馴染みの登場人物達が登場する短編、
『ラストマティーニ』、『プレジール』、『背表紙の友』、
『終幕の風景』、『香菜里屋を知っていますか』の5編を収録。
今までの登場人物達が、結婚や転勤などで、次第に
ビアバー「香菜里屋」から離れて行ってしまうのと並行して、
マスター・工藤の古くからの友人でバー「香月」のマスター
香月圭吾(かづき けいご)の口から、次第に工藤の過去が
明らかになって行き、ラストの別れへと進んでいくという、
ビアバー「香菜里屋」ファンにはかなり寂しい作品集である。
もちろん、工藤の深い洞察力や優しい心遣いを感じるような、
心にしみる作品ばかりであるし、今までの作品に出てこなかった、
工藤の過去に何があったのか、どうして「香菜里屋」を始めたのか
という疑問の答えも、以前『花の下にて春死なむ』を読んで感じた
彼の人間性を損なうものでなく、ほっとした。
そして、ラストの書き下ろし『香菜里屋を知っていますか』に
もしかしたら、また、工藤哲也に会えるかもしれない、という
かすかな期待を抱かされたのも、悪くなかった。

<My Blog関連記事>『螢坂』
2008.06.14 (Sat)
『螢坂(ほたるざか)』
[著者]北森鴻
[出版社]講談社
[初版発行]2004年9月21日
[感想等]
ビアバー「香菜里屋」のマスター・工藤哲也が店に訪れる常連客の
様々な事件や謎をさりげなく解いていく、連作短編集第3弾。
『螢坂』、『猫に恩返し』、『雪待人』、『双貌』、『孤拳』の5編を収録。
前2作に引き続いてマスター・工藤の美味しそうな料理や持ち込まれる謎
への深い洞察や優しさ、気配りは健在である。
そして、工藤の過去も少しずつ示唆されているが、依然として謎めき、
持ち込まれる事件も、楽しいものよりも哀しいものが多いが、
工藤やビアバー「香菜里屋」に集う人々の善意に救われている。
表題作『螢坂』は、蛍のまつわるとても悲しい話である。
恋人を残し、日本を飛び出し戦場カメラマンをめざしたものの、挫折して、
田舎に帰った男・有坂祐二が久々に上京し、思い出の三軒茶屋で偶然に入った
ビアバー「香菜里屋」は別れた恋人・奈津実が、通っていた店だった。
そこで、恋人の友人・洋子に、彼女の結婚と死を知らされ、さらに、
奈津実との思い出の「螢坂」の真実をマスター・工藤の示唆から、
調べた洋子から知らされるという成り行きの中で、
知らなければ良かったではなく、知って良かったと思う、有坂の姿には
ほっとし、工藤の配慮や優しさも感じられたのが救いである。
個人的には、血の繋がらない、若くして病死した叔父「脩兄ィ」との
思い出の品である幻の焼酎「孤拳」を探す女性が、「香菜里屋」で
知った真実を描いた、『孤拳』が哀しくはあるが、心に残った。

<My Blog関連記事>『桜宵』
[出版社]講談社
[初版発行]2004年9月21日
[感想等]
ビアバー「香菜里屋」のマスター・工藤哲也が店に訪れる常連客の
様々な事件や謎をさりげなく解いていく、連作短編集第3弾。
『螢坂』、『猫に恩返し』、『雪待人』、『双貌』、『孤拳』の5編を収録。
前2作に引き続いてマスター・工藤の美味しそうな料理や持ち込まれる謎
への深い洞察や優しさ、気配りは健在である。
そして、工藤の過去も少しずつ示唆されているが、依然として謎めき、
持ち込まれる事件も、楽しいものよりも哀しいものが多いが、
工藤やビアバー「香菜里屋」に集う人々の善意に救われている。
表題作『螢坂』は、蛍のまつわるとても悲しい話である。
恋人を残し、日本を飛び出し戦場カメラマンをめざしたものの、挫折して、
田舎に帰った男・有坂祐二が久々に上京し、思い出の三軒茶屋で偶然に入った
ビアバー「香菜里屋」は別れた恋人・奈津実が、通っていた店だった。
そこで、恋人の友人・洋子に、彼女の結婚と死を知らされ、さらに、
奈津実との思い出の「螢坂」の真実をマスター・工藤の示唆から、
調べた洋子から知らされるという成り行きの中で、
知らなければ良かったではなく、知って良かったと思う、有坂の姿には
ほっとし、工藤の配慮や優しさも感じられたのが救いである。
個人的には、血の繋がらない、若くして病死した叔父「脩兄ィ」との
思い出の品である幻の焼酎「孤拳」を探す女性が、「香菜里屋」で
知った真実を描いた、『孤拳』が哀しくはあるが、心に残った。

<My Blog関連記事>『桜宵』
2008.06.08 (Sun)
『桜宵(さくらよい)』
[著者]北森鴻
[出版社]講談社
[初版発行]2003年4月15日
[感想等]
ビアバー「香菜里屋」のマスター・工藤哲也が店に訪れる常連客の
様々な事件や謎をさりげなく解いていく、連作短編集第2弾。
『十五周年』、『桜宵』、『犬のお告げ』、『旅人の真実』、
『約束』の5編を収録。
この作品は前作同様に、三軒茶屋のビヤバー「香菜里屋」の
謎めいたマスター・工藤が料理や気配り、そして客たちが抱える
謎をさりげなく解いてしまう冴えと優しさで、常連はもちろん、
初めて訪れた客をも虜にしてしまうという作品である。
作中に出てくる美味しそうな創作料理や、様々な薀蓄も
とても楽しく、酒飲みや美味しい料理好きにはたまらないかも。
前作を読んでいるほうが、もちろん、楽しめる点もあるが、
読んでいなくても、この一冊だけで充分、楽しめる作品である。
表題作『桜宵』は亡き妻の手紙に導かれて、ビアバー「香菜里屋」に
やってきた神崎に、マスター・工藤が送る妻からのプレゼントと謎解き。
「御衣黄(ごいこう)」という不思議な薄緑色の桜が関わる、
不倫の恋を妻が知っていたということを知らされ、驚く神崎に、
ラストで送られる妻の遺言によるプレゼントがとても粋で、
工藤の演出も優しく、洒落ている。
黄金のカクテルを求める客に、工藤が友人のカクテルバーを紹介する
『旅人の真実』は、ラストが悲しい幕切れの話である。
が、工藤の親友・香月圭吾(かづき けいご)が大きく関わり、
工藤の隠された過去や友人関係などを少し知ることが出来たのが、
良かった。
また、ラストの『約束』では、舞台が「香菜里屋」を離れて、
第1話『十五周年』で田舎・花巻に帰った常連客・日浦が
主人となった小料理店を訪れた工藤が謎解きをする
という趣向が変わっている一編。
舞台が変わっても工藤の料理や推理は冴えているのが、楽しめる。

<My Blog関連記事>『花の下にて春死なむ』
[出版社]講談社
[初版発行]2003年4月15日
[感想等]
ビアバー「香菜里屋」のマスター・工藤哲也が店に訪れる常連客の
様々な事件や謎をさりげなく解いていく、連作短編集第2弾。
『十五周年』、『桜宵』、『犬のお告げ』、『旅人の真実』、
『約束』の5編を収録。
この作品は前作同様に、三軒茶屋のビヤバー「香菜里屋」の
謎めいたマスター・工藤が料理や気配り、そして客たちが抱える
謎をさりげなく解いてしまう冴えと優しさで、常連はもちろん、
初めて訪れた客をも虜にしてしまうという作品である。
作中に出てくる美味しそうな創作料理や、様々な薀蓄も
とても楽しく、酒飲みや美味しい料理好きにはたまらないかも。
前作を読んでいるほうが、もちろん、楽しめる点もあるが、
読んでいなくても、この一冊だけで充分、楽しめる作品である。
表題作『桜宵』は亡き妻の手紙に導かれて、ビアバー「香菜里屋」に
やってきた神崎に、マスター・工藤が送る妻からのプレゼントと謎解き。
「御衣黄(ごいこう)」という不思議な薄緑色の桜が関わる、
不倫の恋を妻が知っていたということを知らされ、驚く神崎に、
ラストで送られる妻の遺言によるプレゼントがとても粋で、
工藤の演出も優しく、洒落ている。
黄金のカクテルを求める客に、工藤が友人のカクテルバーを紹介する
『旅人の真実』は、ラストが悲しい幕切れの話である。
が、工藤の親友・香月圭吾(かづき けいご)が大きく関わり、
工藤の隠された過去や友人関係などを少し知ることが出来たのが、
良かった。
また、ラストの『約束』では、舞台が「香菜里屋」を離れて、
第1話『十五周年』で田舎・花巻に帰った常連客・日浦が
主人となった小料理店を訪れた工藤が謎解きをする
という趣向が変わっている一編。
舞台が変わっても工藤の料理や推理は冴えているのが、楽しめる。

<My Blog関連記事>『花の下にて春死なむ』
2008.06.01 (Sun)
『心霊探偵 八雲4 守るべき想い』
[著者]神永学
[出版社]文芸社
[初版発行]2005年11月10日
[感想等]
生まれつきの「赤い瞳」で死者の魂を見る大学生・斉藤八雲。
その友人・小沢晴香が教育実習で訪れた小学校には、昔起きた
火事にまつわる少年の幽霊話があった。
その話を思い出させるような、小学校内で逃亡中の殺人犯が
死体で見つかる事件が起こる。その死体は左手首だけを残し、
骨まで完全に燃え尽きた状態の焼死体だったのだ・・・。
今回の最大の謎は、左手首だけを残した死体が何故出来たか?
であるが、それ以外にも、晴香が教育実習で担当したクラスに
八雲に似た雰囲気を持つ少年・真人がいて、
彼の抱えている問題を解決していくという点も重要であり、
八雲と晴香の関係の変化も興味深く感じられた。
私には最近読んだ『心霊探偵八雲 SECRET FILES 絆』の
伏線的な部分もあったので、その点も楽しかった。
(『心霊探偵八雲 SECRET FILES 絆』はこの後に
出版されているので、本来はこの作品から、先に読むべき
なのだろうが・・・。)

<My Blog関連記事>『心霊探偵八雲 SECRET FILES 絆』
[出版社]文芸社
[初版発行]2005年11月10日
[感想等]
生まれつきの「赤い瞳」で死者の魂を見る大学生・斉藤八雲。
その友人・小沢晴香が教育実習で訪れた小学校には、昔起きた
火事にまつわる少年の幽霊話があった。
その話を思い出させるような、小学校内で逃亡中の殺人犯が
死体で見つかる事件が起こる。その死体は左手首だけを残し、
骨まで完全に燃え尽きた状態の焼死体だったのだ・・・。
今回の最大の謎は、左手首だけを残した死体が何故出来たか?
であるが、それ以外にも、晴香が教育実習で担当したクラスに
八雲に似た雰囲気を持つ少年・真人がいて、
彼の抱えている問題を解決していくという点も重要であり、
八雲と晴香の関係の変化も興味深く感じられた。
私には最近読んだ『心霊探偵八雲 SECRET FILES 絆』の
伏線的な部分もあったので、その点も楽しかった。
(『心霊探偵八雲 SECRET FILES 絆』はこの後に
出版されているので、本来はこの作品から、先に読むべき
なのだろうが・・・。)
<My Blog関連記事>『心霊探偵八雲 SECRET FILES 絆』










