2008.06.28 (Sat)
『壁に書かれた預言』
[著者]ヴァル・マクダーミド
[訳者]宮内もと子
[出版社]集英社 集英社文庫
[初版発行]2008年2月25日
[感想等]
大学の女子トイレの壁に「恋人に虐待されている」と書かれた落書きへ
壁の書き込みで議論が続く。結局、「男と別れろ」と忠告した1人が、
虐待されている女性に会うことに・・・という表題作『壁に書かれた預言』
など、ラストに驚きが待っている19の短編を収録した短編集。
表題作は設定が面白いものの、最後にちょっと肩透かしを食う感じ。
その他の作品も、皮肉だったり、ユーモアたっぷりだったり、
人を食ったようなもの、恐ろしかったり、ほのぼのしたりと、
様々な味わいの作品だが、ラストのオチが効いていて、
面白いと思える作品が多かった。
個人的には、やって来たサンタを殺してしまったと思う少女と
その真相に、暖かい父性愛を感じる『サンタを殺した少女』は
とてもクリスマスらしい、心温まる作品で一番、気に入った。
また、愛人に車を盗まれた依頼人に対して、同じ女性として
盗んだ愛人に手助けをする解決を図った女私立探偵・ケイトを
描いた『疾走』の後味が良く、楽しかった。

[訳者]宮内もと子
[出版社]集英社 集英社文庫
[初版発行]2008年2月25日
[感想等]
大学の女子トイレの壁に「恋人に虐待されている」と書かれた落書きへ
壁の書き込みで議論が続く。結局、「男と別れろ」と忠告した1人が、
虐待されている女性に会うことに・・・という表題作『壁に書かれた預言』
など、ラストに驚きが待っている19の短編を収録した短編集。
表題作は設定が面白いものの、最後にちょっと肩透かしを食う感じ。
その他の作品も、皮肉だったり、ユーモアたっぷりだったり、
人を食ったようなもの、恐ろしかったり、ほのぼのしたりと、
様々な味わいの作品だが、ラストのオチが効いていて、
面白いと思える作品が多かった。
個人的には、やって来たサンタを殺してしまったと思う少女と
その真相に、暖かい父性愛を感じる『サンタを殺した少女』は
とてもクリスマスらしい、心温まる作品で一番、気に入った。
また、愛人に車を盗まれた依頼人に対して、同じ女性として
盗んだ愛人に手助けをする解決を図った女私立探偵・ケイトを
描いた『疾走』の後味が良く、楽しかった。

タグ : 読書 小説 感想 ヴァル・マクダーミド
2008.06.07 (Sat)
『妖怪変化 京極堂トリビュート』
[著者]あさのあつこ 西尾維新 原田真人 牧野修 柳家喬太郎
フジワラヨウコウ 松苗あけみ 諸星大二郎
[出版社]講談社
[初版発行]2007年12月13日
[感想等]
京極夏彦の作品世界をトリビュートしたパロディやマンガを集めた作品集。
収録作品は『鬼娘』(あさのあつこ)、『そっくり』(西尾維新)、
『「魍魎の匣」変化抄。』(原田眞人)、『朦朧記録』(牧野修)、
『粗忽の死神』(柳家喬太郎)、
『或ル挿絵画家ノ所有スル魍魎ノ函』(フジワラ ヨウコウ)、
『薔薇十字猫探偵社』(松苗あけみ)、『百鬼夜行イン』(諸星大二郎)。
意外と面白かったのは『そっくり』(西尾維新)。京極作品の人物は
出て来ないのだが、人間の認識の問題を扱っている作品で、京極作品の
雰囲気が出ているけど、独立した作品になっている点が良かった。
また、映画は観ていないが、映画版の『魍魎の匣』の監督・原田眞人の
脚本などの変遷や裏事情を描いた『「魍魎の匣」変化抄。』は
なかなか面白く、映画を観た人には、もっと楽しめるかもしれない。
京極作品の登場人物が登場するようなパスティシュ的作品
『鬼娘』(あさのあつこ)、『朦朧記録』(牧野修)や
少女マンガ的美青年な榎木津も登場してくる、少女マンガ作品、
『薔薇十字猫探偵社』(松苗あけみ)などは、悪くは無かったが、
それ程、発想や内容が目新しくもない感じがした。
その他、死神が出て来る落語的作品『粗忽の死神』(柳家喬太郎)と、
イラスト『或ル挿絵画家ノ所有スル魍魎ノ函』(フジワラ ヨウコウ)、
マンガ『百鬼夜行イン』(諸星大二郎)は、怪奇的なものなどを扱い、
各々の作品自体は充分に面白いのだが、わざわざ「京極堂トリビュート」
として収録するような作品ではないのではないのでは、と感じた。

フジワラヨウコウ 松苗あけみ 諸星大二郎
[出版社]講談社
[初版発行]2007年12月13日
[感想等]
京極夏彦の作品世界をトリビュートしたパロディやマンガを集めた作品集。
収録作品は『鬼娘』(あさのあつこ)、『そっくり』(西尾維新)、
『「魍魎の匣」変化抄。』(原田眞人)、『朦朧記録』(牧野修)、
『粗忽の死神』(柳家喬太郎)、
『或ル挿絵画家ノ所有スル魍魎ノ函』(フジワラ ヨウコウ)、
『薔薇十字猫探偵社』(松苗あけみ)、『百鬼夜行イン』(諸星大二郎)。
意外と面白かったのは『そっくり』(西尾維新)。京極作品の人物は
出て来ないのだが、人間の認識の問題を扱っている作品で、京極作品の
雰囲気が出ているけど、独立した作品になっている点が良かった。
また、映画は観ていないが、映画版の『魍魎の匣』の監督・原田眞人の
脚本などの変遷や裏事情を描いた『「魍魎の匣」変化抄。』は
なかなか面白く、映画を観た人には、もっと楽しめるかもしれない。
京極作品の登場人物が登場するようなパスティシュ的作品
『鬼娘』(あさのあつこ)、『朦朧記録』(牧野修)や
少女マンガ的美青年な榎木津も登場してくる、少女マンガ作品、
『薔薇十字猫探偵社』(松苗あけみ)などは、悪くは無かったが、
それ程、発想や内容が目新しくもない感じがした。
その他、死神が出て来る落語的作品『粗忽の死神』(柳家喬太郎)と、
イラスト『或ル挿絵画家ノ所有スル魍魎ノ函』(フジワラ ヨウコウ)、
マンガ『百鬼夜行イン』(諸星大二郎)は、怪奇的なものなどを扱い、
各々の作品自体は充分に面白いのだが、わざわざ「京極堂トリビュート」
として収録するような作品ではないのではないのでは、と感じた。

2008.05.31 (Sat)
『つるべ心中の怪 塙保己一推理帖』
[著者]中津文彦
[出版社]光文社
[初版発行]2008年1月25日
[感想等]
江戸時代の「群書類従(ぐんしょるいじゅう)」の編纂で有名な
塙保己一(はなわほきいち)が探偵役として周囲の人達に関わる事件や
謎を解く連作推理時代小説集の第3作目。
『つるべ心中の怪』、『赤とんぼ北の空』、『夏の宵、砕け星』の
3作品を収録している。
盲人である塙保己一が周囲の人々から得た情報を元にして、
不思議な事件の謎を説くという、『塙保己一推理帖』の第3弾であるが、
前2作を読まなくても、楽しめる作品になっている。
この作品の時代は、妻・たせ子の死、愛人イヨの息子・熊三郎出産、
友人・大田南畝(蜀山人)の長崎行き、作業場・温古堂の移転など、
老年に近づいた保己一に、悲喜交々な出来事が起こった時代である。
そして、表題作『つるべ心中の怪』で前妻の娘・登勢に
金十郎という婿を迎えるという喜ばしい出来事が起きたので、
金十郎が調査に動き回る展開が多くなったようにも感じられたが、
保己一の推理は相変わらず、鋭いと思った。
特に良かったのは、やはり、表題作『つるべ心中の怪』である。
病に伏して、宴に参加できない妻・たせ子の代わりに、
登勢と金十郎の婚儀の厨の采配を奮った札差の未亡人の女店主が
手代とつるべ心中した事件を巡る話である。
何人も妻や愛人のいる保己一らしい、女心の理解から、
心中ではなく、殺人である疑いを持ち、周囲に調べさせる点や
つるべ心中という、あまり聞いたことの無かった心中方法などが
面白く感じられた。
なお、つるべ心中とは、家の欄間に紐をかけて両端に輪を作り、
二人で同時に首を吊って果てる相対死にのことを称している。

<My Blog関連記事>『移り香の秘密 塙保己一推理帖』
[出版社]光文社
[初版発行]2008年1月25日
[感想等]
江戸時代の「群書類従(ぐんしょるいじゅう)」の編纂で有名な
塙保己一(はなわほきいち)が探偵役として周囲の人達に関わる事件や
謎を解く連作推理時代小説集の第3作目。
『つるべ心中の怪』、『赤とんぼ北の空』、『夏の宵、砕け星』の
3作品を収録している。
盲人である塙保己一が周囲の人々から得た情報を元にして、
不思議な事件の謎を説くという、『塙保己一推理帖』の第3弾であるが、
前2作を読まなくても、楽しめる作品になっている。
この作品の時代は、妻・たせ子の死、愛人イヨの息子・熊三郎出産、
友人・大田南畝(蜀山人)の長崎行き、作業場・温古堂の移転など、
老年に近づいた保己一に、悲喜交々な出来事が起こった時代である。
そして、表題作『つるべ心中の怪』で前妻の娘・登勢に
金十郎という婿を迎えるという喜ばしい出来事が起きたので、
金十郎が調査に動き回る展開が多くなったようにも感じられたが、
保己一の推理は相変わらず、鋭いと思った。
特に良かったのは、やはり、表題作『つるべ心中の怪』である。
病に伏して、宴に参加できない妻・たせ子の代わりに、
登勢と金十郎の婚儀の厨の采配を奮った札差の未亡人の女店主が
手代とつるべ心中した事件を巡る話である。
何人も妻や愛人のいる保己一らしい、女心の理解から、
心中ではなく、殺人である疑いを持ち、周囲に調べさせる点や
つるべ心中という、あまり聞いたことの無かった心中方法などが
面白く感じられた。
なお、つるべ心中とは、家の欄間に紐をかけて両端に輪を作り、
二人で同時に首を吊って果てる相対死にのことを称している。

<My Blog関連記事>『移り香の秘密 塙保己一推理帖』
2008.05.25 (Sun)
『天国からの銃弾』
[著者]島田荘司
[出版社]光文社 光文社文庫
[初版発行]1995年10月20日
[感想等]
富士を背景にソープランドの屋上に立つ自由の女神像に魅せられ、
写真を撮り続けていた平穏な隠居生活を送る男。
ある日、彼は女神の眼が赤く光る瞬間があるのに気付き、
その話を息子に教えた。息子も興味を持ってくれたようだったが、
そのすぐ後に、ソープランドのビルの屋上で息子が死んでいるのが
発見されて・・・という表題作『天国からの銃弾』の他に、
『ドアX』『首都高速の亡霊』を収録した作品集。
表題作『天国からの銃弾』は、話が意外な方向に行き過ぎた感じで、
自由の女神像の眼が赤く光るという謎解きの面白さが減じてしまい、
いまひとつに感じられたのが残念である。
『ドアX』は幻想的な雰囲気の漂う、不思議な感じの話で、
過去の幻想の中に生きる女性が、ドアに関わる事件が起き、
現実に目覚めるという点が興味深く感じられた。
『首都高速の亡霊』は、思いがけないことで人を殺した
と思った女性が、その死体を始末しようとする話で、
その右往左往する様子や感情の推移が面白く、
実際に殺人計画を実行した男の因果応報的なオチは
少々出来すぎだったものの、楽しめた。

[出版社]光文社 光文社文庫
[初版発行]1995年10月20日
[感想等]
富士を背景にソープランドの屋上に立つ自由の女神像に魅せられ、
写真を撮り続けていた平穏な隠居生活を送る男。
ある日、彼は女神の眼が赤く光る瞬間があるのに気付き、
その話を息子に教えた。息子も興味を持ってくれたようだったが、
そのすぐ後に、ソープランドのビルの屋上で息子が死んでいるのが
発見されて・・・という表題作『天国からの銃弾』の他に、
『ドアX』『首都高速の亡霊』を収録した作品集。
表題作『天国からの銃弾』は、話が意外な方向に行き過ぎた感じで、
自由の女神像の眼が赤く光るという謎解きの面白さが減じてしまい、
いまひとつに感じられたのが残念である。
『ドアX』は幻想的な雰囲気の漂う、不思議な感じの話で、
過去の幻想の中に生きる女性が、ドアに関わる事件が起き、
現実に目覚めるという点が興味深く感じられた。
『首都高速の亡霊』は、思いがけないことで人を殺した
と思った女性が、その死体を始末しようとする話で、
その右往左往する様子や感情の推移が面白く、
実際に殺人計画を実行した男の因果応報的なオチは
少々出来すぎだったものの、楽しめた。

2008.05.11 (Sun)
『光る鶴 吉敷竹史シリーズ16』
[著者]島田荘司
[出版社]光文社 光文社文庫
[初版発行]2006年9月20日
[感想等]
2002年11月刊の『吉敷竹史の肖像』(カッパ・ノベルス)より、
『光る鶴』と『吉敷竹史、十八歳の肖像』を再録し、書き下ろし作品の
『電車最中』を加えた作品集。
表題作『光る鶴』は、捜査一課の吉敷竹史が、罪を犯したが更生した
藤波という男の葬儀で九州・久留米市へ行き、藤波の知り合いの青年から
義父・昭島義明の事件の再審への協力を頼まれる。「昭島事件」は
26年前、3人の女性を殺害された事件で、昭島義明が加害者として、
死刑判決が下っていた。冤罪を主張する青年と藤波への情から、
事件を見直す吉敷竹史が、見つけた証拠と、事件の真実とは?
冤罪で捕まっているらしい男・昭島義明は自分の無罪を主張しない
という点が、なかなか興味深い設定である。
当然、誰かを庇っていることや庇っている相手も、
すぐに察しが付いてしまうのが欠点ではあるのだが、
偏見と時間の壁に阻まれつつ、「光る鶴」という証拠から、
犯人ではない事実を見つけ出す過程が、面白く出来ていると感じた。
だが、この作品は、実際の事件「秋好英明事件」を元にしていて、
冤罪を晴らせた話にしたという解説を読み、興ざめしてしまった。
「光る鶴」は作者の創造だそうで、それが印象的なのが救いだが。
後の2編では、吉敷はあまり登場せず、大きなトリックも無いのだが、
留井十兵衛刑事という主人公のキャラクターと、地味な捜査が実るという
実際にありそうな話の『電車最中』がなかなか良かった。

[出版社]光文社 光文社文庫
[初版発行]2006年9月20日
[感想等]
2002年11月刊の『吉敷竹史の肖像』(カッパ・ノベルス)より、
『光る鶴』と『吉敷竹史、十八歳の肖像』を再録し、書き下ろし作品の
『電車最中』を加えた作品集。
表題作『光る鶴』は、捜査一課の吉敷竹史が、罪を犯したが更生した
藤波という男の葬儀で九州・久留米市へ行き、藤波の知り合いの青年から
義父・昭島義明の事件の再審への協力を頼まれる。「昭島事件」は
26年前、3人の女性を殺害された事件で、昭島義明が加害者として、
死刑判決が下っていた。冤罪を主張する青年と藤波への情から、
事件を見直す吉敷竹史が、見つけた証拠と、事件の真実とは?
冤罪で捕まっているらしい男・昭島義明は自分の無罪を主張しない
という点が、なかなか興味深い設定である。
当然、誰かを庇っていることや庇っている相手も、
すぐに察しが付いてしまうのが欠点ではあるのだが、
偏見と時間の壁に阻まれつつ、「光る鶴」という証拠から、
犯人ではない事実を見つけ出す過程が、面白く出来ていると感じた。
だが、この作品は、実際の事件「秋好英明事件」を元にしていて、
冤罪を晴らせた話にしたという解説を読み、興ざめしてしまった。
「光る鶴」は作者の創造だそうで、それが印象的なのが救いだが。
後の2編では、吉敷はあまり登場せず、大きなトリックも無いのだが、
留井十兵衛刑事という主人公のキャラクターと、地味な捜査が実るという
実際にありそうな話の『電車最中』がなかなか良かった。

2008.05.04 (Sun)
『毒草師』
[著者]高田崇史
[出版社]幻冬舎
[初版発行]2007年4月25日
[感想等]
QEDシリーズでお馴染みの毒草師・御名形史紋(みなかたしもん)が
探偵役として、東京の旧家・鬼田山家の密室で起こった不可解な失踪と
毒殺事件を解決する。
鬼田山家では先々代当主・俊春が一つ目の子山羊を殺して以来、
「一つ目の鬼を見た」と言い残し、内側から鍵をかけて離れに閉じこもり、
そのまま姿を消してしまう事件が続いていた。
そして、ついには長男・柊也が、自室で何者かに毒殺されてしまう。
警察の捜査が行き詰ってしまったその事件の話を、隣人の西田から聞き、
御名形史紋(みなかたしもん)が『伊勢物語』になぞらえ、解決へと導く。
QEDシリーズの不気味な毒草師・御名形史紋が登場するのだが、
多分、QEDシリーズを知らなくても、充分理解できる作品だと思う。
その反面、シリーズの登場人物も活躍することを期待するような
QEDシリーズのファンには少々期待ハズレかもしれない。
しかし、QEDシリーズ同様、実際の事件を暗示するような作品、
古典『伊勢物語』の解釈があるので、私は不満は感じなかった。
そして、何よりも、主役の青年・西田の人の良いキャラクターに、
毒草師・御名形史紋も単に嫌味な奴ではない面を見せてくれるし、
まずまず楽しめた。
が、離れを密室にしたり、複雑な家族関係が事件の鍵を握ったり、
やたら消息不明者が出たりといった、今時こんな事件が?とか、
主要な登場人物が他の人間に成りすますなどのアンフェアではないか
と思わせるミステリ設定は、いまひとつに感じられたのが惜しい。

<My Blog関連記事>『QED〜flumen〜 九段坂の春』
[出版社]幻冬舎
[初版発行]2007年4月25日
[感想等]
QEDシリーズでお馴染みの毒草師・御名形史紋(みなかたしもん)が
探偵役として、東京の旧家・鬼田山家の密室で起こった不可解な失踪と
毒殺事件を解決する。
鬼田山家では先々代当主・俊春が一つ目の子山羊を殺して以来、
「一つ目の鬼を見た」と言い残し、内側から鍵をかけて離れに閉じこもり、
そのまま姿を消してしまう事件が続いていた。
そして、ついには長男・柊也が、自室で何者かに毒殺されてしまう。
警察の捜査が行き詰ってしまったその事件の話を、隣人の西田から聞き、
御名形史紋(みなかたしもん)が『伊勢物語』になぞらえ、解決へと導く。
QEDシリーズの不気味な毒草師・御名形史紋が登場するのだが、
多分、QEDシリーズを知らなくても、充分理解できる作品だと思う。
その反面、シリーズの登場人物も活躍することを期待するような
QEDシリーズのファンには少々期待ハズレかもしれない。
しかし、QEDシリーズ同様、実際の事件を暗示するような作品、
古典『伊勢物語』の解釈があるので、私は不満は感じなかった。
そして、何よりも、主役の青年・西田の人の良いキャラクターに、
毒草師・御名形史紋も単に嫌味な奴ではない面を見せてくれるし、
まずまず楽しめた。
が、離れを密室にしたり、複雑な家族関係が事件の鍵を握ったり、
やたら消息不明者が出たりといった、今時こんな事件が?とか、
主要な登場人物が他の人間に成りすますなどのアンフェアではないか
と思わせるミステリ設定は、いまひとつに感じられたのが惜しい。

<My Blog関連記事>『QED〜flumen〜 九段坂の春』
2008.04.26 (Sat)
『京都祇園迷宮事件』
[著者]海月ルイ
[出版社]徳間書店 トクマ・ノベルズ
[初版発行]2005年1月10日
[感想等]
東京からやってきて、京都・祇園のお茶屋「北尾」に住み込んでいる、
フリーライター・夏目潤子は祇園の記事を書きながら、祇園特有のしきたりに
驚いたり、戸惑う日々を送っている。
ある日、「北尾」仕込みの見習い舞妓・美代鶴と潤子は
お座敷に向かおうする途中で、全身を刺されて死んでいる男を発見する。
その男は前夜「北尾」の座敷で騒いでいた客の1人で、AVビデオ製作
会社の社長・下村だと判る。
事件を調べ始めた潤子は彼と一緒だった男達が次々と殺され、
死体となって発見されていく事件に遭遇することに・・・・。
事件の背景などかなり酷い話で、犯人や協力者に同情は覚える。
が、京都の祇園という特殊な世界での犯行方法や犯行の隠匿などが、
まるでミステリドラマ風な非現実的な感を抱かせるストーリーであり、
犯人も共犯者も途中で察しが付いてしまった。
また、ラストも余韻はあるが、いまひとつ、解決した感じが薄い。
けれども、祇園のしきたりや舞妓になる少女や舞妓を支える人々の
描き方が良く、祇園の外の人間の潤子の視点で説明されるので、
あまり知らない私でも、祇園の事情が判りやすいし、
祇園の特殊な雰囲気を感じることが出来た点は、面白く感じられた。

[出版社]徳間書店 トクマ・ノベルズ
[初版発行]2005年1月10日
[感想等]
東京からやってきて、京都・祇園のお茶屋「北尾」に住み込んでいる、
フリーライター・夏目潤子は祇園の記事を書きながら、祇園特有のしきたりに
驚いたり、戸惑う日々を送っている。
ある日、「北尾」仕込みの見習い舞妓・美代鶴と潤子は
お座敷に向かおうする途中で、全身を刺されて死んでいる男を発見する。
その男は前夜「北尾」の座敷で騒いでいた客の1人で、AVビデオ製作
会社の社長・下村だと判る。
事件を調べ始めた潤子は彼と一緒だった男達が次々と殺され、
死体となって発見されていく事件に遭遇することに・・・・。
事件の背景などかなり酷い話で、犯人や協力者に同情は覚える。
が、京都の祇園という特殊な世界での犯行方法や犯行の隠匿などが、
まるでミステリドラマ風な非現実的な感を抱かせるストーリーであり、
犯人も共犯者も途中で察しが付いてしまった。
また、ラストも余韻はあるが、いまひとつ、解決した感じが薄い。
けれども、祇園のしきたりや舞妓になる少女や舞妓を支える人々の
描き方が良く、祇園の外の人間の潤子の視点で説明されるので、
あまり知らない私でも、祇園の事情が判りやすいし、
祇園の特殊な雰囲気を感じることが出来た点は、面白く感じられた。











