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2005.08.27 (Sat)

『富士山大噴火』

[著者]鯨統一郎
[出版社]講談社
[初版発行]2004年3月10日

[感想等]
 近年、富士山の噴火が話題になることが多いが、
この作品は、富士山が噴火したという架空の物語である。

 架空なのだが、地震予知や噴火予知などの話から、
実際の噴火の様子など、リアルに感じられた。
 特に、学者が在野の研究者の新奇な説などは
無視していたのに、結局、在野の予知の方が正確だ
という点など、皮肉が利いてて良かった。
 また、富士山の噴火のいきさつだけでなく、
恐竜が滅びたわけの新説が語られるのだが、
それもなかなか興味深く感じられた。
 
 なお、この作品の主人公は
『北京原人の日』 の山本達也と天堂さゆりの二人で、
今回は殺人事件といった犯罪の謎解きは無いものの、
達也の軽薄さが感じられなかったのが良く、
二人のその後が判ったのが、ちょっと嬉しく思えた。


富士山大噴火


<My Blog関連記事>『北京原人の日』

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2005.08.21 (Sun)

『横浜・山手の出来事』

[著者]徳岡孝夫
[出版社]双葉社 双葉文庫 日本推理作家協会賞受賞作全集66
[初版発行]2005年6月20日

[感想等]
 1896(明治29)年に横浜の外国人居留地で起こった、
英国人・カリュー氏の死亡事件で、その夫人が殺人犯として
有罪となった事件を裁判記録や、現代の英国での調査で
見つかった資料から明らかにするノンフェクション。 

 砒素による夫の毒殺容疑で拘束・裁判にかけられたのだが
28歳という若い名門出身の女性ということと、
女家庭教師によって病死と思われた死が殺人と告発されたことや、
裁判中に謎の夫の元愛人や、妻の不倫相手などが登場し、
当時の横浜の外国人社会ではセンセーショナルな事件となったのだが、
当時は治外法権で外国人社会内で裁かれていたせいか、
初めて聞く事件として、裁判の成り行きも推理ドラマ風で興味深かった。

 現在なら、証人達の二転三転する内容の不充分な証言など、
状況証拠だけなので、夫人を有罪にするのは難しいと思われる事件だが、
法廷で証拠品の不倫の相手の手紙を隠そうとし心証を損ねたのか、
夫人は絞首刑の判決を受けたというのが、哀れだと思われたりした。

 何より、国内で手に入れた裁判記録だけで満足しなかった著者の
英国での事件に関する調査が、好適な助手に恵まれたことで、
カリュー夫人やカリュー氏の家系と婚姻や死亡の記録や、
カリュー夫人を含む一家の日本での写真や
家庭教師の素性や裁判で問題になった夫の元愛人らしい人物の発掘、
夫人のその後など、様々な事実を加えたドキュメンタリー場面が、
単なる古資料の発掘というだけでない、現実の面白さを感じさせ
とても良かったと思う。

 なお、著者の調査によると、カリュー夫人は終身刑に減刑され、
英国の身内の懇願で香港の植民地刑務所から本国へ移され、
さらには恩赦で1910年に刑務所を出て、90歳まで生きたそうだ。


横浜・山手の出来事

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2005.08.20 (Sat)

『探偵大杉栄の正月』

[著者]典厩五郎
[出版社]早川書房 ハヤカワ・ミステリワールド
[初版発行]2003年10月10日

[感想等]
 大逆事件のあった明治末年に東京で発生した架空の事件
(ペスト菌による予告無差別テロと大会社の社長夫人失踪)に
大杉栄が探偵という形で関わったとするミステリ。

 実在の有名人が沢山出てくるし、時代の雰囲気を感じさせて
実際にこんな事件が発生していてもおかしくないと思わせられ、
事件解決の鍵に明治の文学作品が関わる点が良かったと思う。
 それ以外にも竹久夢二と社会主義や赤旗事件の解釈などが
興味深く感じられた。
 が、何よりも、実際にはありえなかっただろうと思うのだが、
小林正子(後の松井須摩子)と大杉栄が行動を共にする設定が
なかなか面白かった。


探偵大杉栄の正月

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2005.08.17 (Wed)

『Dの複合』

[著者]松本清張
[出版社]新潮社 新潮文庫
[初版発行]昭和48年12月25日

[感想等]
 小説家・伊瀬忠隆(いせただたか)が旅行雑誌『草枕』に
依頼された紀行文「僻地に伝説をさぐる旅」の為、
編集者・浜中三夫(はまなかみつお)と共にまわった途中、
木津(きつ)温泉で警察の死体捜査に遭遇する。
 それは、死体を埋めたという投書による捜査だったのだが、
浜中の要望でその事件を紀行文に加えたことから、
様々な事件が発生していく・・・というミステリ。

 緯度と経度の接点に関わる過去の事件に、
浦島や羽衣伝説といった仙境淹留(えんりゅう)説に
関する民族説話の解釈が絡み、
過去の出来事から発生したらしい現代の殺人事件の謎解きが
なされていくという点が、趣深い作品だと感じさせられた。

 なお、タイトルの『Dの複合』とは、
「北緯35度、東経135度を英語で書くと
North Latitude 35 degrees, East Longitude 135 degrees
となり四つのDが含まれ、さらには、緯度・経度は
地球をタテヨコに二つに割っている形からして、
D形の組み合わせになっている」
ということに基づく。


Dの複合


<My Blog関連記事>松本清張短篇全集

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2005.08.14 (Sun)

『神のロジック 人間(ひと)のマジック』

[著者]西澤保彦
[出版社]文藝春秋 本格ミステリ・マスターズ
[初版発行]2003年5月30日

[感想等]
 外界から隔絶された「学校(ファシリティ)」に集められた
10歳から12歳までの6人の少年少女達。主人公の日本人少年、
マモルこと御子神衛(みこがみまもる)以外は外国の子供達である。
 新入生の加入&脱走から、平穏だった学校生活に、
生徒が殺害されるという事件が発生し、ラストで、
意外な犯人や学校の正体などが判るというストーリー展開。

 テストの点数でお小遣いが貰え、それで自動販売機で
お菓子や清涼飲料水などを買うことが出来るが、
普段の食事は味のないような柔らかいまずいものだったり、
自由課題と称して、推理問題的な人物設定と謎を与えられ、
その人物になりきって謎を解くなどのゲームをしているのが
非現実的な夢の世界っぽい雰囲気を感じさせられたものの、
マモルは日仏ハーフのステラ以外とは日本語では話せない状態ながら、
英語も上達し周囲の状況になじんでいる様子で、
その他の少年少女達の知能の高さなどを非常に感じたので、
私もこの学校は天才児を集めた実験施設なのだと思っていたのだが、
ラストの意外な事実に愕かされた。

 読後に、現実と虚構、自分か感じているものと客観的な現実との差に関して
考えさせられる話だった。


神のロジック 人間(ひと)のマジック

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2005.08.12 (Fri)

『僧正の積木唄』

[著者]山田正紀
[出版社]文藝春秋 本格ミステリ・マスターズ
[初版発行]2002年8月30日

[感想等]
 1930年代の排日感情が強まりつつあったサンフランシスコで、
『僧正殺人事件』(S・S・ヴァン・ダイン作)の関係者の一人が殺され、
犯人と擬せられた日本人を救おうとするのが若き日の金田一耕助という、
ヴァン・ダインや横溝正史の作品を元にしたミステリ。

 起こる事件は当時のアメリカにおける日系人社会を舞台にして、
興味深い様相を見せる事件や犯人であったが、
『僧正殺人事件』の名探偵ファイロ・ヴァンスの推理は実は間違いで、
別に真犯人が居たという解釈がされる点や
『本陣殺人事件』前のアメリカ放浪時代の金田一耕助の様子なども
楽しめるような作品になっている。

 もっとも、『僧正殺人事件』に関する部分は、
私は『僧正殺人事件』を以前に読んでいるはずなのだが、
あまり好きではない作品だったらしく、印象に残っていないので、
原作の雰囲気を損ねていないかなどは、コメントできない。
 が、金田一耕助の言動や様子などは横溝正史作品の雰囲気を損ねていず、
若い日にこんな冒険もしていただろうと充分思わせられた。


僧正の積木唄

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2005.08.10 (Wed)

『クラインの壷』

[著者]岡嶋二人
[出版社]講談社 講談社文庫
[初版発行]2005年3月15日

[感想等]
 200万円でゲームブックの原作の著作権使用契約を
謎の企業イプシロン・プロジェクトへ売却した上杉彰彦は
アルバイトとして雇われた美少女・梨紗と一緒に、
ゲームのヴァーチャルリアリティ・システム「クライン2」の
開発に関わることになり、「クライン2」のテスト・ゲーマーとして
自分の原作のゲームの世界に入りこむことになる。

 急に梨紗がアルバイトを辞めて失踪してしまい、
梨紗の友人・七美と共に、企業の謎と梨紗の行方を
探すこととなるという点などはミステリらしいのだが、
「クライン2」でのゲーム場面などでSF的な雰囲気の強い作品である。

 初めて単行本として発表されたのが1989年だそうだが、
当時はヴァーチャルリアリティという概念は斬新だっただろうに、
現在のゲームに関しての作品と言われても通じてしまいそうに
古びていなくて、良く出来ているように思えた。
 が、その分、ミステリという面ではちょっと物足りない感じがした。


クラインの壷

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2005.08.06 (Sat)

『QED~ventus~ 鎌倉の闇』

[著者]高田崇史
[出版社]講談社 講談社ノベルス
[初版発行]2004年8月5日

[感想等]
 QEDシリーズの第8作目。
 棚旗奈々が妹・沙織の鎌倉のガイドブック作成のための
取材に同行し、桑原祟による鎌倉の名所の解説で、
鎌倉や源三代の歴史の知られざる謎の答えを知り、
それに絡んで、祟の友人・小松崎の持ち込んだ社長失踪事件の
祟による推理を聞かされるというストーリー。

 今回は、鎌倉の名所の解説を楽しみながら、
「鎌倉」イコール「屍蔵(かばねくら)」という祟の説や、
鎌倉党と源氏の関係などの様々な歴史の解釈がなされるのが
非常に良かった。
 ただし、現実の社長の失踪事件に関しては、
源頼朝という人物像の祟による解釈で解ける点などは面白かったが、
事件としては斬新ではなかった感じがしないでもない。

 タイトルの「ventus(ヴェンタス)」とは風のことだそうで、
ラスト近くで、奈々が「歴史というのは風のようだ。
結局は我々の意図とは無関係に大空を流れていく・・・。」
と思う場面で、とても印象に残る言葉となっていた。


QED~ventus~ 鎌倉の闇


<My Blog関連記事>『QED 百人一首の呪(しゅ)』

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2005.08.05 (Fri)

『本格ミステリ04 2004年度本格短編ベスト・セレクション』

[編者]本格ミステリ作家クラブ
[著者]横山秀夫 他
[出版社]講談社 講談社ノベルス
[初版発行]2004年6月5日

[感想等]
 2003年に発表されたベスト本格短編ミステリ小説と評論の
12作品を集めた短編集。

 それぞれどれも読み応えのある作品ばかりだったが、特に、
深夜バスに乗った男が遭遇するちょっとスリラー風の事件を描く第1部と、
その男が遭遇した自殺事件というミステリ的事件の第2部の謎が解けると、
第1部の謎も解けてしまうという構成の「Y駅発深夜バス」(青木知己)が
とても面白く感じられた。


本格ミステリ04 2004年度本格短編ベスト・セレクション

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2005.08.01 (Mon)

『クロノス・ジョウンターの伝説』

[著者]梶尾真治
[出版社]朝日ソノラマ ソノラマ文庫 
[初版発行]2003年6月30日

[感想等]
 過去へ旅立てる「クロノス・ジョウンター」という機械が開発され、
その実験に志願して過去へ旅立った人々を描く短編3篇と、
その外伝のような作品1篇の時間SF小説集。

 愛する人を救うために過去へ旅立つという設定などは
それほど目新しくないし、過去を改変することで、
未来に影響を与えるということを重く見ていない点などには
ちょっと疑問を感じさせられた。 
 が、過去から戻る際に、現在には戻れず、
戻った分に比例した未来へ飛ばされるという設定になっていて、
愛する人を救っても、その人と現在の時間を共有できないし、
未来で会えるかも定かでない点が良く出来ている。
 特に第1番目の作品「吹原和彦の軌跡」などは、
愛する人を救うため、何度も遠い未来に飛ばされながらも、
目的を達しようとする和彦の姿が痛々しく、
切なく感じられる作品になっている。

 その他の作品も時間旅行を扱ったSFというより、
SF的な設定での純愛を扱った作品という雰囲気が強かったが、
それが不快でなく、楽しめた。


クロノス・ジョウンターの伝説

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