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2006.12.31 (Sun)

『ハートブレイク・レストラン』

[著者]松尾由美
[出版社]光文社
[初版発行]2005年11月25日

[感想等]
 フリーライター・寺坂真以(てらさかまい)が
仕事場としてよく利用しているファミリーレストランには
幸せな人には見えない幽霊のハルお婆ちゃんがいた。
 真以がお婆ちゃんの助けを借りながら、様々な事件を
解き明かしていく連作短編ミステリ集。
 『ケーキと指輪の問題』など6編を収録している。

 どの作品も、真以だけでなく、ハルお婆ちゃん、
店長さんなどの周囲の人達の人柄の良さなどが
感じられ、殺伐たる犯罪の謎解きで無い点が心地良いし、
彼女が色々考え、年寄りの洞察力に助けられながらも、
事件の謎を解いていく過程が面白い作品になっている。
 
 特に、それ程不幸でもないはずの真以に、
何故お婆ちゃんが見えたのかという最大の謎が
明かされるラストの『ロボットと俳句の問題』は、
お婆ちゃんのかかえていた問題も無事に解決出来、
真以の恋の行く末も期待が持てそうな、
ほっとする終わり方で良かったと思った。


ハートブレイク・レストラン

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2006.12.28 (Thu)

『十四の嘘と真実』

[著者]ジェフリー・アーチャー
[訳者]永井淳
[出版社]新潮社 新潮文庫
[初版発行]平成13年4月1日

[感想等]
 世界各地に取材した実際の事件に基づく9編を含む、
ラストに意外などんでん返しや真実のある14編の短編作品集。

 それぞれ、意外な展開になって面白かったが、
事実に基づく話では、年上の夫が死んだことによって、
これ幸いと不倫相手と再婚した女性の不幸な結末を描く、
『偶然が多すぎる』は、事実とは思えないくらい良く出来ている話で、
ラストまでなかなか楽しめた。

 事実以外の話の中では、
財産の相続者を選ぶ『終盤戦』の仕掛けた罠の巧みさに感心し、
ラストにあっと言わされてしまったのが良かったし、
混線した電話の会話からお金を上手く騙し取ったものの、
結局は失敗に終わる『欲の代償』のシュールな結末も面白かった。


十四の嘘と真実

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2006.12.24 (Sun)

『共犯マジック』

[著者]北森鴻
[出版社]徳間書店
[初版発行]2001年7月31日

[感想等]
 謎の占い書「フォーチュンブック」は凶兆・不幸のみを予言し、
読者の連鎖的な自殺を誘発し、回収騒ぎにまで発展した本である。
 1967年の7月に松本市のある本屋で、
偶然「フォーチュンブック」入手した7人の男女達が、
その後関わることになった様々な犯罪と結末を描く、
プロローグ、第1話~第6話、最終話と連作になったミステリ。

 松本市のある本屋で売られた「フォーチュンブック」を手にした人々が、
その後それぞれの人生を歩みながら、転落していってしまい、
昭和の大事件の三億円事件、グリコ・森永事件に関連してくるというのは
少々出来すぎた話かもしれない。
 が、それが不自然ではないほど、それぞれの作品が面白く、
最終話へつながっていく構成が良く出来ていて、楽しめた。

 最終話の驚く結末が何より良いのだが、それ以外では
1969年の学生運動盛んな時代の殺人を描いた『原点』が
私にはなかなか興味深く感じ、良いと思った。


共犯マジック


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2006.12.23 (Sat)

『QED 神器封殺』

[著者]高田崇史
[出版社]講談社 講談社ノベルス
[初版発行]2006年1月11日

[感想等]
 QEDシリーズの第11作目。
 和歌山での滞在を延ばした桑原崇達は奇妙な殺人事件と
神山禮子の知り合いで自らを「毒草師」と称する、
不思議な男・御名形史紋(みなかたしもん)に出会う。
 和歌山を拠点に起きる数々の奇妙な殺人事件の謎や
古の神々と三種の神器に隠された真実を崇と史紋が
解き明かしていく。

 今回の謎は三種の神器や古代の神の話で、
古代の神々の名前や彼らを祀った神社の位置などの、
私にはあまり知識が無い時代や場所の謎解きだったが、
相変わらず興味深い結論に達し、なかなか楽しめた。
 今回登場した御名形史紋が崇に負けず劣らず、
博学で無愛想な男で、奈々に関心を抱いたようで、
今後の作品にもまた登場しそうで、気になった。
 
 ただし、肝心の殺人事件は、犯人の思い込みの強い
見立て殺人なだけで、あまり面白くはなかった感じがした。
 また、前作『QED~ventus~ 熊野の残照』の
神山禮子の過去などもまた関わってくる続編的な作品なので
前作を読んでいないと面白くないかもしれない。


QED 神器封殺


<My Blog関連記事>『QED~ventus~ 熊野の残照』

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2006.12.20 (Wed)

『カリブに浮かぶ愛』

[著者]ヘザー・グレアム
[訳者]山田香里
[出版社]二見書房 二見文庫
[初版発行]2006年10月25日

[感想等]
 テロリストによる飛行機墜落事件で夫と2人の子供を失った
リアナンは絶望と悲しみに打ちひしがれてしまう。
 しかし、心配する兄の紹介で、大富豪のドナルドの元で、
接待役として働き始めることで、なんとか生きる力を取り戻し始める。
 ドナルドの大型客船の処女航海のカリブ海クルーズにも
ブラックジャックのディーラー兼接待役として乗っていたリアナンは、
リアナンと同じ事故で婚約者を失ったキール下院議員と出会う。
 キールの交渉の失敗のせいで、夫や子供を失ったと思い、
彼を恨んでいたリアナンだったが、次第に彼の魅力に惹き付けられ、
キールの方もリアナンの魅力に心を奪われていく。
 が、大型客船の中ではある陰謀が企てられていて、
リアナンもキールもその事件に巻き込まれてしまう。

 物語の冒頭から、テロリストの飛行機ジャックと、
その飛行機の墜落というショッキングな事件が描かれ、
大型客船で細菌による病気が発生するという緊迫した設定が
なかなか面白い。
 また、憎んでいた男のことを次第に愛してしまう
女性・リアナンの心理などが丁寧に描かれているし、
ラブサスペンスとしては、良く出来たストーリー展開である。

 が、リアナンもキールをはじめ、ドナルドや
その恋人となるメアリーなども素晴らしい人々過ぎるし、
悪役のリー・ホークやジェーンが典型的な悪人風だし、
豪華客船でのカリブ海クルーズなどの様子も、
絵空事じみている気がしないでもない。


カリブに浮かぶ愛

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2006.12.17 (Sun)

『霧の夜の戦慄 百年の迷宮』

[著者]赤川次郎
[出版社]角川書店 
[初版発行]平成15年8月5日

[感想等]
 19世紀末のロンドンで起きた「切り裂きジャック事件」に
興味を抱く16歳の少女・綾。
 母が生死不明の綾は父が事故で他界した後、1人残され、
スイスの寄宿学校に留学することになった。
 スイスでの第1日目、寄宿舎で不思議な眠気に襲われた
綾は気を失ってしまい、気が付くと1888年のロンドンで
「アン」という名前の少女として暮らしていた。
 綾は、アンとして、切り裂きジャックを捕まえようと思い、
新聞記者のマークの協力を得て、娼婦に化ける。

 19世紀末にタイムスリップする綾が、急に現代のスイスに戻ったり、
死者らしき人の姿が見えたりと、超現実的な設定であるものの、
単に綾が19世紀で切り裂きジャック事件を追いかけるだけでなく、
現代でも19世紀末での切り裂きジャック事件を思わせる
女性の惨殺事件が起こっていたりと、盛り沢山な内容で、
前向きに生き、行動性のある少女・綾の活躍が心地よい作品である。

 また、当時の有名人・ヴィクトリア女王等も登場するし、
快楽の館や下町の娼婦たちの様子や、「アン」の住む家、
19世紀末のロンドンの雰囲気もよく出ているように思われた。

 ただし、切り裂きジャックの正体に意外性が無く、
現代の事件も途中で犯人の察しがついてしまうのが残念である。


霧の夜の戦慄 百年の迷宮


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2006.12.16 (Sat)

『不安な童話』

[著者]恩田陸
[出版社]祥伝社 ノン・ノベル
[初版発行]平成6年12月1日

[感想等]
 25年前に変死した画家高槻倫子の遺作展を見ていた
大学教授秘書の古橋万由子は、強烈な既視感と鋏への恐怖に
襲われ失神する。
 後日、万由子と大学教授・浦田泰山にもとへ
やって来た高槻倫子の息子・秒(びょう)に
「母の生まれ変わりではないか」と告げられ、
倫子の死の謎と真相を追い始めた万由子は
放火、脅迫、襲撃と奇妙な続発する事件に巻き込まれる。

 万由子が倫子の生まれ変わりではないかとか
万由子は人の心の中を覗き込むことによって、
その人が無くした物を見つけ出すことが出来る能力を
持っているといたような、非現実的な設定を持つ
ストーリーなのだが、
人の心の不思議さや愛情などが心に残る作品であった。

 特に、万由子に対する姉の愛情とそれを感じている万由子や
強烈な個性を持っていてあまり幸せで無かった倫子の生涯などが
物語の展開とともに見えてくるのが面白かった。
 また、登場人物たちも個性豊かで、様々な面を持つ点が
とても良く描かれていて興味深かった。

 ただ、放火や脅迫などの万由子の周囲の事件の犯人は
途中で察しがついてしまったのが残念である。



『不安な童話』(amazon.co.jp)


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2006.12.13 (Wed)

『殺人の四重奏 クラシックミステリー』

[著者]藤本ひとみ
[出版社]集英社
[初版発行]2005年1月10日

[感想等]
 ルイ14世からマリー・アントワネットまでの
宮廷文化が花開くパリを舞台にした残酷劇を描いた短編集。
 黒ミサを扱った『寵姫モンテスパン夫人の黒ミサ』、
殺された詐欺師の復讐を謀る話『詐欺師マドレーヌの復讐』、
貴族令嬢に化けた女の話『公爵令嬢アユーラのたくらみ』、
処刑された罪人の首から生き人形を作る女を描く
『王妃マリー・アントワネットの首』の4編を収録。

 いずれの短編も恵まれていない境遇の女性たちが主人公で、
実在の有名な人物と関わりを持ち、事件に巻き込まれる点が
なかなか面白く描かれている。
 宮廷や高貴な人々の偽善的な姿や、権力闘争などの醜さ、
オカルトめいて残酷な表現の多い、あまり読後感は良くない
ストーリーが多いのだが、主人公の女性たちが逆境の中でも
自分らしさを求めて生きていこうとしている姿には心を打たれたし
主人公たちのその後が幸せであって欲しいと祈ってしまった。

 私には特に、『詐欺師マドレーヌの復讐』は、
復讐事件の意外な結末がよく出来ていたと思った。
 また、事件そのもの以外の、悪の巣窟「奇跡の袋小路」で
血のつながらない詐欺師仲間と家族のように暮らしている
マドレーヌの気丈さや、仲間たちのギブアンドテイク関係、
母代わりの女性・アマンダとの交流など、
厳しさの中にある人々の強さや優しさが心に残った。


殺人の四重奏 クラシックミステリー

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2006.12.10 (Sun)

『逃げる悪女』

[著者]ジェフ・アボット
[訳者]吉沢康子
[出版社]早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫
[初版発行]2005年1月10日

[感想等]
 判事ホイット・モーズリーは癌で余命わずかな父のため、
自分が幼い日に、家族を捨てて出て行った母を捜すことを決意する。
 母は金を横領した銀行員・パウエルと不倫・逃亡の末に、
彼を殺し、ギャングの一員になっていた。
 その母と会おうとしたホイットは母の居るヒューストンに行き、
ギャングたちの抗争に巻き込まれてしまい、判事の身分を隠して
逃亡しようとする母を助けようと必死になる。

 現職の判事が他の州でとはいえ、身分を隠し、
ギャングの抗争や殺人に巻き込まれてしまうというのは
相当むちゃくちゃな設定ではないかと思うのだが、
そういうことを気にしないで、麻薬が絡み、
ギャングや裏世界の抗争や銃撃戦・カーアクションのある
アメリカ的なミステリとしてだったら、まずまず楽しめると思う。

 が、ラストのオチにはかなりガッカリした。
判事の母はまた姿を消してしまうし、
判事が死んだギャングに罪を押し付けるようにして、
一切咎められないまま終わった点など、都合が良すぎて、
結局、一連の大騒動が何だったのかと馬鹿馬鹿しく思えてしまった。

 なお、この作品は判事モーズリーのシリーズの3作目だそうで、
私の場合は前2作を読んでいなかったのだが、
この作品だけで充分に話の内容は判るようにはなっているし、
他の作品もこのような話なら、読む気になれないだろうと思った。


逃げる悪女

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2006.12.09 (Sat)

『オイディプス症候群』

[著者]笠井潔
[出版社]光文社 カッパ・ノベルス
[初版発行]2006年10月日

[感想等]
 パリ大学の女学生ナディア・モガールは
ウィルス性の病気・オイディプス症候群に侵された
旧友の医師・フランソワの依頼で、
彼の師・マドック博士に資料を届けるために、
ギリシャへ向かうことになる。
 日本人の友人・矢吹駆を伴って旅に出たナディアは
アテネの空港で駆が電話を掛けている間に
出迎えの者から博士はクレタ島南岸に浮かぶ孤島
「牛首島(ミノタウロス島)」にいると聞かされ、
1人で先に島へと行くことになる。
 ナディアは「牛首島」で偶然に旧友・コンスタンに出会い、
駆とは別行動のまま、マドック博士の滞在している
アメリカの富豪の別荘「ダイダロス館」へ一緒に行く。
 そして、そこに集まった10人の男女に関わり、
奇妙な連続殺人に遭遇する。

 発生している奇病・オイディプス症候群を巡る事件と
過去にあったアメリカの大富豪の息子の誘拐事件が絡むのだが、
医学だけでなくギリシャ神話や、論理学に及ぶ会話や説明が多く、
私には知らないことも多く、興味深く感じられたのだが、
そういう点に興味がなく、苦手に感じる人には面倒で退屈で、
長く感じられる作品かもしれない。

 一方、閉ざされた島での連続殺人事件そのものは、
私には割と早い段階で、犯人の察し位は付いてしまったし、
密室などのトリックは中々面白かったものの、
犯人の動機などに同情を覚える殺人の部分と、
許せない思いのする殺人が混じる複数犯行という点が、
それ程突飛ではなく感じられる作品であったのが残念。

 なお、この作品はシリーズの中の一編になっていて、
ナディアと駆の関係、駆の人物像など、良く判らない部分もあり、
出来れば著者のこの作品の前作『哲学者の密室』等を読んでから、
読むべきなのかもしれない。


オイディプス症候群

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2006.12.06 (Wed)

『天平大仏記』

[著者]澤田ふじ子
[出版社]中央公論新社 中公文庫
[初版発行]2005年3月25日

[感想等]
 天平15年の聖武天皇による金銅盧舎那仏造顕の詔で、
奴婢ながら卓越した造仏工・天国(あまくに)をはじめ、
技能のある奴婢たちは、その身分を良民に直され、
大仏建立に携わることになる。
 が、立派な仕事をして良民として認められたいと思い、
純粋に大仏建立に励もうとする天国や奴婢たちは
権力者達の政権争いや陰謀に心ならずも巻き込まれ、
酷い目にあうことになる。

 奴婢が良民と隔てられた厳しい身分制度だけでなく、
施政者である藤原仲麻呂や国君麻呂等が
本来崇高な目的なはずの大仏建立を
権力欲の手段としているような姿に怒りを感じさせられ、
歴史の大事業の中に押しつぶされていく人々の姿に
悲しみを覚えた。

 特に、主人公・天国は母が良民、父が奴婢(ぬひ)という、
奴婢として苦労しながら身に着けた技能を評価され、
他の手技を持つ奴婢達と一緒に、身分を良民にしてもらえ、
大仏の建立に加わることになったはずなのに、
結局は奴婢のままのように過酷で危険な労働の末に、
最後は大仏建立の喜びを味わう間もなく、
盲目となって故郷へ帰るという結末の悲惨さに、心が痛んだ。


天平大仏記

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2006.12.03 (Sun)

『妖異七奇談』

[編者]細谷正充
[著者]夢枕獏 朝松健 山田正紀 宮部みゆき 東郷隆 菊池秀行 梶尾真治
[出版社]双葉社 双葉文庫
[初版発行]2005年1月20日

[感想等]
 ホラー時代小説7編を収録。収録作は『黒川主』(夢枕獏)、
『飛鏡の蟲』(朝松健)、『あやかし』(山田正紀)、
『小袖の手』(宮部みゆき)、『両口の下女』(東郷隆)、
『幕末屍軍団』(菊地秀行)、『清太郎出初式』(梶尾真治)。

 平安期~明治までの時代小説形式のホラー小説集とのことで、
怪異なものが登場する荒唐無稽な話ばかりかと思ったが、
意外に、読み応えのあるストーリーが多く、面白かった。

 中でも、陰陽師・安倍晴明ものの『黒川主』(夢枕獏)は
「黒川主」を名乗る妖怪に魅入られた女性の話で、
安倍晴明が妖怪と対決する様子や、源博雅との交流が
興味深く、読み応えがあった。

 その他では、母親が娘に古着物の妖怪話をする『小袖の手』
(宮部みゆき)は、母の話の内容も怖いが、娘が買ってきた
安い着物のからくりを見抜くオチが優れていて面白かった。

 また、『両口の下女』(東郷隆)は滝沢馬琴を主人公にし、
彼の家に来た怪しげな下女の正体も気になるが、
馬琴の家の家族の様子の方が恐ろしい気がしたのが、
皮肉であって、面白く感じられた。

 そして、『清太郎出初式』(梶尾真治)はH・G・ウェルズの
『宇宙戦争』の火星人が日本にも来たという構想で描かれた物語。
 火星人の襲撃自体は恐怖なのだが、生き残った青年が出会った、
子供・老人・芸者と家族のように暮らしていく姿は、
人情話風で怖くはない、心温まる点が良かった。


妖異七奇談

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2006.12.02 (Sat)

『MISSING ミッシング』

[著者]本多孝好
[出版社]双葉社 双葉文庫
[初版発行]2001年11月20日

[感想等]
 「このミステリーがすごい!2000年版」第10位であり
第16回小説推理新人賞受賞作『眠りの海』を含む処女短編集。
 『眠りの海』以外の作品は『祈灯』『蝉の証』『瑠璃』
『彼の棲む場所』で、計5作品を収録している。

 『眠りの海』は海に投身自殺をした男が、砂浜で、
自分を救ってくれたらしい少年に何故死のうとしたかを話すという話。
 男は教師で、女生徒との恋愛と別れから、女性とを死に至らしめたという
あまり珍しくもなさそうなストーリー展開であったし、
少年の正体に関するオチも途中で見当が付いてしまったものの、
淡々とした語り口が、奇妙なムードを醸し出しているのが不思議だった。

 心に残ったのは『瑠璃』の主人公と従姉妹のルコとの交流の記録で、
突飛な少女・ルコと冷静な少年とのやり取りや行動が面白く、
微笑ましいものを感じさせられた。
 が、大人になったルコのその後や彼女の死のいきさつ、
ラストの主人公の心境には少々納得がいかないものを感じ、
残念なストーリーの終わり方だと感じた。


『MISSING ミッシング』(amazon.co.jp)

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