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2007.01.31 (Wed)

『ダ・ヴィンチ・コード』(上・中・下)

[著者]ダン・ブラウン
[訳者]越前敏弥
[出版社]角川書店 角川文庫
[初版発行]平成18年3月10日

[感想等]
 キリスト教社会に論争を巻き起こし、映画化もされたベストセラー。

 ルーヴル美術館のソニエール館長がグランド・ギャラリーに、
ダ・ヴィンチの最も有名な素描〈ウィトルウィウス的人体図〉
を模した形の死体となって横たわっていた。
 殺害当夜、会う約束をしていたハーヴァード大学教授ラングドンは、
警察より捜査協力を求められ、現場に赴くが、
館長の孫娘で暗号解読官であるソフィーが密かに、
彼が犯人ではないかと疑われていることを教えてくれ、
彼女と一緒に逃亡しながら、現場に残った暗号を説くことになる。

 宗教史学者にして爵位を持つ、イギリス人のティービングの協力も仰ぎ、
フィボナッチ数列、黄金比、アナグラム…数々の象徴の群れに紛れた
メッセージを解いていくうちに、ラングドンは、
ダ・ヴィンチの作品「最後の晩餐」に秘められた驚くべき事実と、
ソフィーの祖父の秘密と真実を解き明かすのだった。

 フランスからイギリスへと登場人物たちが動き回り、
ラングドンとソフィーだけでなく、彼を追うフランスの捜査官、
キリスト教関係者などの様々な人々の視点から物語が進み、
かなり目まぐるしい展開である。
 また、キリスト教、ダ・ヴィンチ、聖杯伝説、暗号など
様々な要素が含まれていて、盛り沢山な作品である。

 が、それ程、学術的に難しいとか判りにくいとは思えず、
歴史的な部分や絵画などの説明も判りやすく感じられたし、
テンポ良く話が進んでいくので、楽しめた。
 意外な人物が敵対していたとか、主人公の2人が
恋愛感情を抱いていく・・・的なありきたりな展開も
気にならず、途中でラストも察しがついたものの、
最後まで飽きずに読みきれたし、ラストには充分感動した。

 残念なのは、アナグラムが私の語学力では判らなかったことである。
 また、ダ・ヴィンチの作品や聖杯伝説の解釈、
シオン修道会やキリスト教会の陰謀などという、
眉唾な的な要素が多い点も気になるかもしれない。
 宗教的な問題を扱って、西欧のキリスト教社会では、
批判や論議を招いたのも良く判る。
 しかし、キリスト教を信条としていない私には、
この作品は歴史的真実を追求・証明する学術書ではないし、
サスペンスとして、フィクションとして読んでいくのには、
知的な好奇心を満たす魅力的な作品だと感じたし、
ほとんどの日本人もそういう捉え方をするであろう。

 なお、私は映画を観ていないのだが、
映画は原作の全てが表現されてはいないらしいし、
読んでいないと判り難かったり、違うエンディングだそうだ。


ダ・ヴィンチ・コード(上)ダ・ヴィンチ・コード(中)ダ・ヴィンチ・コード(下)


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2007.01.28 (Sun)

『まだ見ぬ冬の悲しみも』

[著者]山本弘
[出版社]早川書房 ハヤカワSFシリーズ Jコレクション
[初版発行]2006年1月20日

[感想等]
 タイムトラベル実験の結末を描いた表題作『まだ見ぬ冬の悲しみも』等
全6篇を収録するSF作品集。

 難しい科学技術の用語や理論などを含んでいたりして、
いかにも近未来のSFという感じの作品ばかりなのだが、
アイディアやストーリー展開が面白く、読みやすい感じであった。

 中でも私が面白いと思ったのは、謎の異星人とのコンタクトを果たした
詩人の手記と言う形式の『メデューサの呪文』。
 詩人でないと理解したり操れない異星人の言葉という発想と、
その言葉の及ぼす影響というアイディアなどがとても怖く、
よく出来ていて面白かった。

 また、高速運動が出来るアンドロイドになった男を主人公とした
『奥歯のスイッチを入れろ』は、超人的なパワーを持っても、
人間らしさを残した主人公が、愛という思いを持っている自分を感じ、
戦いを挑んできた非人間的なアンドロイドへの哀れみを覚えるという点や
高速で動く主人公の様子などがリアルに感じられた点が、
とても良く出来ていると思った。

 なお表題作の『まだ見ぬ冬の悲しみも』はドイツの戯曲から取った
という設定なのだが、本当にある作品なのだろうか?


まだ見ぬ冬の悲しみも


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2007.01.27 (Sat)

『出口のない海』

[著者]横山秀夫
[出版社]講談社 講談社文庫
[初版発行]2006年7月14日

[感想等]
 第2次大戦末期、人間魚雷「回天」による奇襲作戦に参加した
青年・並木浩二は、高校野球での甲子園優勝の経験のある投手で、
期待された大学野球での活躍を肘の故障で果たせずに居る時に、
学徒動員により召集されたのだった。
 彼が「回天」に乗り込むまでのいきさつやその死を描く作品で、
映画化もされている。

 戦争を扱った作品を読むたびに、悲しくなり、
失われた命や多くの可能性を惜しむ気持ちと、
もう二度とこういうことはあって欲しくないと思い、辛くなる。

 この作品もやはりそういう辛い作品であって、
肘の故障という辛い試練を乗り越えながらも、
野球を諦めていなかった主人公・浩二が、戦争へ駆り出され、
死への諦めの境地になったり、生き残ってまた野球をやり、
魔球を編み出したいという葛藤を抱いたりする姿が
非常に生々しく、痛々しく思えた。

 浩二の最後の様子は、あまりに残酷過ぎると思ったが、
密かに愛していた女性・美奈子や同じように戦争に駆り出された
野球部の仲間のその後も描かれていて、
彼の残した回天の現実や、果たせなかったことへの思いが
未来に引き継がれていくように感じられた点は良かったと思う。

なお、私は未見だが、この作品は最近、映画化されている。


出口のない海

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2007.01.24 (Wed)

『怪奇探偵小説名作選 (9) 氷川瓏集 睡蓮夫人』

[著者]氷川瓏
[編者]日下三蔵
[出版社]筑摩書房 ちくま文庫
[初版発行]2003年8月6日

[感想等]
 江戸川乱歩に認められデビューした著者の
幻想的な小説やミステリーの短編集。
 表題作『睡蓮夫人』など16篇を収録。

 様々なアンソロジーに作品は掲載されたが、
著者単独の作品集はこれが初めてらしいし、
私も聞いたことが無い著者名だったのだが、
江戸川乱歩に認められたとのことで、興味をもって読んだ。

 ミステリー作品は昭和20年代発表のものが多く、
推理小説というよりも探偵小説という古めかしい名前が合う、
不倫の末の犯罪などの判りやすい設定の作品が多かったが、
不思議な幻想的な雰囲気があり、江戸川乱歩の好みであるのが
納得できる作品が多かった。
 結核病院の看護婦が、恋から犯してしまった殺人の顛末を
独白する『天使の犯罪』などはなかなか良いと思ったし、
表題作『睡蓮夫人』の美しい女性を追いかけて訪ねた家で、
その夫から、その女性を殺した話を聞かされるという
幻想的な色合いの濃い作品で、興味深かった。

 ミステリではない作品の中では、
巻頭の3ページ程の幻想的な作品『乳母車』などは、
幕切れの不気味さなどが光っていたし、
鬼を接待し、上手く寿命を延ばす商人の昔話的な歴史話を
現実的に解釈したような作品『天平商人と二匹の鬼』も面白かった。


怪奇探偵小説名作選 (9) 氷川瓏集 睡蓮夫人

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2007.01.21 (Sun)

『なまみこ物語・源氏物語私見』

[著者]円地文子
[出版社]講談社 講談社文芸文庫
[初版発行]2004年4月10日

[感想等]
 道長の企む策謀の生霊騒動で贋招人(にせよりまし)となった
姉妹の妹・くれはは中宮定子に仕えていた女で、2人の母は巫女であった。
 道長に仕える姉・あやめとの関係や定子に対する嫉妬などから
騒動に加担する羽目になったくれはだったが、定子の天皇への愛に
道長の企みは失敗してしまうという物語、『なまみこ物語』は、
著者が『大鏡』等から構想を得、実際にあった古典という設定で発表したもの。
 『源氏物語私見』は著者の源氏物語現代語訳の過程で生まれた随想。

 『なまみこ物語』は一条帝の皇后定子と一家を襲う悲劇と
道長の陰謀など、平安時代の歴史的な事実を元に、
定子の気高い様子や架空の人物であろう・くれはの生い立ちや
彼女が定子を裏切るようになったいきさつなどの
作者の想像の部分が違和感なく、そんな風だったろうと思わせる、
興味深い人間ドラマになっている。

 『源氏物語私見』は六条御息所という、好ましいと思われない
登場人物に対する、著者の好意的なまなざしを感じたり、
現代語に訳した著者ならではの言葉に対する指摘などに、
発見や興味深さがある作品で、随想という軽いものではなく、
研究論文のような深みのあるように思えた。





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2007.01.20 (Sat)

『晴れた空』(上・下)

[著者]半村良
[出版社]祥伝社 祥伝社文庫
[初版発行]平成17年7月30日

[感想等]
 第2次大戦末期、昭和20年3月10日の東京大空襲後、
上野の地下道に集まってきた親も家も失った浮浪児達8人が、
廃墟と闇市の中を餓死せず生き抜くため団結し、
子連れの美しい未亡人・静子や特攻帰りの男・前田の庇護を受けつつ、
敗戦後の日本を生き抜いていく物語。
 
 戦災孤児となった子供達が何の庇護も受けず、
自分達の才覚で盗みなどをしながらも生き抜いていた姿など、
今では物語の世界の情景のようだが、かつての日本の姿であり、
もう二度とこういうことは起こって欲しくない情景である。
 そんな境遇の中で、静子を母のように慕いながら、
団結し助け合い成長していく級長をはじめとする少年達の姿は
感動的であり、事業を起こし成功していく姿はたくましく心温まる。

 が、母代わりの静子が戦争前からの因縁の陰の力に助けられ、
成功後にその代償を求められ、辛い立場に追い込まれていく点は、
幸福になったとは言えない、かなり厳しいストーリー展開である。
 
 東京大空襲後の晴れた青空を虚しく見上げた少年達はラストで、
旅先のハワイで『憧れのハワイ航路』を歌う大人になったのだが、
その後の彼らの人生では、青空が楽しく見ることが出来るのか、
少々気になる終わり方である。


晴れた空 (上)晴れた空 (下)


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2007.01.19 (Fri)

BlogPet星影丸の新5・7・5 No.4

 随分、久しぶりになりますが、
BlogPetの星影丸の5・7・5を紹介します。


 No.4
20070119.jpg



『その自分 放映したる 歴史だね』

 「人に歴史あり」という言葉を思い出しました。
「放映したる」がちょっと余計かな、
あるいは星影丸はTVっ子なのかも・・・。


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2007.01.17 (Wed)

『なぜ紫の夜明けに』

[著者]吉村達也
[出版社]双葉社
[初版発行]2006年8月25日

[感想等]
 バイク事故で、事故に至る記憶を失った青年・透。
 10年後、結婚寸前の彼は偶然救った女性・マリアに心を惹かれ、
バイク事故が自殺未遂であったこと、その自殺未遂は
自分が関わったレイプ事件への贖罪であったことを思い出す。

 自分の記憶の不都合な部分を封印してしまった主人公が、
出会ってしまった女性が自分の犯罪の犠牲者だったという点などが
すぐに判ってしまうし、それ程目新しい設定ではない。
 が、彼が贖罪として、犠牲者のマリアに尽くそうとする気持ちで
婚約者を捨て去ってしまったり、学生時代に付き合っていたが
別れてしまい今は良い友人のつもりの元恋人との関係など、
複雑な要素が絡んで、主人公の混乱状況などがドラマチックである。

 しかし、女性の立場からすると、主人公に関わる3人の女性達は、
捨てられてしまう婚約者だけでなく、レイプの犯人と知らず愛する女性、
元恋人の何でも相談できる女友達としか思われない女性の3人であり、
主人公に振り回されてしまっていて、迷惑で不幸な立場だと思う。
 主人公は情熱的に女性を愛し、それぞれに充分に報い、
贖罪しているつもりなのだろうが、独り善がりのような気がする。
 また、ラストの透の選択に対し、女性達がどんな反応を示すのか、
という点が描かれていないのが、残念である。


なぜ紫の夜明けに

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2007.01.14 (Sun)

『完全現代語訳 樋口一葉日記』

[訳者]高橋和彦
[出版社]アドレエー
[初版発行]1993年11月23日

[感想等]
 現代語に訳された樋口一葉の日記。
 明治20年1月15日から始まる「身のふる衣 まきのいち」から
明治29年7月22日で終わる最後の日記「みづの上日記」だけでなく、
断片や雑簡なども年代を推定し、年代順に収録している。
 
 訳していない一葉の日記は読んだ経験があったが、
今回改めて現代語された形のものを読んでみて、
中島歌子や歌塾「萩の舎(や)」の人々の様子や、
身内や父の古い友人や縁者などの関わりや、
半井桃水との出会いや思慕、
一葉の図書館での勉強の様子や
彼女の創作や貧乏に対する思いなど、
ありありと感じられ、とても良かった。

 が、残念な点は、人物などの注が簡単なことである。
 樋口一葉に関してある程度知識を持っている人間には
簡単な紹介で判るような人物や有名人でも、
より詳しく記してある方が親切な気がする。
 また、一葉の作品の内容紹介もあったら良いのにと思った。


『完全現代語訳 樋口一葉日記』(amazon.co.jp)

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2007.01.13 (Sat)

『ホームズ対フロイト』

[著者]キース・オートリー
[訳者]東山あかね 熊谷 彰 小林 司
[出版社]光文社 光文社文庫
[初版発行]2006年6月20日

[感想等]
 両親を火災事故で失い、洗礼親である後見人に引き取られた
イギリス女性・エミリーは後見人の性的関係強要から逃れようと、
アメリカの女子大へ進み、行方をくらましウィーンで教師をしていた。
 ウィーンで神経を病んだエミリーは友人のサラの勧めで、
フロイト教授の治療を受けることになるのだが、
フロイトはその性的な虐待は彼女の妄想ではないかと疑う。
 一方、エミリーの後見人の外交官の死の真相解明を
密かに政府に依頼されたシャーロック・ホームズは、
ワトソンと共に捜査に乗り出す。
 
 タイトルから想像したホームズとフロイトの推理合戦はなく、
その点は少々期待外れであった。
 シャーロック・ホームズのパスティッシュとして
フロイトが関わってくるストーリーとしての面白さを
期待していたのだが、当初はエミリーという女性の手記と
フロイトの診療記録の報告が交互に登場して戸惑ってしまった。

 ネタばれになってしまうのだが、
エミリーは後見人の殺害を手記では告白してしまっていて、
フロイトには話していない。
 そこで、彼がいつ気が付くのかという
興味で読み進んでいくうちに第1部から第2部へと移り、
今度はワトソンの記録になって、別の立場から
エミリーの犯罪を暴くシャーロック・ホームズが登場し、
ホームズのパスティッシュらしくなるという展開の物語だった。

 ホームズのうつ病に心を痛め、治療法を探っていた
ワトソンはフロイトの説に興味を抱き、丁度良い機会だと、
彼にホームズを会わせられないかと思っていたという設定で、
フロイトがホームズを分析し、ホームズがフロイトに関心を持つ
という場面があることはあるのだが、それ程、目新しくもないし、
ホームズの推理も感嘆するほどではないし、
ホームズよりもワトソンが奮闘した感じがするストーリーであった。

 が、フロイトによる心理分析やフロイトの追及から自分を隠そうとする
知的女性・エミリーの心理や葛藤、その友・サラという女性の心理など、
心理学的な題材を扱った作品としては、なかなか興味深く面白かった。



ホームズ対フロイト

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2007.01.10 (Wed)

『サソリの神Ⅱ アルコン 神の化身アレクソスの“歌の泉”への旅』

[著者]キャサリン・フィッシャー
[訳者]井辻朱美
[出版社]原書房
[初版発行]2005年4月10日

[感想等]
 サソリの神シリーズの第2作目。
 神の化身アルコンである少年・アレクソスは
「歌の泉」へ旅することで、干上がった河を救おうとする。
 権力を握ろうと陰謀を巡らす将軍・アルジェリンは
「お告げ所」の最高位「語り手」である巫女・ハーミアと結託し、
東の国の皇帝の甥の銀発掘の願いに嘘の神託を言わせ、許可せず、
アレクソスの友・書記のセトに家族と昇進をたてに脅し、
アレクソスを旅の間に抹殺させようとする。
 果たして、アレクソスの旅は成功するのだろうか・・・?

 「お告げ所」の九巫女はハーミアを糾弾し、
次の「語り手」を狙うレティアの企みにより分裂し、
女主人公・ミラニィも命を狙われ、誰が敵味方か判らないし、
将軍・アルジェリンの企みや銀の発掘を求めてきた東の国の攻撃など、
前作以上に緊迫したストーリー展開である。

 アレクソスが古の王の生まれ変わりとして
過去の王の過ちに対する贖罪の旅に出るというストーリーと
ミラニィの直面している将軍陰謀に対する巫女達の闘いのストーリーが
交互に現れるのだが、ミラニィとアレクソスが神を通じで、
感応し合えるという設定が上手く、2箇所で起こる出来事を結び、
面白く感じられる。

 が、今回の主役はやはりアルコンである少年・アレクソスで
彼の旅に同行する野心家の書記・セト、酒好きの楽師・オブレク、
墓盗人で貴族の末裔・ジャッカルとその部下・キツネ達の、
それぞれの思惑や旅に待ち受ける困難がとても良く設定されていて、
宗教的・思索的でミステリアスである。
 
 ただし、ミラニィの運命がどうなるのかが解決せず、
次作へと続くような幕切れが残念である。


サソリの神Ⅱ アルコン 神の化身アレクソスの“歌の泉”への旅


<My Blog関連記事>『サソリの神Ⅰ オラクル ―巫女ミラニィの冒険―』


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2007.01.07 (Sun)

『時効警察』

[著者]三木聡 岩松了 園子温 ケラリーノ・サンドロヴィッチ 塚本連平
[出版社]角川書店
[初版発行]平成18年3月10日

[感想等]
 2006年1月13日から3月10日まで全9回放映された
テレビ朝日系金曜ナイトドラマ「時効警察」の脚本を元に小説化された作品。
 時効になった事件を趣味で捜査する警察官・霧山修一朗が犯人を追う。

 時効になった事件を趣味で警察官が調査するという設定も、
その時効になった事件の内容も、警察官・霧山をはじめとする
登場人物たちも奇妙に脱力系で、人を食ったようなというか、
馬鹿馬鹿しいストーリー展開なのだが、やけに気になる作品として
つい観てしまっていたドラマのノベライズということで、読んでみた。

 取り上げられている事件は馬鹿馬鹿しく、犯人も明白なので、
推理ドラマとしてはいまひとつなのだが、
犯人ととぼけた警察官・霧山のやりとりや、
霧山に密かに思いを寄せている婦人警官・三日月や
霧山の同僚などのくだらない会話や、意味不明な行動など、
ドラマの映像を思い出し、楽しめたし、
映像になっていなかった部分なども判った点は良いと思った。

 個人的にはテレビ放映時に面白いと思った作品、
「第六話 恋の時効は2月14日であるか否かはあなた次第」が
時効寸前の事件を扱った例外的な作品で良いと思った。

 しかしながら、ドラマを観ていない人にはどの程度、
ドラマの奇妙なとぼけたような、脱力的な雰囲気が伝わるかは判らないし、
真面目な推理ドラマを期待する読者にはお勧め出来ないかもしれない。


時効警察

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2007.01.06 (Sat)

『邪馬台国の謎と逆転日本列島』

[著者]飛鳥昭雄・三神たける
[出版社]学習研究社 ムー・スーパー・ミステリー・ブックス
[初版発行]2002年7月15日

[感想等]
 唯一の史料『魏志倭人伝』の記述をめぐって、
これまで幾多の論争が繰り返されてきた邪馬台国。
 方位か距離の記述が間違っているとされてきた従来の説に対し、
3世紀の日本列島が九州を北に、90度回転していたという説で
その所在地を明らかにする著作。

 『魏志倭人伝』の方位や距離をそのまま鵜呑みにすると、
邪馬台国が現在の日本には無かったことになってしまう。
 そのため、従来の学説は方位や距離の間違いを修正して、
日本の中に所在地を見つけようとしているという指摘や、
プレートなどの動きや、過去の地質の変動に目をつけて、
昔の日本列島は向きが違っていたと考えるべきだというのは
とても鋭くて目新しく面白い。
 また、従来の邪馬台国の所在地をめぐる説
をまとめてある部分はとても判りやすく、良く出来ている。

 が、いかんせん、謎の秘密組織を通じて、
匿名のアメリカの学者から入手したという
古い日本の地図を元にして、裏付けしている点などが、
胡散臭く、眉唾物という感じのある著作である。
 説としては面白くはあるが、信じられないという気持ち
になってしまう点が、残念である。
 また、日本列島が90度回転していたと考えるのは、
従来通りの方位の記載が間違っていたという考え方と
結果的には大差ないのではないだろうか。


邪馬台国の謎と逆転日本列島

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2007.01.03 (Wed)

『卑弥呼はふたりいた』

[著者]関裕二
[出版社]KKベストセラーズ ワニ文庫
[初版発行]2005年1月10日

[感想等]
 邪馬台国はどこにあったかの謎を求めるうちに、
著者がたどり着いた「卑弥呼は二人いて、邪馬台国は二国存在した」
という説や、出雲の女神・カヤナルミにまで言及する歴史論。

 卑弥呼を日巫女、シャーマン女王の称号と解する説や
卑弥呼を神功皇后だとする説などは以前読んだことがあったが、
この作品は九州と大和に2人の日巫女(ヒミコ)が居て、
大和のヒミコのトヨによって、九州山門のヒミコが殺され、
『日本書紀』に於いても邪馬台国のヒミコは抹殺されていると
説いている点が目新しい。

 確かに、現在、邪馬台国の所在地は大和説、九州説とあるが、
決着が付いていないのは、両方にあったと考えられなくもない。
 また、出雲神話の大国主命の娘である下照姫と結びつけ、
出雲の女神・カヤナルミに関して詳しく論じているのも、
知らなかったことへスポットを当てている点が良いし、
ミステリの謎解き的な面白さがある。

 が、著者の主張は興味深いとは思うものの、
2つの邪馬台国が同時に存在した点に関しても、
出雲の神々の関係などに関しても、
まだ疑問な点も残っているように感じられて、
私は盲信するまでは至らなかった。


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2007.01.03 (Wed)

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。

今年も相変わらず、
面白そうだなと思った本を読み、
☆の数で私的な評価を決め、
その本の情報や感想などをメモる形の記事を
マイペースで投稿する、
このブログを続けていきたいな、
と思っています。

良かったら、お付き合いくださり、
前の記事なども読んでみてくださいませ。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

テーマ : あけましておめでとうございます - ジャンル : 日記

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