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2007.05.30 (Wed)

『ノーカット版 密閉教室』

[著者]法月綸太郎
[出版社]講談社 講談社BOX
[初版発行]2007年2月1日

[感想等]
 法月綸太郎のデビュー作『密室教室』のオリジナル版。
 700枚の草稿を、ほぼ無修正で活字にしたもの。
 
 ガムテープで扉を閉ざされた教室の中で級友・中町圭介の
血だらけの死体が発見された。
 教室の中にはあるはずの48の机と椅子が消えていて、
残された遺書はコピーだった。
 熱狂的な探偵小説の愛好家・新聞部の工藤順也が探偵として、
捜査&推理をし始める・・・自殺か他殺か、他殺なら犯人は誰?

 カットされたデビュー作を読んでいないので、
ノーカット版にどのような余計な部分があるのか無いのかなどが
良く判らないのだが、読んでいて、やはり、デビュー作らしい、
気になる点の多い、作品であった。

 まず、主人公の工藤順也だけでなく、その級友たちが、
自意識過剰という感じで、爽やかさも初々しさも無い点が
鼻持ちならない感じで、あまり好きにはなれなかった。
 これは、若さゆえの嫌らしさを描いたためというのなら、
成功しているのだろうが・・・。

 机と椅子が全て無くなった謎の部分は面白かったのだが、
ガムテープによる密室の完成などは、目新しくもないのに、
自殺か他殺かの判定に時間がかかりすぎた感じがするし、
犯行の動機や学校側の事情などが、少々、非現実的に思えた。

 何よりも、ラストの二転三転する終わり方は歯切れが悪く、
すっきりしないまま、救いが無く終わってしまった感じがして、
青春物らしい爽やかさが無く、読後感はいまひとつであった。


ノーカット版 密閉教室

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2007.05.28 (Mon)

とか思ってたらしいの(BlogPet)

bookrackは

著者にはにがおえ師としての鋭い人間『眼だけでなく、
人間が好きだという優しい気持ちがあるのだろうと感じられ、
親しみを覚えるような暖かい文章や絵である。
とか思ってたらしいの。

*このエントリは、ブログペットの「星影丸」が書きました。
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2007.05.27 (Sun)

『自由の鐘』

[著者]ドロシー・ギルマン
[訳者]柳沢由実子
[出版社]集英社 集英社文庫
[初版発行]2007年2月25日

[感想等]
 ボストン・ティー・パーティー事件(1773年)を背景に、
少年の成長や目覚めを描いた作品。

 二年前、母の死により、伯母の家へ行く途中にさらわれて、
イギリスから当時の植民地アメリカへ連れてこられ、
売られた12歳の少年ジェッド・クレインは奉公先の鍛冶屋では
食事も満足に与えられず、辛い思いをしていた。
 そんな彼を買い取ってくれた印刷屋の主人・ボックスは
彼に文字を教えてくれたり、鍛冶屋より人間らしく扱ってくれたが、
偽札を作り、闇に売る男で、ジェッドは偽札運びをさせられる。
 やがて独立戦争が勃発。ジェッドの住むボストンの
町にまで及んできたイギリス派と独立派の争いの中、
ボックスは捕まってしまい、ジェッドは偶然知り合った
市民革命軍の少佐や少年との交流で自由について考え始める。

 アメリカの独立、自由の精神の根本や歴史を感じる作品なのは
もちろんだが、辛くても良い性質を失わない少年・ジェッドが
自分には良くしてくれるが悪人のボックスから
次第に革命軍の人々に心ひかれ、独立していく姿が、
とてもほほえましく好ましく感じられる作品であった。

 特に、奴隷として売られたことに疑問を持っていない少年が
自由という言葉に戸惑い、政治に関心も無かったのに、
市民革命軍の闘いやそれを支援する人々にふれることで、
成長していくという設定も、そして希望を感じさせるラストに
心地良さを感じた。


自由の鐘

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2007.05.26 (Sat)

『なんでやねん! にがおえ師っ』

[著者]佐藤恵美
[出版社]マガジンハウス
[初版発行]2005年1月10日

[感想等]
 大阪天王寺の路上でにがおえ師をやっていた女性による
マンガとエッセイで描かれた、泣き笑い事件簿。

 似顔絵を描いてもらう人々と著者のエピソードには、
大阪人でなくても思わず「なんでやねん!」と
突っ込みたくなるような大阪人の面白さだけでなく、
人間の暖かさや、にがおえ師の苦労などの
ちょっとしんみりする部分もあるのが良い。
 著者にはにがおえ師としての鋭い人間観察眼だけでなく、
人間が好きだという優しい気持ちがあるのだろうと感じられ、
親しみを覚えるような暖かい文章や絵である。

 また、著者の両親の話もユーモア&ペーソスがあり、
仲の良い家族関係が伝わってきてほのぼのさせられたし、
著者の人間性のルーツが判ったような気にさせられて良かった。

 取り締まりがあって、絵を描くことが出来なくなった後、
英語力を元に、世界へ飛び出していった作者のその後の話が、
もっと読んでみたくなったので、次作があることを期待したい。


なんでやねん! にがおえ師っ

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2007.05.23 (Wed)

『螺鈿(らでん)の小箱』

[著者]篠田真由美
[出版社]東京創元社
[初版発行]2005年11月25日

[感想等]
 アジアの風土とヨーロッパの文化の融合というか、
幻想的な異国趣味と東洋趣味のミックスされたような雰囲気の、
趣のあるミステリアスな幻想短編、『人形遊び』など7編を収録。

 巻頭作『人形遊び』は少女の不気味な独り人形遊びに、
継母と継子との確執が語られ、ついには殺人事件に発展した物語
・・・と思わせて、思いがけない倒錯的な結末になり、唖然とした。
 その他も、不可思議な夢か現実か判らないような、
妖しく猟奇的な事件や出来事などを描いている作品ばかりで、
幻想や怪奇が好きな人にはどこか心惹かれるものがあるだろう。

 ただ、『象牙の愛人(ラマン)』はタイトルから察せられるとおり、
マルグリット・デュラスの『愛人』を下敷きにした作品とのことだが、
象牙の人形の不気味でエロチックな設定がなかなか面白いので、
もっと独自な舞台の物語にした方が良かったのではないかと思った。


螺鈿の小箱

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2007.05.20 (Sun)

『暗闇よ こんにちは』(上・下)

[著者]サンドラ・ブラウン
[訳者]法村里絵
[出版社]新潮社 新潮文庫
[初版発行]平成16年11月1日

[感想等]
 パリス・ギブソンは、深夜放送の人気パーソナリティ。
 ラブ・ソングの電話リクエストやリスナーからの相談事に応じる番組で、
心のこもったアドバイスで信頼を得ている彼女だったが、
仕事関係者にも素顔を見せないし、私生活は謎であった。
 ある夜「監禁している女の子を3日以内に殺す」という、
番組宛へのメッセージの電話がかかってくる。
 電話してきた男はヴァレンチノと名乗り、パリスのアドバイスで
その女の子が、彼と別れることにしたからだと言うのだ。
 そして、魔の手はパリスのまで及んでいく・・・。

 行方不明の少女が高校生を中心とするセックス・クラブに関わり、
そこに出入りする怪しげな複数の男達の行動が明らかになってきて、
犯人を判り難くしているのは、サスペンスとしてはなかなか楽しめたが、
恋愛小説としては、肝心の主人公・パリスには感情移入出来なかった。

 というのは、私生活を隠しながら、恋愛アドバイスをしている女性が
過去の自分の恋人への裏切りを悔いているという設定なのに、
いくら過去に心ひかれた相手に再会してしまったとしても、
自分の恋愛に気をとられてしまい、事件に関しての衝撃や悔悟の念が
薄く感じられてしまう点が不満に感じられたし、
彼女を巡る恋模様は、それ程、目新しくもない感じがしたので。
 また、彼女の相手、ディーンが私にはそれ程魅力的とは思えなかった。

 一方、無軌道な性に走る女子高校生たちや、
彼女らと性関係を持ったり、色々と問題を抱えた男たちの方は、
なかなかリアルな感じがしたし、実際にありそうな事件だったので、
犯人は途中で見当が付くし、意外性は無いものの、
サスペンス部分はまずまずで、上下巻の長い作品だが飽きずに楽しめた。

 なお、タイトルの『暗闇よ こんにちは』(HELLO,DARKNESS)は
サーモン&ガーファンクルの曲『サウンド・オブ・サイレンス』の
歌詞の一節らしい。


暗闇よ こんにちは(上)暗闇よ こんにちは(下)

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2007.05.20 (Sun)

『黄金の灰』(BlogPet)

きょう星影丸はbookrackが部分は推理すればよかった?
ただしきょう星影丸はポーで地元予想しなかった?


*このエントリは、ブログペットの「星影丸」が書きました。
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2007.05.19 (Sat)

『黄金の灰』

[著者]柳広司
[出版社]東京創元社 創元推理文庫
[初版発行]2006年11月30日

[感想等]
 1873年のオスマン・トルコの辺境、ヒッサルリクの丘で、
ハインリッヒ・シュリーマンは伝説の都市トロイアの実在を証明する、
莫大な黄金を発見した。
 が、その黄金が盗まれ、崩れた発掘溝で地元教会の司祭の死体が見つかり、
密室状態の教会では地元の人夫が殺害されるという不可解な事件が
連続して発生してしまう。
 黄金を盗んだのは誰か?そして、殺人事件の犯人は?

 実際の発掘現場で殺人などの事件は起こらなかったと思うのだが、
シュリーマンの二番目の夫人・ソフィアを主人公にして、
トロイア発掘の夢を実現しようとしているシュリーマンの人間性や
過去の謎に関しての興味を感じ、読んでみた。
 
 予想通り、殺人や黄金盗難の事件の真相や謎解きよりも、
シュリーマンの過去に関する話の方が面白かった。
 ただし、殺人事件の推理に関連して、シュリーマンだけでなく、
その他の登場人物達が推理し、ポーなどの有名な推理作品に
言及している点はなかなか面白い趣向だった。

 何よりも、おそらく虚構だとは思うのだが、
ブラウンという謎の人物の正体やシュリーマンの過去の
不可解な部分(初恋の女性と結婚しなかった点、弟を遠ざけた点など)
に関する解釈部分など、かなり面白いと思った。
 また、ソフィア夫人宛に前妻から来ていた手紙によって、
シュリーマンの過去の疑問を描く点なども、良く出来ていると思った。

 しかし、事件は夢なのか現実なのか定かでないという趣のある、
終わらせ方には、少々納得がいかなかった。
 フィクションなのは判っているのだから、本当にあったことだが、
公にならなかった程度の、終わらせ方でも良かったのではないか。


黄金の灰

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2007.05.16 (Wed)

『甘栗と金貨とエルム』

[著者]太田忠司
[出版社]角川書店
[初版発行]平成18年9月30日

[感想等]
 名古屋の17歳の高校生・甘栗晃は、探偵の父の急死により、
父の遣り残した仕事、12歳の少女・仁礼淑子(エルム)の
母親の美枝子を探すという依頼を引き継ぐ羽目になる。
 父の残した手帳の「美枝子は鍵の中に?」の言葉を手がかりに
父を知る人々の助けを借りながら、名古屋から東京まで、
探偵として調査を始めた晃が辿り着いた真実は・・・。

 当初は、小学校3年生の頃から自分を「私」と作文に書くような、
少年・晃が、突然の父の死に対しても、とてもクールに思え、
何事にも無関心な今時の若者かなと思えた。
 が、父の残した仕事を引き受けた彼の調査の様子に、
次第に、彼がそつなく礼儀正しい青年であり、
周囲の人々への気遣いや感謝を抱いていることや、
きちんとしているようで、実は呆然としていたことも判ったし、
彼の真面目さ、健気さが見えてきて、好ましく思えてきた。

 何よりも、淑子の母を探しながら、父の知人や仕事を知ることで、
父の偉さを感じるだけでなく、昔や恋を知るというストーリー展開も、
良く出来ていたし、東京という大都会の中で四苦八苦したり、
父を知る人達の暖かい援助などで、新しい自分を知る晃の姿には、
初々しさと清清しさがあり、青春ミステリという感じが出ていて、
良かったと思う。

 問題の「美枝子は鍵の中に?」の言葉の謎はそれ程大層ではないが、
美枝子の過去、意外な人物との接点などのストーリー展開も
まずまず楽しめ、この後の晃の姿をまた見たくなる作品であった。

 なお、作者の別シリーズの女探偵・藤森涼子が
晃の父の知人として登場し、晃を助ける点などは
作者の作品の愛読者には嬉しい。


甘栗と金貨とエルム

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2007.05.13 (Sun)

『狂桜記 大正浪漫伝説』

[著者]栗本薫
[出版社]角川書店 角川文庫
[初版発行]平成17年10月25日

[感想等]
 時は大正。南吾野の人々に「桜屋敷」と呼ばれている古い屋敷に
中学生の幹彦は母と妹と叔母、いとこ達と暮らしていた。
 旧家の複雑な人間関係と隠された秘密や謎が、奇妙な殺人事件を
引き起こしていくうちに、やがて幹彦が知った真実は・・・。

 中将桜と呼ばれる樹齢何百年もの桜に象徴されるような、
旧家の妖しげで病的な、腐敗したような雰囲気の中で、
殺人事件の発生によって、今まで知らなかった一族の、
秘密や人間関係などの事実を知る少年・幹彦の視点から、
描かれるミステリである。

 主人公・幹彦が無知な子供から、家にまつわる真実を知り、
大人になっていく様子はとても良く描かれていて面白いと思ったが、
事件の真相は途中でなんとなく、判ってしまったし、
陰惨で救いの無い、滅びの物語なのが、残念である。
 特に、同性愛的な雰囲気のある年上の少年・哲志への思い、
満たされない愛を幹彦で代用する叔父・聖彦の行為の気色悪さが
私には好きになれなかった。


狂桜記 大正浪漫伝説

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2007.05.13 (Sun)

または講談社が発行された(BlogPet)

きょう講談社で、恐怖しなかったー。
また講談社はここで恐怖した。
またはきょう星影丸は、恐怖した?
または講談社が発行された。


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2007.05.12 (Sat)

『不可解な事件』

[著者]倉阪鬼一郎
[出版社]幻冬舎 幻冬舎文庫
[初版発行]平成12年10月25日

[感想等]
 心を病んだ人々の引き起こすとんでもない事件、出来事、
悲喜劇を描いた7つの短編を収録。
 ホラー、ミステリー風味の狂気を感じる作品集。

 冒頭作、ネット中毒の青年が、ネット上での批判や攻撃、
現実での父との確執から神経を病んでいく作品『切断』の
壮絶な結末に驚きつつ、次の作品、その次と読んでいくうちに
人間の狂気が引き起こす、とんでもない数々の出来事に圧倒され、
ブラックユーモアとして片付けられないような気がしてきて、
最後にはぞっとしてしまう作品ばかりであった。

 何よりも、この作品集に出てくる事件は、今、現実で、
すぐそばで、起こってもおかしくない気がしてくるのが、
一番恐ろしいのだ。


不可解な事件

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2007.05.09 (Wed)

『気分は名探偵 犯人当てアンソロジー』

[著者]我孫子武丸 有栖川有栖 霧舎巧 貫井徳郎 法月綸太郎 麻耶雄嵩
[出版社]徳間書店
[初版発行]2006年5月31日

[感想等]
 『夕刊フジ』に犯人当て懸賞ミステリーとしてリレー連載された6編の
アンソロジー集。
 収録作は『ガラスの檻(おり)の殺人』(有栖川有栖)、
『蝶番(ちょうつがい)の問題』(貫井徳郎)、
『二つの凶器』(麻耶雄嵩)、『十五分間の出来事』(霧舎巧)、
『漂流者』(我孫子武丸)、『ヒュドラ第十の首』(法月綸太郎)に、
謎の著者座談会『わたしは誰でしょう?』を収録。

 どの作品も問題篇と解決篇の二部に分かれていて、
懸賞ミステリーの際の正解率を表示してあるのが興味深く、
犯人当てに挑戦してみたものの、どれもかなり難しいと思った。

 個人的に一番面白かったのは、奥多摩の貸し別荘において、
土砂崩れの密室状態で、5人の死体が発見されたが、
死体の身元も不明で、腐乱により死んだ順番が不明な事件を
被害者(もしかすると犯人?)の手記だけを手がかりに、
有名推理作家が犯人を推理するという『蝶番の問題』。
 懸賞の際の正解率が1パーセントだったとのことで、
当然、私にもさっぱり犯人が判らなかったし、
手記の表示から、意外な事実が判る点が非常に良く出来ていた。
 が、ネタばれになってしまうのだが、
ラストで現実の事件ではなかったことが判る点は、
少々、蛇足かなと思った。

 また、座談会におけるA~Fで表記されている発言者が、
どの著者かを当てるという趣向の『わたしは誰でしょう?』は
クイズとしての締め切りが過ぎていたものの、
連載時の裏話や大学のミステリー研究会の話などが楽しめ、
なかなか良かった。


気分は名探偵 犯人当てアンソロジー

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2007.05.06 (Sun)

『邪魅(じゃみ)の雫(しずく)』

[著者]京極夏彦
[出版社]講談社 講談社ノベルス
[初版発行]2006年9月26日

[感想等]
 昭和28年の夏、江戸川、大磯、平塚と連鎖するかのような
毒殺死体が続々と発見される。
 所轄署に左遷になっていた青木による事件の調査とは別に、
どうやら榎木津の縁談がらみの事件らしいとのことで、
薔薇十字探偵社の益田が榎木津に内緒で調べ始めるが・・・。

 事件は戦時中に旧陸軍研究所で極秘に研究されていた毒物による
毒殺事件で、陰謀的な大事件を期待してしまったせいか、
歴史に残る帝銀事件なども言及されるストーリーなのに、
いまひとつ盛り上がりに欠く事件であった。
 これは、派手な見せ場の多い榎木津や京極堂がおとなしく、
代わりに益田やいつもは情けない関口が活躍したせいかもしれない。
 それはそれで、悪くはないとも思えるのだが・・・。
 また、榎木津ファンには過去の恋愛や縁談話が気になるだろうが、
その部分もいまひとつ、期待ハズレな感じがした。
 
 何よりも、警察や益田達の事件調査の様子と加害者風な複数の人物の
心や視点による独白風な文章が入り乱れるのが、かなり混乱する。
 容疑者や犯人達が、関口によって分析理解できるような、
自己の認識が他人とは違うことに気付かない人達であり、
それぞれの独白部分を誰が語っているのかということが、
最初は判りづらいのもそれに拍車をかけるし、
被害者の1人の女性が、身元を偽って他の人になっていたのか、
という点も、なかなか明らかにならず、煙にまかれる感じで、
判りにくいまま、長々と展開されるのは少々辛かった。

 だが、自分の認識が他人と違うことに気付かなかったり、
世界と自分、他人と自分の距離感や関係が判らなくなっていたり、
悪人は殺されても当然という考えで殺人を犯すなどといった、
現代にも充分にありそうな犯人の心理や行動などに思える点は、
なかなか考えさせられるものがある作品であった。


邪魅の雫


<My Blog関連記事>『百器徒然袋―風―』

  

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2007.05.06 (Sun)

超能力的な力による解決や(BlogPet)

いつも、bookrackは
主人公たちがダディッツとの出会いによって得た、
超能力的な力による解決や、ダディッツの犠牲による奇跡的な『に
終わってしまう点なども、疑問に感じてしまった。
って言ってたよ。

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2007.05.05 (Sat)

『黄昏(たそがれ)という名の劇場』

[著者]太田忠司
[出版社]講談社 講談社文庫
[初版発行]2007年2月15日

[感想等]
 夕暮れの薄闇が下りてくる黄昏への思慕や恐怖を感じている
流刑に処されているらしい「私」。
 その「私」の前に現れる老若男女の語る物語という形式で
繰り広げられる、時代や場所も定かでない、8つの短編からなる
連作短編集。

 時代も場所もハッキリとは書かれていないが、
英国の海軍や海賊の冒険譚風な話が人形にまつわる
恐怖体験に変わっていく、巻頭作の『人形たちの航海』や
英国庭園を思い起こすような貴族の園芸趣味の館が舞台で、
家庭教師の味わった恐怖体験を描くの『鎌の館』、
列車内で名探偵が殺人鬼と対決している物語が、
怪奇小説風なオチで終わる『憂い顔の探偵』などは、
特に面白く感じられたし、その他の作品も、
ヴィクトリア朝の英国を舞台にした、怪奇幻想小説を
連想させる短編集に思え、それぞれ不思議さ、怖さを楽しめた。

 が、各々の短編で単に語られている物語の内容の恐怖や
妖しさが面白いだけでなく、主人公「私」の寂しさや苦しみも
感じさせられる導入部と結末部にも趣があり、面白い。
 そして、最後の『黄昏、または物語のはじまり』で、
主人公の正体の全てがやっと明らかになるかと思ったら、
結局のところは、また黄昏の中に沈んでいくような、
曖昧な結末が、作品の幻想性を高めている感じで悪くなかった。


黄昏という名の劇場

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2007.05.03 (Thu)

『ドリームキャッチャー』(1・2・3・4)

[著者]スティーヴン・キング
[訳者]白石朗
[出版社]新潮社 新潮文庫
[初版発行]平成15年2月1日(1・2) 平成15年3月1日(3・4)

[感想等]
 メイン州の町デリーで育った幼馴染、ジョーンジー、ヘンリー、
ビーヴァー、ピートの4人組が毎年恒例の山間での鹿撃ちに集まる。
 そこでエイリアンと遭遇した彼らは、人類侵略という悪夢の中へ・・・。
 彼らと、しばらく疎遠だった瀕死の床にいる旧友ダディッツとの絆が、
エイリアンの侵略を防ぎ、人類の救いになるのか・・・?

 アメリカ先住民の悪夢除け「ドリームキャッチャー」に象徴される、
少年時代からの友人たちの絆が、エイリアンの地球侵略を防ぐという、
オチの判っている話なのだが、引き込まれて読んでしまう迫力はある。

 それぞれの過去への回想、大人になって抱えている問題、
現実のエイリアンとの闘い、それぞれに見所があるのだろうが、
特に自分の身体を乗っ取ったエイリアンに対抗するジョーンジーが
部屋に立てこもっているという形で表現されていく、
心理的な攻防戦が、私にはなかなか面白く感じられた。

 しかしながら、エイリアンの侵略行為に対しての、
軍人・カーツなどに象徴されるような狂信的な暴力による反撃、
政府などの情報公開をしないで上手く隠そうとする企み、
エイリアンに右往左往させられあっさり死んでしまう人々への
怒りや悲しみが希薄で、おふざけ的な事件に感じられる点がいまひとつ。
 また、主人公たちがダディッツとの出会いによって得た、
超能力的な力による解決や、ダディッツの犠牲による奇跡的な話に
終わってしまう点なども、疑問に感じてしまった。

 さらに言えば、エイリアンと共に出現する寄生生物の描写が、
グロテスクすぎて、悪趣味すぎる。
 この作品は映画化されているそうなのだが、描写そのものの
寄生生物が出てくるなら、観たくないと感じさせられた。


ドリームキャッチャー(1)ドリームキャッチャー(2)ドリームキャッチャー(3)ドリームキャッチャー(4)


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