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2007.06.30 (Sat)

『騙し絵の館』

[著者]倉阪鬼一郎
[出版社]東京創元社 創元クライム・クラブ
[初版発行]2007年3月30日

[感想等]
 過去に怯えながら館でひっそりと暮らすお嬢様・鏡子と彼女を守る執事・久村。
 頑なに作品の刊行を拒むミステリー作家・伊原真彦こと金原美彦。
 「額縁の中の男」と名乗る者による、連続少女誘拐殺人事件が発生する中、
人々の過去や謎が殺人の犯人と共に次第に明らかになる。

 猟奇的な事件の経過が描かれ、作家・金原が犯人の「額縁の中の男」の正体を
暴くために、謎めいた館の周囲を探っていき、犯人を告発することよりも、
いわくありげなお嬢様と執事、金原の秘密の謎解きが少しずつ明かされて行くのが
この作品の本題になっているようである。
 つまり、幻想的な舞台の内で巧みにぼかされた表現による伏線に騙され、
最後に金原の秘密が判るのが面白いと思えれば、楽しめる作品である。
 
 一方、猟奇殺人の結末の方に関心を抱いてしまうと、少々物足りない。
 特に、はっきり書かれていないために、登場人物の関係などが良く判らず、
犯人も唐突に登場してきたような印象が否めないし、猟奇殺人としても
犯行動機や犯人像などもありきたりで単に残酷だとしか思えない点が、
私には残念に思えた。


騙し絵の館


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2007.06.27 (Wed)

『少年検閲官』

[著者]北山猛邦
[出版社]東京創元社 ミステリ・フロンティア
[初版発行]2007年1月30日

[感想等]
 書物を所有していることが判ると、隠し場所と共に焼かれてしまうという
規則がある世界を独りで旅する英国人の少年・クリス。
 日本の小さな町に来た彼は、町中の家々に赤い十字架のような印が残され、
首なし屍体が発見されるという事件に遭遇する。
 ミステリを検閲するために育てられた少年エノと出会い、彼と、
「探偵」と名乗る犯人の正体を明かそうとするクリスだったが・・・。

 近未来かパラレルワールドなのか、書物が焚書されて存在せず、
本を見たことが無い少年・クリスを主人公としたSF風なミステリで、
エノという少年との出会いを描いた作品は、続編が予定されているらしい。
 その為か、何故、舞台となっている世界の海岸部が水没しているのか、
何故、書物を排斥しているのかが良く説明されていないまま
話が終わってしまうし、犯人の判明も動機もいまひとつで、
スッキリしない感じが残ってしまった。

 けれども、宝石のような形で情報が沢山詰まった「ガジェット」や
主人公・クリス、検閲官・エノなどの人物設定が面白く、良く出来ている。
 特に、クリスが亡父に聞かされていたのが英国のミステリというのも、
なかなか洒落ているし、不思議な魅力のある作品である。


少年検閲官


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2007.06.25 (Mon)

彼を送って行った先で(BlogPet)

ほんとうは、bookrackは
『・千鶴と花見に出かけた志郎は、偶然に大学時代の
ドイツ語教師・ヘルムバウムに出会い、彼を送って行った先で、
中京財界の重鎮であるトマス工業の元会長・宮谷巌の死体を発見する。
って言ってたけど…

*このエントリは、ブログペットの「星影丸」が書きました。
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2007.06.24 (Sun)

『伯林(ベルリン)水晶の謎』

[著者]太田忠司
[出版社]祥伝社 ノン・ノベル
[初版発行]平成6年1月20日

[感想等]
 作家探偵・霞田志郎(かすみだしろう)シリーズの第3作目。
 妹・千鶴と花見に出かけた志郎は、偶然に大学時代の
ドイツ語教師・ヘルムバウムに出会い、彼を送って行った先で、
中京財界の重鎮であるトマス工業の元会長・宮谷巌の死体を発見する。
 刺殺され、ガラスの破片に覆われた被害者の死体からは、
「ベルリンの水晶」と呼んでいた守り袋が無くなっていて、
1938年11月に起きたナチスによるユダヤ人襲撃の
「水晶の夜」を思い起こさせる事件であり、
ドイツへ留学経験のある被害者の過去が事件や犯人に
関わりがありそうな事件であった。
 さらには過去に彼に関わった人物が自殺をしてしまう・・・。

 「水晶の夜」という名前は美しいが、ナチスのユダヤ人襲撃による
ガラスの散乱という悪夢の事件を連想させる殺人事件という設定が
非常に凝っているように思われ、興味をそそられ、読み始めた。

 しかし、ネタばれになってしまうのだが、実は歴史的事件は
直接は殺人の動機ではなかったので、その点は少々期待外れに
感じたし、同じように感じる人もいるのではないだろうか。
 けれども、この作品に登場する「水晶の夜」は
辛い過去を思い出す事件の象徴としては良く出来ている。
 何よりも過去の思い出を忘れられずにいる人々の姿が心に残り、
犯人の意外性などもあり、深い作品になっている。

 とりわけ、私が、この作品で深く感じたのは、
民族の違いによっての争いや弾圧はもちろん悲惨であるが、
それ以外にも、同じ日本人が、思想などの違いで対立したり、
賛成者が多いことや力による暴力で弱者を追い詰めたり
虐げることの、怖さ、酷さである。
 また、ほんの些細な行き違いが、簡単に人を殺すことに
なってしまうことの、恐ろしさである。
 人間は人間を傷つけざるを得ない生き物なのかと思うと悲しい。


『伯林水晶の謎』(amazon.co.jp)

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2007.06.23 (Sat)

『500年のトンネル』(上・下)

[著者]スーザン・プライス
[訳者]金原瑞人 中村浩美
[出版社]東京創元社 創元推理文庫
[初版発行]2003年6月27日

[感想等]
 21世紀。私企業・FUPは極秘裡に開発した装置「タイムチューブ」で、
装置の向こう側の16世紀のイングランドとスコットランド辺境地帯の
天然資源や観光資源を独占しようとしていた。
 16世紀のスターカーム一族は、21世紀人を「エルフ」と呼び、
「鎮痛剤」を手に入れるために、天然資源などを提供することに
同意しているように見えたが・・・時を越えた戦闘が勃発してしまう。

 通訳として送り込まれた21世紀の女性研究員・アンドリアが、
16世紀の美しい青年・ピーアと戦いの中で恋に落ちるというような、
次元を超えた恋という要素はSFにはありがちな設定だとは思う。
 が、この作品は、単なるSFファンタジー的な恋物語ではない。

 21世紀人のアンドリアの視点から見ている、
16世紀社会の衛生的でない衣食住の描写が、とても生々しく
迫力に満ちているように感じられた。
 名誉を重んじ勇猛果敢な16世紀人の素朴な良さと、
一族第一的な嫌らしさや狡さなどが、ある意味では、
21世紀人よりも人間的な魅力に満ちていると思えてしまう。
 だから、16世紀の美青年・ピーアと恋に落ちてしまった、
アンドリアが、21世紀と16世紀の利害の板ばさみになり、
悩む姿にも無理が無いように思われるし、
SFなのに、「タイムチューブ」のある21世紀の世界よりも、
16世紀の世界が心に残る不思議な作品である。

 そして、文明の進歩で無くしてしまった人々の強さ、
化学汚染の無い資源の貴重さなどを感じてしまったり、
作中の21世紀のホームレスが16世紀の方が住みやすいと
感じる点なども、かなり辛口で皮肉な作品であり、
単に時間を巡る戦争や恋物語ではない、深みのある物語である。
 
 なお、16世紀の一族・スターカームは歴史上に実在する
一族ではなく、モデルはあるが作者の創作らしい。


500年のトンネル・上500年のトンネル・下

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2007.06.20 (Wed)

『十一月の扉』

[著者]高楼方子
[出版社]新潮社 新潮文庫
[初版発行]平成18年11月1日

[感想等]
 中学2年の爽子(そうこ)は、偶然みつけた洋館「十一月荘」で、
転校前の数週間を家族と離れて過ごすことになる。
 洋館に暮らす人々や、洋館を訪れる人々との出会いの中で、
様々な経験をし、彼らをモデルに爽子は童話を書き始める。

 思春期の少女にとって、家族と離れて、大人になった気分で
暮らすというのは、とても憧れる体験ではないかと思う。
 が、そんな行為を許す両親や爽子を受け入れる館の人々は、
理想的な大人像であって、実際には存在しそうも無いし、
彼女の周囲で起こる出来事の中にも悪人による悪意は無く、
少年・耿介(こうすけ)との初恋的な共感までもが加わる物語は
あまりに出来すぎで、爽子の書き綴る童話と同じ、夢物語では?
という気がしてしまうのが難点である。

 けれど、現実の厳しさを離れて、ひと時こういう時間が持てたら、
思春期の少女も大人も幸せだろうし、息抜きになるに違いないと
思えるならば、なかなか楽しめる作品ではある。
 
 個人的には、解説の斎藤惇夫の「耿介からの手紙」という
物語のその後を空想した一節が、面白いと思ったので、
出来れば、「十一月荘」での体験などを糧にして、
その後、現実の世界で生きていった爽子を見たい気がした。


十一月の扉


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2007.06.17 (Sun)

『名もなき毒』

[著者]宮部みゆき
[出版社]幻冬舎
[初版発行]2006年8月25日

[感想等]
 妻の父が経営している財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、
トラブルを起こし解雇したアルバイト・原田いずみの身上調査のため、
私立探偵・北見を訪問し、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという
女子高生・古屋美知香と知り合う。
 そのことで、杉村はアルバイト解雇問題に関わるだけでなく、
無差別毒殺事件にまで首を突っ込むことになってしまう。

 本書にはタイトルにある「毒」として、無差別毒殺事件や
シックハウス等の社会的にも話題になるような問題としてだけでなく、
原田いずみという女性の性格にある「毒」までも登場し、
主人公の杉村の周囲で、様々なストーリーが平行して進んで行き、
一気に読んでしまうようなストーリー展開であった。

 とにかく、原田いずみという女性の自己正当化の為に嘘を付き、
攻撃するという「毒」に侵された人々の姿に同情を覚え、
毒殺事件以上の恐怖を覚えた。
 彼女に同情出来るような性格破綻の原因が無いせいか、
可哀想という気持ちも起こらない自分が怖くなったし、
実は自分の周囲にも普通にいる人間の1人なのかもしれない
と思わせられ、圧倒されてしまった。

 それに対して、婿養子的な立場にいても、純で人の良い杉村という
主人公は、ちょっと理想的な人物すぎて、実在しそうにもないような、
気がしてしまうのが、難点かもしれない。

 また、原田いずみの問題で、無差別毒殺事件の方が、
少々、印象が弱く、被害者家族への中傷などといった問題が、
あまり心に響いてこず、犯人像もあまり意外ではない気がした。
 杉村を媒介とするように、いずみと美知香の祖父の毒殺犯が関わる
事件が起きるという展開が、感動的な結末を招くのだが、
あまりにも都合が良すぎるように感じられてしまう点も少々残念である。

 なお、この作品は『誰か』という作品の続編に当たるのだが、
前作を読まなくても充分に楽しめると思う。


名もなき毒

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2007.06.16 (Sat)

『虹果て村の秘密』

[著者]有栖川有栖
[出版社]講談社 ミステリーランド
[初版発行]2003年10月29日

[感想等]
 小学校6年生の上月秀介(こうづき・しゅうすけ)は夏休みを
同級生の二宮優希(にのみや・ゆうき)の虹果て村にある別荘で
過ごすことになった。
 刑事の父を持つ秀介は優希の推理作家の母に憧れ、
将来は推理作家になりたいと思っているし、
優希は刑事になりたいと思っている。
 そんな2人が村で起きた殺人事件の謎を推理していくミステリ作品。

 子供を読者とした作品だが、殺人事件の謎やトリックも、
高速道路開発を巡る社会問題もしっかりと描かれていて、
大人の視点でも満足できるミステリだと思った。

 もし、自分の子供時代にこんな作品があって、事件の謎を
考える機会があったら、きっと楽しかっただろうと
思わせる作品だし、事件の背景になる高速道路に関しても
建設を賛成する立場、反対する立場の主張が両方描かれていて、
どちらが良い・悪いではない点に好感が持てた。

 子供時代のワクワクする夏休みを思い出せる点なども、
大人にもお勧め出来る作品になっているのではないだろうか。


虹果て村の秘密


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2007.06.13 (Wed)

『夏の魔法』

[著者]北國浩二
[出版社]東京創元社 ミステリ・フロンティア
[初版発行]2006年10月30日

[感想等]
 ケルトナー症候群という早老化する難病のため、
22歳で老婆の姿となった、主人公・夏希。
 中学時代に恋した相手・ヒロと楽しく過ごした南の島で
迫り来る死を迎えようと思い、偽名で島でやってくる。
 そこで、再会したヒロは逞しく聡明な青年に成長していて、
その側にはとても美しい女性・沙耶がいた。
 老婆としてヒロに接しながら、夏希に生まれる殺意から、
事件は起きた時、真実が明らかになる。

 やっと諦めの境地に近づき、穏やかに死のうとしていた主人公が
思い出の島で初恋の少年が成長した青年になったのに出会えたことで、
心をかき乱されてしまう、というのは、かなり残酷な設定であるが、
夏の島の様々の出来事やヒロや沙耶との交流で、
すっかり老婆の心境になっていたような主人公が、次第に
本来の自分らしさを取り戻していく姿が描かれていくのは、
悪くなく、感動的でさえあった。

 しかし、葛藤や苦しみの末に、最後にヒロに会えた喜びで
最後に幸福に死ぬことが出来るのか、あるいは「魔法」という
何か超現実的な出来事で、彼女の病気が治るのではないかと、
期待していたのに、犯罪を計画し、実行するという形になったので、
裏切られてしまったような心地がして、がっかりした。
 幻想的な小説を書く夏希が、「魔法」を信じられないというのは
かなり皮肉だと思った。もちろん、体は老婆であっても、
心は若い嫉妬深い女性だというのは当たり前だし、
ミステリー作品なのだから、犯罪事件が起きないはずはないのだが。

 何よりも、主人公のやってしまったことの罪深さよりも、
真実を知っていた周囲の人達の善意が作為的過ぎて悪意を招いた、
そんな気がしてしまうような、後味の悪さを感じたのも残念である。

 なお、ケルトナー症候群という病気は架空だそうだ。


夏の魔法

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2007.06.11 (Mon)

これは(BlogPet)

今日、bookrackが

これは、若さゆえの『らしさを描いたためというのなら、
成功しているのだろうが・・・。
とか思ってるよ。

*このエントリは、ブログペットの「星影丸」が書きました。
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2007.06.10 (Sun)

『EDS緊急推理解決院』

[著者]新世紀「謎」倶楽部(石持浅海 加賀美雅之 黒田研二 小森健太朗
    高田崇史 柄刀一 鳥飼否宇 二階堂黎人 松尾由美)
[出版社]光文社
[初版発行]2005年11月25日

[感想等]
 9人の作家によるミステリー合作長編。
 2004年12月24日。新宿副都心にある「EDS緊急推理解決院」で
繰り広げられる、様々な出来事が描かれる。

 警察で対処出来ない事件を名探偵の推理力で早期解決するという
「EDS緊急推理解決院」という施設が出来、事件の内容により、
専門分野ごとの科にいる探偵師と助師が解決にあたっているという
設定がなかなか面白く出来ている。
 そして、様々な作家が担当の科 ~ 怪奇推理科(加賀美雅之)、
スポーツ推理科(黒田研二)、女性推理科(松尾由美)、
小児推理科(二階堂黎人)、外国人推理科(小森健太朗)、
歴史推理科(高田崇史)、動物推理科(鳥飼否宇)、
不可能推理科(柄刀一)、院長室(石持浅海)、
受付(二階堂黎人) ~ ごとに分担して書いていくというのは、
リレー小説的な合作よりも、各人の趣味や長所が生かさせる方法で、
良い着想だと思った。

 が、その反面、同時進行で話が進み、あちこちの科へ話が飛ぶのが忙しく、
話が中断してしまうのがもどかしい。
 頁隅に科毎に分類したマークが描かれていて、見たい頁へすぐ行け、
科毎にストーリーを連続して読むことも出来るように工夫されているのだが、
やはり、本は頁順に読んでいくのが普通だと思うので。

 そして、あっと言わせるような大事件や謎が登場しないまま、
ハッピーエンド風に終わってしまうのが残念。
 また、作品の探偵キャラクターをそのまま使っている作家もいるので、
ある程度、各々の作家の別作品を読んでいたほうが、楽しめるだろう。
 私的には、二階堂黎人の幼稚園生探偵・渋柿信介が
小児推理科で探偵師をしているのが読めて、ちょっと嬉しかった。

 なお、「EDS」は「Emergency Detective Services」の略である。


EDS緊急推理解決院

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2007.06.09 (Sat)

『失われた探険家』

[著者]パトリック・マグラア
[訳者]宮脇孝雄
[出版社]河出書房新社 奇想コレクション
[初版発行]2007年5月20日

[感想等]
 行方不明の19世紀の探検家を12歳の少女が家の庭で見つけるという
幻想か空想か判らないような、不思議な出来事を描いた、
表題作『失われた探険家』など、ミステリー的、SF的、ゴシックホラー的な、
異色短編19編を集めた短篇集。

 ゴシック的なホラー作品やSF的な寓話なども悪くは無いのだが、
語り手の精神的な歪みを描いた作品や犯罪を扱った作品が
とても真に迫っていて面白いと感じた。
 著者の父は精神医ということであるが、なるほどなと思った。
 
 特に心に残ったのは、語り手の語る物語の最後になるまで、
奇妙な出来事だとか、語り手の周囲の人々に非があるように思わせ、
真実が判ってくるうちに、語り手の妄想や病んだ心に気付き、
最後にあっと驚かされるという手法の鮮やかさと怖さである。

 例えば、『もう一人の精神科医』の語り手の精神科医によると、
同僚の精神科医がかなり異常で問題のある人間に思えるが、
実は、本人が一番恐ろしい人間であると判るラストにはぎょっとした。

 また『監視』という作品など、最初からかなり異常な語り手だと
感じながらも、最後のオチにはますます驚くといった具合。

 それ以外の作品では、死刑執行寸前の連続殺人者と面会し、
記事を書こうとする女性記者の体験を描いたミステリー的な作品、
『アーノルド・クロンベックの話』なども、最後のオチがとても良かった。


失われた探険家

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2007.06.06 (Wed)

『波のうえの魔術師』

[著者]石田衣良
[出版社]徳間書店 徳間文庫
[初版発行]2007年2月15日

[感想等]
 1998年、バブルが破局に近づいた頃、就職浪人中のおれ・白戸則道は
謎の老資産家・小塚泰造と出会い、彼の秘書として雇われる。
 そして、全くの株の素人のおれは老人と巨大銀行・まつば銀行を相手に
株価を落とし、大金を手にする作戦「秋のディール」を仕掛ける。

 相場や株に関してほとんど知識が無いので、主人公の視点で、
物語を読むことが出来たせいもあり、スピーディなストーリー展開と、
巨大な悪に立ち向かうという設定の痛快さで、なかなか楽しめる作品であった。

 もちろん、バブル時代終焉の頃、巨大銀行や保険会社が、
知識の無い老人を相手に、不当な利益を得たというような事件や、
この話に出てくるような株の相場の操作がリアルであるのかという点は
良く判らないし、話が進むにつれ、少々、判りづらい部分もあった。
 また、株の操作で安易に金儲けし、犯罪行為に手を染めるなど、
復讐としてもどうだろうなどど、道徳的な面ではあまり良い話ではない。

 が、それを救うのは、夢も希望も無いような、拗ねた若者が、
1人の老人との出会いで、株という世界に興味を抱き、
巨大な銀行の悪事への怒りを感じながら、次第に変わっていき、
老人と一緒に復讐を行おうとする姿が、嫌らしく感じない点である。
 ほっとする結末も、良かったと思った。


波のうえの魔術師

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2007.06.04 (Mon)

もっと読んでみたくなったので(BlogPet)

bookrackは
取り締まりがあって、絵を描くことが出来なくなった後、
英語力を元に、世界へ飛び出していった作者のその後の話が、
もっと読んでみたくなったので、次作があることを『したい。
とか思ってたらしいの。

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EDIT  |  12:02 |  星影丸の投稿  | TB(0)  | CM(0) | Top↑
2007.06.03 (Sun)

『蒲公英草紙(たんぽぽそうし) 常野物語(とこのものがたり)』

[著者]恩田陸
[出版社]集英社
[初版発行]2005年6月10日

[感想等]
 年老いた峰子が自分の書いた「蒲公英草紙」を見ながら、
20世紀初頭の東北の農村の旧家の病弱なお嬢様・聡子の
お相手役として通うことになった少女時代の自分の経験を回想する。
 田舎の大きなお屋敷には聡子やその家族だけでなく、
様々な滞在客が出入りしていた。
 そこへ突然、不思議な能力を持つ常野一族の春田一家がやってくる。
 彼らの登場は悲しい事件の後に不思議な出来事を起こす。

 この作品は3部作の『常野物語』シリーズの2作目だそうで、
私は1作目の『光の帝国』を読んでいないのだが、設定など、
あまり気にせずに独立した物語、老女のノスタルジー物語として
楽しむことが出来た。

 多くの人々の記憶や思いを、自分の中にしまえる能力を持つ
特殊な一家が、迫害されたり、苦しんだりしないで、
田舎の旧家で暮らせる時代ののんびりとした雰囲気がとても良い。
 何よりも彼らがいたことで、聡子の死が与える
人々のショックや苦しみが和らげられる点にほっとした。
 また、絵描き・新太郎や仏師・永慶という、
芸術の世界で行き詰っていた2人の青年が、
聡子や常野一族との出会いによって、立ち直る姿も心に残る。
 
 が、一方、現在の峰子は第2次戦争中の辛い時代にいて、
昔を懐かしむだけというのは、少々哀しい。
 その対比が良いと思う人もいるかもしれないが、
私は、現在の峰子を救う、常野一族もいる話だと
もっと良かったのにと思われてならない。
 

蒲公英草紙 常野物語

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2007.06.02 (Sat)

『夜夢(よるゆめ)』

[著者]柴田よしき
[出版社]祥伝社
[初版発行]平成17年3月20日

[感想等]
 正体不明の怪しげな語り部たちが語るという形式でまとめられた、
『月夜』など9作品を収録した短編恐怖小説集。

 恋愛の絡んだ恐怖体験を描いた作品が主なのだが、
テーマも作風も様々で、幻想的な部分も強い作品も多く、
それ程怖くは感じないで読めた。

 特に幻想的な雰囲気が強かった『語りかける愛に』は
夫の束縛の怖さがテーマかと思ったら、それよりも、
結末の不可思議さやファンタジックな雰囲気が心に残る作品で、
私はわりと好きである。

 また、つぶつぶへの恐怖を描いた『つぶつぶ』などは、
他の人にはありふれたものが、人によっては
狂気に至る恐怖になる点が、かなり怖く感じた。


夜夢

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