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2007.07.29 (Sun)

『幽恋舟(ゆうれんぶね)』

[著者]諸田玲子
[出版社]新潮社 新潮文庫
[初版発行]平成16年10月1日

[感想等]
 黒船来航直前。深川の東はずれ、中川河口で出入りする船の監視をする舟番所の
御番衆・杉崎兵五郎(ひょうごろう)は47歳の旗本。
 彼は出世は諦めていて、妻を亡くし、2人の娘は嫁ぎ、息子がいて隠居も近い。
 暇な舟番所の仕事が続いているある日、夜間航行の禁を犯す怪しい舟を見つける。
 その舟に乗っていたのは、17歳の鎌倉・富田屋(旅籠)の娘・たけと女中・つる。
自らの狂気に怯え入水しようとしたたけを救った兵五郎は、彼女を自宅へ保護し、
彼女の実の肉親の消息を探るうちに信州飯田藩主・堀石野守の過去や
堀家のお家騒動に巻き込まれてしまい、次第にたけに心惹かれていく・・・。

 17歳との娘への恋心に戸惑いながらも、彼女のために、
町奉行の定周り同心の親友・大島哲之進の力を借りつつ、
危ない思いをしながら駆けずり回る兵五郎の姿がこっけいではなく、
その一生懸命さに微笑ましささえ感じさせられた。
 これは、彼とたけ、親友・大島や息子などとのやりとりの様子に、
彼の人柄の良さが感じられるからであろう。

 たとえ旗本でも、大名家の内情にそんなに首を突っ込めるのかが
少々疑問ではあるが、そういう点も娘・たけの素性や真実などが
解明していく話の展開が面白いので、気にならなくなってくる。
 
 ただ、たけという女性の人間像が、女中のつるのせいもあるのか、
しっかり伝わってこなくて、悩める美女としか感じられない気がして、
兵五郎をどう想っているのか、良く判らないままで話が展開し、
いきなり「抱いて欲しい」とねだる点が唐突に思えたりする。
 その点が、少々残念な気がするが、ラストにほっとさせられるし、
なかなか良い作品だと思った。


幽恋舟

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2007.07.28 (Sat)

『恋縫(こいぬい)』

[著者]諸田玲子
[出版社]集英社 集英社文庫
[初版発行]2007年3月25日

[感想等]
 上方への年季奉公に行った幼馴染・龍次が突然帰ってきた。
 密かに恋い慕っていた、おいとは彼が女と一緒に奉公先より
飛び出してきたと知り、驚くのだが・・・町娘の純情を描く表題作『恋縫』
他『路地の奧』『竹薮をぬけて』『花火』の四篇を収録した時代短編集。

 表題作『恋縫』は、幼馴染を想う町娘の純情さに江戸時代を感じ、
古着屋を営む・父の尽力などを受け、
幼馴染を立ち直らせる愛の強さが印象的で、気持ちの良い短編。
意外な父の過去などが判る点なども面白い。

 その他の作品では、剣術修行のために江戸へ向かう途中の、
保土ヶ谷宿手前の辻村で長逗留後、不慮の死を遂げた甥(姉の息子)の
不審を抱いた若い叔父・隹新吾が遺骨の引き取りに赴き、
その死の謎を解こうとする12日間の出来事を描いた『竹薮をぬけて』が
推理物の趣があり、なかなか面白く感じた。
 特に、甥・松之助が女に心惹かれ、長逗留していたらしいと
彼からの手紙から知っていて、その相手の後家・おさえに
不審を抱きながら、その若さと美しさに溺れそうになる新吾の惑いや
村の人々や口の利けない女中・おときなどの脇の人間の描写も面白く、
ラストのほっとする幕切れも良かった。
 ただし、幕切れは、改稿されて、当初とは変わっているらしいので、
以前の幕切れが少々気になった。

 残り2作品、武家の若妻が夫の恩人の老人に官能を目覚めさせられ
懊悩する『路地の奧』はちょっと露骨な部分が気になったし、
『花火』は小悪人の男・安二郎が破壊の道をたどる原因になる、
大店のお内儀である潤んだ目の女・お佐和に女の怖さを感じさせられたし、
ラストは鮮やかだが、後味がいまひとつ嫌な気分が残った。


恋縫

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2007.07.25 (Wed)

『鈴木いづみプレミアム・コレクション 』

[著者]鈴木いづみ
[出版社]文遊社
[初版発行]2006年3月24日

[感想等]
 モデル・女優を経て作家活動もし、夭折した天才アルト奏者・
阿部薫の妻であり、新聞、雑誌、舞台、TV、映画など
様々なメディアに関わる注目の存在でありながら、生き急ぐように、
36歳で首吊り自殺をした幻の作家・鈴木いづみのSF小説や
エッセイなどを集めた作品集。

 私は、浅学で著者を知らなかったが、手に取った本書解説の
高橋源一郎の「幻の作家」「伝説の作家」という言葉に心惹かれて、
読んでみることにした。
 小説作品は発表当時の1970年代頃のカルチャーも盛り込まれた
SF作品が、現在でも充分に通用し、楽しめそうなアイディアで
描かれている点に驚き、興味を感じた。
 また、エッセイは、彼女の生きた時代風俗が伝わってくるし、
彼女の考えが赤裸々過ぎるほど、率直に伝わってくる感じであった。

 特に、面白かったのは、男は収容所に収容される無気力な存在で、
女たちだけで生活している近未来らしい社会の中で、
収容所外でこっそり生きている少年に出会った少女を主人公にした
小説『女と女の世の中』である。
 女中心の女にとっては素晴らしい理想郷とも思える世界なのに、
やはり女には男が必要なのだと思わせる点が、皮肉であり、
哀しい感じがして、心に残った。

 また、『夜のピクニック』という小説は、地球以外の星らしい場所で、
必死になって良く知らない地球の風俗を本やビデオなどを参考に
人間らしい文化的暮らしをしようとしている一家を描く作品なのだが、
夜にピクニックに出かけるのを妙だと思わなかったり、
外見や服装など細部までにこだわる、その文化の解釈振りが可笑しく、
現代の文化の薄っぺらさまでも感じさせられるような気がした。
 何より、うすうすは判っていたが、やっぱり・・・と思わせる
結末までも面白く、良くできたSFであると思った。


鈴木いづみプレミアム・コレクション

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2007.07.22 (Sun)

『LOVE LOGIC(ラブ・ロジック) 蜜と罰』

[著者]清涼院流水
[出版社]角川書店
[初版発行]2005年1月10日

[感想等]
 秘密の恋人を探すための会員制クラブ「Secret Lovers」の
10代、20代、30代、40代、50代の5つの世代から
男女1人ずつ、10人の会員たちが選ばれ、イベントに招待された。
 リゾートのログハウスに集まった彼らは、5組のカップルになるはずで、
理想的なカップルが、1時間毎に1組ずつ、部屋から脱出しないと、
死が待っているというゲームへ、否応も無く参加させられてしまう。
 果たして、全員が正しい相手を見つけて無事に出られるのだろうか?

 後半がゲームブックという変わった形式の作品である。
 ゲーム形式を取ったのは、正しい組合わせを簡単に推理しにくくする
作者の狙いなのだろうか?
 私の場合はゲームブックは好きではないし、慣れていないせいか、
あちこち頁をめくり展開を追うのがかなり面倒に思われたし、
正しい選択肢を選ばないと、いきなりBAD ENDになって興ざめだし、
じっくりとストーリー展開を楽しめず、イライラさせられた。
 ゲームブックに慣れていて、色々な展開や結末を読めるのは楽しい
と思える人には、面白いのかもしれないが・・・。

 何よりも、ゲームに命を懸けた切迫感がそれ程あるとは思えず、
裏事情が判っても、所詮、遊びの中の世界という印象が残ってしまった。
 それは、登場人物たちの人物像や裏事情も意外さや興味深さを感じず、
薄っぺらな感じがしてしまい、共感や同情を覚えられなかったからだろう。
 そして、ラストの教訓的なオチがなんだか興ざめであった。


LOVE LOGIC 蜜と罰


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2007.07.21 (Sat)

『回想のビュイック8』(上・下)

[著者]スティーヴン・キング
[訳者]白石朗
[出版社]新潮社 新潮文庫
[初版発行]平成17年9月1日

[感想等]
 ペンシルヴェニア州の田舎町のD分署の倉庫に眠る、
新品同様の謎の車・ビュイック8(エイト)。
 警官の父を不慮の事故でなくした18歳の少年・ネッドは
父の元同僚たちから、署の外には洩らされていないビュイック8の秘密、
信じられないような出来事やビュイック8と父の関わりを聞かされる。

 謎の車を巡る怪事件は、とても信じられないSF的な展開と、
キングらしいホラー描写で、とにかく気持ち悪く不気味であった。
 過去を語る父の元同僚たちのネッドへの愛情や信頼、
亡きネッドの父・カートを含めた仲間意識などを感じさせる
田舎の警察の誇りや連帯感が人間らしく感じられなかったら、
あるいは、謎の解明を期待していなかったら、読み進めるのは
かなり長く辛く感じたかもしれない。
 もっとも、元同僚たちはビュイック8に関わる怪事件を、
信頼できる部外者に打ち明けてどう感じるか知りたかったのではと、
感じられる点も無かったとは言えないが・・・。

 だが、何よりもネッドが父自身がビュイック8に魅せられたことや
起こった出来事をどう思っていたかを知ることが無い展開が残念だし、
結局、ビュイック8は何だったのかという疑問は仮説的な答えしか
与えられていない点や最後のオチにも、少々不満が残ってしまった。


回想のビュイック8(上)回想のビュイック8(下)


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2007.07.18 (Wed)

『樹霊』

[著者]鳥飼否宇
[出版社]東京創元社 ミステリ・フロンティア
[初版発行]2006年8月31日

[感想等]
 北海道の撮影旅行の最中、植物写真家・猫田夏海(ねこたなつみ)は
「日高地方最奥部の古冠村で土砂崩れにより巨木が数十メートル移動した」
という話を聞き、興味を抱き、訪れることにした。
 そこは、アイヌのテーマパーク建設のために乱開発された森で、
役場の青年・鬼木洋介(おにきようすけ)の案内で見学した夏海は、
街路樹のナナカマドが謎の移動をするという怪事や
建設に反対していたアイヌ代表の道議会議員が失踪するという事件が
発生していることを知る。
 やがて、ほのかに好意を抱いた洋介が変死するという事件に発展、
旧知の“観察者”探偵・鳶山久志(とびやまひさし)に夏海は助けを求める。

 パワーシャベルなどの建設用具を使った樹木移動のトリック、
アイヌの風習のなど少々珍しい要素に、テーマパーク建設による乱開発、
土地の有力者と建設反対者との対立する人間関係が殺人を招くという
おなじみの展開が絡むミステリで、様々な謎がなかなか興味深く、
夏海の視点で物語が語られる点が感情移入しやすく、楽しめる作品であった。
 特に、アイヌの風習が意外な形で伏線になっていたり、
写真が事件解決に絡む点などが、良く出来ていると思った。

 が、途中から登場する好感の持てない“観察者”探偵ではなく、
夏海に最後まで頑張ってもらい謎を解いて欲しかったという不満を
感じさせられたのが、少々残念である。


樹霊

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2007.07.15 (Sun)

『顔のない敵』

[著者]石持浅海
[出版社]光文社 カッパ・ノベルス
[初版発行]2006年8月25日

[感想等]
 1993年夏にカンボジアで地雷除去NGOのスタッフ・坂田洋が遭遇した、
現地の青年・チュオン・トックの爆死事件を描いた表題作『顔のない敵』
などの「対人地雷」をテーマにしたミステリー6編と、
エレベーターでの刺殺事件を扱った処女作短編『暗い箱の中で』を収録。

 踏んだら爆発する「圧力式爆風地雷」という種類の「対人地雷」を
題材にしていた短編を集めた、珍しい作品集。
 作品としては表題作『顔のない敵』のような坂田洋を主人公とした
地雷除去NGOのスタッフを中心にした短編群と、対人地雷を追う、
ジャーナリスト・永井綾子が主人公で、地雷の開発者が登場する
『利口な地雷』などの短編がシリーズ最終話『未来へ踏み出す足』で
ひとつの物語になる構成になっている。

 殺人の凶器としての地雷が利用される物語、表題作『顔のない敵』などの
作品は、もちろん悪くは無いと思ったが、やはり残酷過ぎる気がして、
私にはどちらかというと、『銃声でなく、音楽を』などの
地雷に関わる人間の周囲で事件が起こるという作品の方が、興味深く感じられた。
 特に、地雷の恐怖、地雷除去NGOの苦労というすぐ思い至る面だけでなく、
人間関係や資金繰りなどのボランティアや開発途上国の醜い現実などにも
スポットを当てた作品になっている点が、真実味や怖さ、命の重さを
改めて感じさせられたし、心に残った。

 また、処女作は地震で停まってしまったエレベーター内という
すぐ犯人が判る中での犯罪に走る犯人の動機はいまひとつだが、
普通の日常で簡単に普通の人が殺人を犯すことが起こり得る怖さを
感じさせられ、なかなか面白く思えた。


顔のない敵


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2007.07.14 (Sat)

『メビウス・レター』

[著者]北森鴻
[出版社]講談社
[初版発行]1998年1月25日

[感想等]
 作家・阿坂龍一郎のもとへ届く、何通もの過去からの手紙。
 その手紙の高校生の「ぼく」は同級生の少年が自殺した事件を
自殺ではないと思い、生前の彼のことなどを色々調べていくうちに、
彼を殺した犯人にたどり着く過程を死んだ彼に宛てる形式で、
書き綴っているものであった。
 果たして、この手紙の送り主や「ぼく」とは誰か?
 阿坂龍一郎は過去の事件とどのような関係があるのか?
 現在進行形の阿坂の周囲で起こる殺人事件の犯人は?

 非常に謎めいた阿坂龍一郎の正体や、現在と過去の事件の真相が
最後に明らかになった時には、驚かされるような作品である。
 特に、現在進行形の事件より、手紙の中の過去の事件の方が面白く、
過去の手紙の中の「ぼく」の正体が巧妙に伏せられていて、
すっかり騙されてしまったし、阿坂龍一郎の以外にも、
名前を偽る人物がいるのにも、なかなか気付かせない点も
とても良く出来ていると感じた。

 とにかく、伏線や言葉の使い方などが上手く、緻密で、
叙述ミステリとして、楽しめる作品であった。


メビウス・レター

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2007.07.11 (Wed)

『紙魚家崩壊(しみけほうかい) 九つの謎』

[著者]北村薫
[出版社]講談社 
[初版発行]2006年3月20日

[感想等]
 本の収集家の屋敷での密室事件を描いた表題作『紙魚家崩壊』他
日常の謎や狂気など、9つのミステリ短編を収録。

 冒頭の作品『溶けていく』は1人暮らしのOLが平凡な日常生活から、
マンガの世界へと逃避していくという狂気を描いた作品だったが、
とぼけた感じもする名探偵と助手が登場する作品『紙魚家崩壊』や
出版社のOL千春さんを主人公にした日常の小さな謎を描くような
『サイコロ、コロコロ』『おにぎり、ぎりぎり』というほのぼの系、
おとぎばなしや太宰治の作品に別解釈をする『新釈おとぎばなし』など、
元の掲載雑誌などが違うせいか、色々な味わいの作品が収録されていて
気楽に楽しめる感じの作品集であった。

 中でも、数人の女性が握った数種の形の違うおにぎりを見て、
その形のおにぎりを誰が握ったかを推理し、その数から途中で
おにぎり製作中に外へ出て、作業を中断したのかを当てようとする
『おにぎり、ぎりぎり』が趣向がなかなか面白く感じた。
 ネタばれになってしまうが、結局は、男性のもっともらしい
推理が覆されるオチがユーモラスで、私は気に入った。
 

紙魚家崩壊 九つの謎


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2007.07.09 (Mon)

きょう(BlogPet)

きょう、bookrackが東京へ説明したいです。


*このエントリは、ブログペットの「星影丸」が書きました。
EDIT  |  12:09 |  星影丸の投稿  | TB(0)  | CM(0) | Top↑
2007.07.08 (Sun)

『紅(あか)と蒼の恐怖 ホラー・アンソロジー』

[著者]柴田よしき 北川歩美 黒武洋 森青花 牧野修 
   小川勝己 五十嵐貴久 倉坂鬼一郎 菊池秀行
[出版社]祥伝社 ノン・ノベル
[初版発行]平成14年9月5日

[感想等]
 紅い恐怖・スプラッターと蒼い恐怖・サイコという2種類の恐怖を
題材にした、9人の作家による恐怖アンソロジー集。
 収録作品は、蒼は『毒殺』(柴田よしき)、『心の眼鏡』(北川歩美)、
『UM』(黒武洋)、『砲丸のひと』(森青花)の4作品。
 紅は『ドキュメント・ロード』(牧野修)、『蘆薈(ろかい)』(小川勝己)、
『嗜虐(しぎゃく)』(五十嵐貴久)、『分析不能』(倉坂鬼一郎)、
『蝕(むしば)む影』(菊池秀行)の5作品。

 スプラッターは少々苦手なので、紅の方の作品『ドキュメント・ロード』や
『分析不能』などは気味が悪く、あまり楽しめなかった。
 が、歴史小説風の『蝕む影』は、藩の御納戸役の青年武士・相馬新十郎が
酒屋の主人を惨殺し、出奔した事件が、一ヶ月前の怪事件が発端だったと判る
趣向が面白く、その不気味さが心に残り、なかなか楽しめた。

 蒼はいじめられっ子に出来た第三の目から、少数派多数派が逆転していき、
そのことで、イジメの関係が逆転するという不思議なSF風な『UM』が
人間関係の怖さのようなものを突きながら、皮肉で面白かった。
 また、『砲丸のひと』は砲丸フェチ的になり、盗みを繰り返す夫を
冷ややかに見ている妻の視点で書かれている物語だが、
病的な夫より、妻の方が恐ろしく感じるような不思議な物語で、
最後の奇妙な幕切れも面白かった。


紅と蒼の恐怖 ホラー・アンソロジー

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2007.07.07 (Sat)

『五瓶劇場(ごへいげきじょう) からくり灯籠』

[著者]芦辺拓
[出版社]原書房
[初版発行]2007年3月20日

[感想等]
 実在の歌舞伎作家・並木五瓶(なみきごへい)の半生をたどり、
浪華と江戸の歌舞伎界を舞台にした、謎と怪異を描いた連作集。
 『けいせい伝奇城』など4作品を収録している。

 どの作品も江戸時代の歌舞伎を扱っているが、それ以外の
戯作や浮世絵、文人などの動向なども興味深く楽しめる。
 特に、面白いと思ったのは、『けいせい伝奇城』で、
大阪を舞台に、まだそれ程は有名でない、若い時代の五瓶が
夜に謎の歌舞伎衣装を着た行列を見かけたことから、
大阪に来ていた平賀源内などに知り合い、
「うつろ舟」という事件に巻き込まれる物語である。
 歌舞伎の舞台の裏側や様々なカラクリの趣向などが
とても面白いと思った。

 また、大阪で成功した五瓶が江戸に居を移した後の出来事で、
歌舞伎絵を描く浮世絵師・東洲斎写楽の正体を知ることになる
『花都写楽貌(はなのみやこしゃらくのすがお)』も
写楽の正体も興味深く、なかなか楽しめる作品であった。


五瓶劇場 からくり灯籠

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2007.07.04 (Wed)

『密室と奇蹟 J・D・カー生誕百周年記念アンソロジー』

[著者]芦辺拓 加賀美雅之 小林泰三 桜庭一樹
   田中啓文 柄刀一 鳥飼否宇 二階堂黎人
[出版社]東京創元社
[初版発行]2006年11月30日

[感想等]
 『夜歩く』などの作品で有名な、ジョン・ディクスン・カーの
生誕百周年を記念して、8人の作家が書き下ろしたアンソロジー集。
 収録作品は
『ジョン・ディクスン・カー氏、ギデオン・フェル博士に会う』(芦辺拓)、
『少年バンコラン!夜歩く犬』(加賀美雅之)、『忠臣蔵の密室』(田中啓文)、
『線路に消えた断頭吏』(加賀美雅之)、『ロイス殺し』(小林泰三)、
『幽霊トンネルの怪』(鳥飼否宇)、『ジョン・D・カーの最終定理』(柄刀一)、
『亡霊館の殺人』(二階堂黎人)の8作品。

 ジョン・ディクスン・カーの著作のファンの方にとっては
もちろん、彼の作り出した人物や作品を思い出し楽しめるだろうが、
私のような、それ程なじみのない読者にも楽しめる作品集であった。
 どの作品もそれそれ、良いと思ったが、中でも、
巻頭の『ジョン・ディクスン・カー氏、ギデオン・フェル博士に会う』は
BBCのラジオ放送に関わっていたカーの周囲で起きる事件を描き、
昔のラジオ収録の様子や、カーの作品そのものも楽しめて、面白かった。
 また、『亡霊館の殺人』は密室の殺人の謎や人間関係などの設定が
いかにも昔のイギリスのミステリという感じが出ていて、趣きを感じた。

 そして、全くジョン・ディクスン・カーには関係の無さそうな
赤穂浪士の討ち入りにおける密室の謎を扱った『忠臣蔵の密室』は
カーに繋がって行くオチはいまひとつながらも、
この作品集内では異色で、印象に残る作品であると感じた。


密室と奇蹟 J・D・カー生誕百周年記念アンソロジー

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2007.07.02 (Mon)

世紀の(BlogPet)

bookrackが
私企業・FUPは極秘裡に開発した装置「タイムチューブ」で、
装置の向こう側の16世紀の『とスコットランド辺境地帯の
天然資源や観光資源を独占しようとしていた。
とか思ってたらしいの。

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EDIT  |  11:40 |  星影丸の投稿  | TB(0)  | CM(0) | Top↑
2007.07.01 (Sun)

『風の盆幻想』

[著者]内田康夫
[出版社]幻冬舎
[初版発行]2005年9月25日

[感想等]
 富山・八尾町の「風の盆」祭りの直前に服毒死した、
老舗旅館・弥寿多家の若旦那・晴人は自殺ではないのではないか?
 軽井沢のセンセ・内田は自分の恩人である、旅館の常連客・勝田
の依頼で、浅見光彦を引っ張り出して、祭り見物をしつつ、
浅見と調査を始める。
 やがて、明らかになる飛騨高山、神岡と越中八尾を結ぶ、
秘められた愛と事件の結末とは・・・?

 秘められた愛情関係は、現代でもそんなことがあるのか?
と、思わせるような古臭い感じもしないでもないのだが、
独特の情緒のある「風の盆」を舞台に、祭りの雰囲気を味わえ、
幻想的であったりして、なかなか興のある作品である。

 犯人探しや謎解きといった点では、少々、物足りなくもないが、
「風の盆」の祭りの裏事情などの社会的な視点などが鋭いし、
浅見とセンセのやりとりなどの面白さなどは相変わらずで、
まずまず楽しめる作品ではないだろうか。


風の盆幻想

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