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2008.06.14 (Sat)

『螢坂(ほたるざか)』

[著者]北森鴻
[出版社]講談社
[初版発行]2004年9月21日

[感想等]
 ビアバー「香菜里屋」のマスター・工藤哲也が店に訪れる常連客の
様々な事件や謎をさりげなく解いていく、連作短編集第3弾。
『螢坂』、『猫に恩返し』、『雪待人』、『双貌』、『孤拳』の5編を収録。

 前2作に引き続いてマスター・工藤の美味しそうな料理や持ち込まれる謎
への深い洞察や優しさ、気配りは健在である。
 そして、工藤の過去も少しずつ示唆されているが、依然として謎めき、
持ち込まれる事件も、楽しいものよりも哀しいものが多いが、
工藤やビアバー「香菜里屋」に集う人々の善意に救われている。

 表題作『螢坂』は、蛍のまつわるとても悲しい話である。
 恋人を残し、日本を飛び出し戦場カメラマンをめざしたものの、挫折して、
田舎に帰った男・有坂祐二が久々に上京し、思い出の三軒茶屋で偶然に入った
ビアバー「香菜里屋」は別れた恋人・奈津実が、通っていた店だった。
 そこで、恋人の友人・洋子に、彼女の結婚と死を知らされ、さらに、
奈津実との思い出の「螢坂」の真実をマスター・工藤の示唆から、
調べた洋子から知らされるという成り行きの中で、
知らなければ良かったではなく、知って良かったと思う、有坂の姿には
ほっとし、工藤の配慮や優しさも感じられたのが救いである。

 個人的には、血の繋がらない、若くして病死した叔父「脩兄ィ」との
思い出の品である幻の焼酎「孤拳」を探す女性が、「香菜里屋」で
知った真実を描いた、『孤拳』が哀しくはあるが、心に残った。


螢坂


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テーマ : 読書メモ - ジャンル : 本・雑誌

タグ : 読書 小説 感想 ミステリ 北森鴻

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