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2011.02.19 (Sat)

『うさぎ幻化行(げんげこう)』

[著者]北森鴻
[出版社]東京創元社 創元クライム・クラブ
[初版発行]2010年2月25日

[感想等]
 飛行機事故で亡くなった義兄・最上圭一。
 フリーの音響技術者の彼が残した日本の音風景百選の録音と
義兄が自分を呼ぶ名前「うさぎ」宛に残されたメッセージに
謎を感じたフリーライターの美月リツ子は、その音源を訪ね歩く
旅に出ることにした。
 
 音源にまつわる様々な謎を解き明かしていく連作集。
 義兄に「うさぎ」と呼ばれていたのは自分だけでなく、
恋人がいたらしいということが、早々判ってしまって、
どうなるのだろうかと思っていたら、最後近くに、別の
どんでん返しがあって、ビックリした。

 音を巡る旅情と、リツ子が出会う人々、義兄・圭一との
エピソードなど、内容が盛り沢山だし、幻想的な部分も多く、
また、リツ子ではないもうひとりの「うさぎ」こと
成瀬彩子の視点で語られたりしているのに気が付きにくい、
混乱するストーリー展開のため、判り難い部分もあった。
 が、二度読んでみたら、上手く伏線が描かれているのも
判ったし、じっくり味わうのをおススメする。
 
 残念なことに、作者・北森鴻は2010年1月25日に急逝、
これが最後の作品になってしまった。
 好きな作家の1人だったので、もっと作品を読みたかった。
 改めて、この場でご冥福をお祈りします。



うさぎ幻化行(げんげこう)






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2011.02.06 (Sun)

『貴船菊の白』

[著者]柴田よしき
[出版社]祥伝社 祥伝社文庫
[初版発行]平成21年6月20日

[感想等]
 刑事になって初めての事件で訪れた京都の高雄の神護寺。
 そこの美しい紅葉の話をしたため、一緒に行きたがっていた
妻を亡くし、刑事をやめた男はその寺を15年ぶりに訪れた。
 実はそこは、犯人が自殺した苦い思い出のある場所だったのだが、
元刑事は、花を手向けるその犯人の妻に出会ってしまい、
事件の真相を知らされる・・・という表題作『貴船菊の白』など、
京都を舞台とした7つのミステリ短編を収録している。

 京都を舞台として、京都の四季や風物を背景に、
様々な出来事が起こるミステリで、どの作品も読みやすく、
人間心理・・・特に女性の心理などが、興味深く描かれている。
 表題作に出てくる女性や、その他の作品に登場する、
女性達の動向や心理は実際にありえそうで、怖くさえ感じた。
 
 その中で特に、京都の家での嫁と姑の確執を描いた
『銀の孔雀』は、なんとも嫌な味わいの展開であったが、
主人公の追われた嫁のささやかないたずらで終わる点が
ちょっと、ほっとさせられ、救いを感じさせられた。

 また、恋人に裏切られ、発作的に長距離バスに乗り、
年末の京都へ旅立った女性が出会った親切な男性の仕事と、
手に入れた幸せを描いた作品『一夜飾りの町』は、
後味が良く、ほっとする作品で、一番気に入った。



貴船菊の白


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