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2006.10.04 (Wed)

『天の鎖(あまのくさり) 第三部 けものみち』

[著者]澤田ふじ子
[出版社]中央公論新社 中公文庫
[初版発行]2006年2月25日

[感想等]
 第二部の「牛」こと「豊安」は第二部の終わりに、高野山で空海の幻を見、
「東のお爺」の死を見届けた後、うつけのようになっていて、
第二部の悲恋物語の夜登女が産んだ子供・赤麻呂が次の「牛」として、
第三部の主人公になって、物語が展開する。
 「牛」は10歳で父と同じように奴として東寺に引き取られ、
夜叉神堂で不思議な効験力をもつ唯空に仕えながら、
逃亡を図った僧侶を始末する唯空の闇の仕事を担うことになる。
 そして、やがて彼は高野山に貸し出されたままの
空海の残した『三十帖冊子』を東寺に取り戻すという特命が与えられる。

 第一部のように主役の少年の成長を追うようなストーリーだが、
奴として育っていく過酷な運命や寺の裏の仕事の様子が暗く、
夜叉神堂という場所や不思議に歳をとらない唯空が、
さらに不気味な雰囲気を醸し出していて、
前の2部以上に悲しみや苦しみに満ちている印象を受けた。

 また、すっかり空海は神聖化された存在になっていて、
残した書物まで聖典化されている点が興味深く、
東寺と高野山、他の密教宗派との争いをはじめとして、
奴として「牛」が仕える東寺の僧達の様子や行動などに、
宗教的な部分がより強く感じられる作品になっている気がした。
 その点が歴史物語としては趣は深く感じるのだが、
庶民史としては外れてしまっているようにも思えるのが
少々残念である。

 なお、前の第二部で登場して、不可解だった唯空の正体が判明し、
この3部作における彼の重要性が判り、驚かされるのだが、
さらにもっと深い謎が残ったように感じてしまい、
神秘的というか、煙に撒かれたような妙な読後感を覚えた。


天の鎖 第三部 けものみち


<My Blog関連記事>『天の鎖 第二部 応天門炎上』

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