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2006.10.28 (Sat)

『奇跡の人』

[著者]真保裕一
[出版社]新潮社 新潮社文庫
[初版発行]平成12年2月1日

[感想等]
 交通事故で8年間入院生活をしている相馬克己は事故以前の記憶を全く失い、
知識も小学生レベルの31歳である。脳死判定をされかけたが命をとりとめ、
赤ん坊のような状態から成長した彼は、「奇跡の人」と呼ばれていた。
 リハビリ生活を終えて退院し、亡き母の残した家に帰った克己は、
新しい仕事も見つけ、新たな生活に順応していけそうだったが、
どうしても失われた自分の過去が知りたくなり、
住民票から知った以前住んでいた博多へと出かけることにした。
 が、住民票の住所には彼と母は住んでいなかった事が判り、
悩んだ末に病院に忍び込んだ彼は古い自分のカルテを調べ、
自分が事故に遭ったのは東京だったと知り、やがて残酷な事実が判る。

 脳死状態寸前から回復し、彼の母の愛情や医師などの心配りで
無事にリハビリを終え、知能は劣り不自由な体で社会復帰していく
「奇跡の人」を赤ん坊から人生をやり直す克己の様子が綴られた
亡き彼の母親の手記や自立の様子で感動的に描いていく作品かと
思いながら読んでいたら、過去を追う話で、次々と判る事実に、
次第に暗い気分になっていくストーリー展開であった。

 そこまでして過去を知らずに新しい人生を生きれば良いのにと
何度も思わずにはいられなかった。 
 特に、過去を知りたいという自分の欲求を優先してしまい、
次第に、病院に忍び込んでみたり、嘘をついて仕事を休んだり、
昔の友人を利用したり、人々に迷惑をかけるようになる主人公の姿には
世間知らずの素直な青年が母親の深慮や愛情を失ってしまい、
堕落していく様子を見せられているようで、悲しいものを感じた。
 人間は改心して変わっていくことは出来ないのか、
どんなにやり直そうとしても過去は付きまとうのか、
そんな風に思わされてしまいそうな結末が残酷で残念過ぎる。


奇跡の人

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テーマ : 読書メモ - ジャンル : 本・雑誌

タグ : 小説 読書 真保裕一

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