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2005.08.21 (Sun)

『横浜・山手の出来事』

[著者]徳岡孝夫
[出版社]双葉社 双葉文庫 日本推理作家協会賞受賞作全集66
[初版発行]2005年6月20日

[感想等]
 1896(明治29)年に横浜の外国人居留地で起こった、
英国人・カリュー氏の死亡事件で、その夫人が殺人犯として
有罪となった事件を裁判記録や、現代の英国での調査で
見つかった資料から明らかにするノンフェクション。 

 砒素による夫の毒殺容疑で拘束・裁判にかけられたのだが
28歳という若い名門出身の女性ということと、
女家庭教師によって病死と思われた死が殺人と告発されたことや、
裁判中に謎の夫の元愛人や、妻の不倫相手などが登場し、
当時の横浜の外国人社会ではセンセーショナルな事件となったのだが、
当時は治外法権で外国人社会内で裁かれていたせいか、
初めて聞く事件として、裁判の成り行きも推理ドラマ風で興味深かった。

 現在なら、証人達の二転三転する内容の不充分な証言など、
状況証拠だけなので、夫人を有罪にするのは難しいと思われる事件だが、
法廷で証拠品の不倫の相手の手紙を隠そうとし心証を損ねたのか、
夫人は絞首刑の判決を受けたというのが、哀れだと思われたりした。

 何より、国内で手に入れた裁判記録だけで満足しなかった著者の
英国での事件に関する調査が、好適な助手に恵まれたことで、
カリュー夫人やカリュー氏の家系と婚姻や死亡の記録や、
カリュー夫人を含む一家の日本での写真や
家庭教師の素性や裁判で問題になった夫の元愛人らしい人物の発掘、
夫人のその後など、様々な事実を加えたドキュメンタリー場面が、
単なる古資料の発掘というだけでない、現実の面白さを感じさせ
とても良かったと思う。

 なお、著者の調査によると、カリュー夫人は終身刑に減刑され、
英国の身内の懇願で香港の植民地刑務所から本国へ移され、
さらには恩赦で1910年に刑務所を出て、90歳まで生きたそうだ。


横浜・山手の出来事

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テーマ : 読書メモ - ジャンル : 本・雑誌

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