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2007.06.13 (Wed)

『夏の魔法』

[著者]北國浩二
[出版社]東京創元社 ミステリ・フロンティア
[初版発行]2006年10月30日

[感想等]
 ケルトナー症候群という早老化する難病のため、
22歳で老婆の姿となった、主人公・夏希。
 中学時代に恋した相手・ヒロと楽しく過ごした南の島で
迫り来る死を迎えようと思い、偽名で島でやってくる。
 そこで、再会したヒロは逞しく聡明な青年に成長していて、
その側にはとても美しい女性・沙耶がいた。
 老婆としてヒロに接しながら、夏希に生まれる殺意から、
事件は起きた時、真実が明らかになる。

 やっと諦めの境地に近づき、穏やかに死のうとしていた主人公が
思い出の島で初恋の少年が成長した青年になったのに出会えたことで、
心をかき乱されてしまう、というのは、かなり残酷な設定であるが、
夏の島の様々の出来事やヒロや沙耶との交流で、
すっかり老婆の心境になっていたような主人公が、次第に
本来の自分らしさを取り戻していく姿が描かれていくのは、
悪くなく、感動的でさえあった。

 しかし、葛藤や苦しみの末に、最後にヒロに会えた喜びで
最後に幸福に死ぬことが出来るのか、あるいは「魔法」という
何か超現実的な出来事で、彼女の病気が治るのではないかと、
期待していたのに、犯罪を計画し、実行するという形になったので、
裏切られてしまったような心地がして、がっかりした。
 幻想的な小説を書く夏希が、「魔法」を信じられないというのは
かなり皮肉だと思った。もちろん、体は老婆であっても、
心は若い嫉妬深い女性だというのは当たり前だし、
ミステリー作品なのだから、犯罪事件が起きないはずはないのだが。

 何よりも、主人公のやってしまったことの罪深さよりも、
真実を知っていた周囲の人達の善意が作為的過ぎて悪意を招いた、
そんな気がしてしまうような、後味の悪さを感じたのも残念である。

 なお、ケルトナー症候群という病気は架空だそうだ。


夏の魔法

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テーマ : 読書メモ - ジャンル : 本・雑誌

タグ : 読書 小説 感想 ミステリ 北國浩二

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