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2007.06.23 (Sat)

『500年のトンネル』(上・下)

[著者]スーザン・プライス
[訳者]金原瑞人 中村浩美
[出版社]東京創元社 創元推理文庫
[初版発行]2003年6月27日

[感想等]
 21世紀。私企業・FUPは極秘裡に開発した装置「タイムチューブ」で、
装置の向こう側の16世紀のイングランドとスコットランド辺境地帯の
天然資源や観光資源を独占しようとしていた。
 16世紀のスターカーム一族は、21世紀人を「エルフ」と呼び、
「鎮痛剤」を手に入れるために、天然資源などを提供することに
同意しているように見えたが・・・時を越えた戦闘が勃発してしまう。

 通訳として送り込まれた21世紀の女性研究員・アンドリアが、
16世紀の美しい青年・ピーアと戦いの中で恋に落ちるというような、
次元を超えた恋という要素はSFにはありがちな設定だとは思う。
 が、この作品は、単なるSFファンタジー的な恋物語ではない。

 21世紀人のアンドリアの視点から見ている、
16世紀社会の衛生的でない衣食住の描写が、とても生々しく
迫力に満ちているように感じられた。
 名誉を重んじ勇猛果敢な16世紀人の素朴な良さと、
一族第一的な嫌らしさや狡さなどが、ある意味では、
21世紀人よりも人間的な魅力に満ちていると思えてしまう。
 だから、16世紀の美青年・ピーアと恋に落ちてしまった、
アンドリアが、21世紀と16世紀の利害の板ばさみになり、
悩む姿にも無理が無いように思われるし、
SFなのに、「タイムチューブ」のある21世紀の世界よりも、
16世紀の世界が心に残る不思議な作品である。

 そして、文明の進歩で無くしてしまった人々の強さ、
化学汚染の無い資源の貴重さなどを感じてしまったり、
作中の21世紀のホームレスが16世紀の方が住みやすいと
感じる点なども、かなり辛口で皮肉な作品であり、
単に時間を巡る戦争や恋物語ではない、深みのある物語である。
 
 なお、16世紀の一族・スターカームは歴史上に実在する
一族ではなく、モデルはあるが作者の創作らしい。


500年のトンネル・上500年のトンネル・下

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テーマ : 読書メモ - ジャンル : 本・雑誌

タグ : 読書 小説 感想 歴史 SF

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