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2007.06.24 (Sun)

『伯林(ベルリン)水晶の謎』

[著者]太田忠司
[出版社]祥伝社 ノン・ノベル
[初版発行]平成6年1月20日

[感想等]
 作家探偵・霞田志郎(かすみだしろう)シリーズの第3作目。
 妹・千鶴と花見に出かけた志郎は、偶然に大学時代の
ドイツ語教師・ヘルムバウムに出会い、彼を送って行った先で、
中京財界の重鎮であるトマス工業の元会長・宮谷巌の死体を発見する。
 刺殺され、ガラスの破片に覆われた被害者の死体からは、
「ベルリンの水晶」と呼んでいた守り袋が無くなっていて、
1938年11月に起きたナチスによるユダヤ人襲撃の
「水晶の夜」を思い起こさせる事件であり、
ドイツへ留学経験のある被害者の過去が事件や犯人に
関わりがありそうな事件であった。
 さらには過去に彼に関わった人物が自殺をしてしまう・・・。

 「水晶の夜」という名前は美しいが、ナチスのユダヤ人襲撃による
ガラスの散乱という悪夢の事件を連想させる殺人事件という設定が
非常に凝っているように思われ、興味をそそられ、読み始めた。

 しかし、ネタばれになってしまうのだが、実は歴史的事件は
直接は殺人の動機ではなかったので、その点は少々期待外れに
感じたし、同じように感じる人もいるのではないだろうか。
 けれども、この作品に登場する「水晶の夜」は
辛い過去を思い出す事件の象徴としては良く出来ている。
 何よりも過去の思い出を忘れられずにいる人々の姿が心に残り、
犯人の意外性などもあり、深い作品になっている。

 とりわけ、私が、この作品で深く感じたのは、
民族の違いによっての争いや弾圧はもちろん悲惨であるが、
それ以外にも、同じ日本人が、思想などの違いで対立したり、
賛成者が多いことや力による暴力で弱者を追い詰めたり
虐げることの、怖さ、酷さである。
 また、ほんの些細な行き違いが、簡単に人を殺すことに
なってしまうことの、恐ろしさである。
 人間は人間を傷つけざるを得ない生き物なのかと思うと悲しい。


『伯林水晶の謎』(amazon.co.jp)

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テーマ : 読書メモ - ジャンル : 本・雑誌

タグ : 読書 小説 感想 ミステリ 太田忠司

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