03月≪ 2017年04月 ≫05月

123456789101112131415161718192021222324252627282930
--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
EDIT  |  --:-- |  スポンサー広告  | Top↑
2007.08.05 (Sun)

『落下する花 ―月読(つくよみ)―』

[著者]太田忠司
[出版社]文藝春秋
[初版発行]2007年3月25日

[感想等]
 死者の最期の思いが「月導(つきしるべ)」として遺るという設定で、
死者の最期の想いを読むことのできる異能者「月読(つくよみ)」の
朔夜(さくや)が残された人からの依頼で死者の思いを読んでいく連作集。
 収録作品は表題作『落下する花』の他、『溶けない氷』『般若の涙』
『そこにない手』の4編。

 死者の最後の思いが「月導」として物質の形や香り、
感触などととして残る以外は、現代の日本と変わらない世界を
舞台にしているのに、不思議な雰囲気のある作品である。
 が、残された思いを異能者「月読」に読んでもらいたい事情が
色々と複雑で、死者の生前の人間関係や、死者の思い、
残された人々の苦しみなどの、死に関する重い事柄も扱っている。

 もし、現実世界で、このように死者の思いが残るとしたら、
犯罪事件の犯人検挙などに役立ちそうだと思うが、
それも、読み取れるのが「月読」だけであるので、
証拠能力は無いとして、直接的には犯罪事件は解決しない点が
ひとひねりあって、良くできていると感じた。
 また、「月導」「月読」に対する人々の複雑な思いなども
良く描けていて、なかなか面白く読めた。

 4編はそれぞれ面白いが、温厚な人間として知られていた女性が
事故で無くなった場所に残った般若の形の「月導」が残り、
夫や娘が近所の中傷に苦しみ、死者の弟が会社の社長の「月導」
に関わったことのある「月読」・朔夜に、読み説きを依頼する、
『般若の涙』が特に面白く感じた。
 社長の「月導」をめぐり、社内が紛糾している経験を持つ叔父と
母親の「月導」に苦しむ姪の2つの出来事が、最後には
納得できる結末を迎えるし、意外な犯罪事件が見つかり、
犯人が捕まるというおまけもあり、盛り沢山な内容で、
楽しめる作品であった。

 なお、この作品には
『月読』
(文藝春秋)という前作があるのだが、
それを読んでいなくても、充分に楽しめると思う。
 が、『月読』は朔夜の過去やこの連作集にも登場している
刑事・河井との関わりが描かれている作品であるので、
本作に興味をもったら、読んでみると良いかもしれない。


落下する花 ―月読―

スポンサーサイト

テーマ : 読書メモ - ジャンル : 本・雑誌

タグ : 読書 小説 感想 ミステリ 太田忠司

EDIT  |  13:40 |  なかなか良いと思った本(☆4つ)  | TB(0)  | CM(0) | Top↑

コメントを投稿する

URL
COMMENT
PASS  編集・削除に必要
SECRET  管理者だけにコメントを表示
 

この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック

 | HOME | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。