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2007.12.01 (Sat)

『ボトルネック』

[著者]米澤穂信
[出版社]新潮社
[初版発行]2006年8月30日

[感想等]
 恋人・諏訪ノゾミの事故死から2年。やっと弔いに行けるようになった、
高校生・嵯峨野リョウは事故現場・東尋坊の崖下に転落し、意識を失う。
 気が付いた彼は、何故か金沢市の浅野川のほとりのベンチにいて、
不審に思いながら、家に帰ると生まれなかったはずの姉・サキが居り、
自分が生まれていないことを知る。迷い込んだ別の世界と自分の世界、
2つの世界の間違い探しの末に判ったことは・・・。

 SF的な設定による物語は、辛い出来事が続く過去を経て、
感受性を鈍麻させている主人公・リョウが暗く諦めに満ちた自分と、
別世界の姉・サキの前向きな姿の引き起こした出来事の差を見せられ、
自分の存在を「ボトルネック」と感じていく展開が切ない作品である。
 途中、ノゾミの事故の真相などを突き止めるなど、ミステリ的な
面白さもあるものの、救いのないような暗い絶望感の漂う作品は、
軽く明るいノリや希望のある青春小説とはかなり違っている。

 タイトルの「ボトルネック」とは英語の「瓶の首 bottleneck」
「瓶の首のように細く、詰まりやすい」という意味に由来し、
コンピューターなどの用語ではコンピュータの処理速度や
ネットワークの通信速度の向上を阻む要素のことである。
 そして、一般的には「ボトルネック」は性能向上のために
「まず解決しなければならない部分」なのだが、この作品では
「まず排除しなければならない部分」という解釈をしている。
 そこに、主人公の気持ちや状況の改善を許さないような、
非情さを感じてしまい、私にはラストにも希望を感じられなかった。
 その点がかなり苦い後味を残し、残念に思えてならない。

 何よりも、過去を振り返るばかりのリョウに対しても、
自分が全ての間違いの原因だと思い、諦めてしまうだけで、
サキのように生きようと思えないのかと哀しく感じられ、
もう少し、救いを与えて欲しかったと思った。


ボトルネック

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テーマ : 読書メモ - ジャンル : 本・雑誌

タグ : 読書 小説 感想 米澤穂信

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