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2008.05.03 (Sat)

『輪違屋糸里』(上・下)

[著者]浅田次郎
[出版社]文藝春秋 文春文庫
[初版発行]2007年3月10日

[感想等]
 土方歳三を慕う島原の置屋・輪違屋の芸妓・糸里は、
姉のような存在である音羽太夫を芹沢鴨に殺されていた。
 愛する土方のため、芹沢暗殺の企みに乗った糸里を中心に、
暗殺の場にいた平山五郎の恋人の吉栄、芹沢の愛人で菱屋の女房のお梅、
新選組を自宅に住まわせ世話してきた壬生村の八木家・前川家の
郷士の女房おまさとお勝、女たちから見た新選組を描いた作品。

 芹沢鴨の暗殺事件や新選組に対する作者の解釈や造形の巧みさを
感じさせる作品であった。

 タイトルにもなっている芸妓・糸里の造型には作者の創作の部分も
あるらしいのだが、この作品は、彼女だけではなくて、
芹沢鴨の暗殺事件へと至る新選組の人々の姿や様々な事件を、
周囲にいた女性達の視点を主として描いたものになっている。
 そのせいか、私には糸里よりも、芹沢の愛人・お梅、
八木家・前川家のおまさとお勝、平山五郎の恋人の吉栄などに
興味を感じさせられたし、色々思うことが多かった。

 中でも、特によく描かれていると思ったのは、
傾きかけた店を立て直そうと奮戦したお梅の菱屋の女房としての姿と
その結末の哀れさである。私が今まで抱いていた、男に翻弄された、
哀れな愛人のお梅の軽蔑的なイメージが一新させられた。

 また、今まであまり新選組の物語には出てこないような、
八木家・前川家の女房おまさとお勝の心情を描き、
新選組の男たちに対する心遣いや彼らの立場への深い洞察、
芹沢暗殺を察知しながらも気丈に振舞う姿などに、
女の鋭さ・強さや懐の深さなどを感じさせられた。

 そして、もう1人の芸妓・吉栄の糸里とは違った愛の結末や
その後の姿などの描き方も興味深かった。

 男達に関しても、あまり今までは描かれることの無かったような、
永倉新八が語る自らの話や新選組の人達の動向や人物像、
芹沢の武士派と近藤の百姓派の対立という内部抗争の解釈などに、
新しい視点を感じて、楽しめた。
 そのため、今までずっと悪としか思えなかった芹沢鴨よりも、
近藤・土方達の方が武士としてのし上がっていこうとあがいていて
醜悪にさえ感じられたのが、一味違う新選組の描き方だと思えた。


輪違屋糸里(上)輪違屋糸里(下)
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テーマ : 読書メモ - ジャンル : 本・雑誌

タグ : 読書 小説 感想 歴史 浅田次郎

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