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2008.12.13 (Sat)

『マーブル・アーチの風』

[著者]コニー・ウィリス
[訳者]大森望
[出版社]早川書房
[初版発行]2008年9月25日

[感想等]
 20年ぶりにロンドンを訪れたトムとキャスの夫妻。
 妻と違って地下鉄を愛するトムは、旧友との再会を楽しみに、
独りで地下鉄に乗ろうして、駅の構内で突然の爆風に襲われるのだが、
周囲の人々は風に気付きもしていない。その後、友人たちと再会して、
変わってしまった友人たちにとまどい、トムは風の謎を追う・・・
という表題作『マーブル・アーチの風』の他、
クリスマスストーリー『ニュースレター』『ひいらぎ飾ろう@クリスマス』、
恐竜絶滅から鳥類への進化にネタに大学内の様子を『白亜紀後期にて』、
いんちき女霊媒師を巡る『インサイダー疑惑』の5篇を収録した
日本オリジナル短篇集。

 日本オリジナルの作品集だけあるなと感じさせられる、
なかなか面白い作品が集められていて、私はかなり楽しめた。

 表題作『マーブル・アーチの風』は、20年ぶりに乗ろうとした
ロンドンの地下鉄で感じた風や、久しぶりに会った友人たちの変化に
今までは気付かなかったことを、妻はとっくに感じていたことや、
時の経過や自分の老いに気が付くという展開に、切ない気分を
感じさせられる作品だが、ラストに少し希望を感じさせられて
ほっとさせられる作品になっている。

 その他の作品は、人々が皆善人になっていることに気が付く、
クリスマスストーリーの『ニュースレター』も宇宙人侵略テーマで
宇宙人に気が付いたり、恋を諦める主人公の心情が巧みに描かれ、
なかなか面白いが、クリスマスに一年の出来事を友人などに書き送る
という「ニュースレター」風習になじみが無く、身近に感じられない
点が少々残念。

 もう1編のクリスマスストーリー『ひいらぎ飾ろう@クリスマス』
は、クリスマスの自宅などの飾り付けを業者に頼むのが当たり前の
近未来という設定で、クリスマスプランナーの女性・リニーが、
初めて利用する老女や、毎年、色々とクレームを付け、直前まで
注文を変更する女性客の対応に、あたふたする物語なのだが、
ほっとさせられるようなラブコメディになっていて、面白かった。
 作中に登場するるシェークスピアの『十二夜』や
E.M.フォースターを知っていたから、余計そう感じたのかも
しれないが・・・。

 『白亜紀後期にて』は、旧態依然の講義をしている老教授と
授業をロクに聞いていない学生たちや学内の車の駐車に
間違って違反ステッカーを貼られる騒動を描いたもので、
鋭い風刺が効いて面白いのだが、少々判りにくい点もあった。

 『インサイダー疑惑』は、ビバリーヒルズで詐欺を行っている
女霊媒師のインチキを暴きに行った雑誌の編集長・ロブが、
その霊媒師に、オカルト詐欺などを糾弾していた故人である
H.L.メンケンという人物が乗り移っているのを目撃してしまう
という物語。H.L.メンケンという人物は、知らなかったが
実在の人物で「ボルチモアの賢人」と言われるジャーナリストだそうだ。
 チャネリングの嘘を暴こうとして、紹介した雑誌のスポンサーの
元女優の仕込みではないかと疑ったり、あれこれ試すロブの行動や
心理がとても良く描かれていて、メンケンを知らなくても、
なかなか楽しめた。


マーブル・アーチの風


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テーマ : 読書メモ - ジャンル : 本・雑誌

タグ : 読書 小説 感想 SF ファンタジー コニー・ウィリス

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