09月≪ 2017年10月 ≫11月

12345678910111213141516171819202122232425262728293031
--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
EDIT  |  --:-- |  スポンサー広告  | Top↑
2009.05.09 (Sat)

『本格小説』(上・下)

[著者]水村美苗
[出版社]新潮社 新潮文庫
[初版発行]平成17年12月1日

[感想等]
 父の仕事でアメリカに滞在した少女時代のある著者は
その時代のことを私小説にして書こうと思いながら、
アメリカの大学で、日本文学や自分の書いた小説に関する
講義をしていた。
 そこへ現れた、日本からやってきた青年・加藤祐介が
彼女も知る、運転手から実力で大金持ちとなった東太郎
という男の過去の話を始める。
 それは、彼が夏の軽井沢で偶然に出会った、
富豪家のお手伝いをしていた女性・冨美子から聞かされた、
日本での東太郎の過去の子供時代からの話であり、
第2次大戦後の世田谷と軽井沢を舞台に繰り広げられた
孤児とお嬢様の『嵐が丘』のような恋愛物語であった・・・。

「本格小説の始まる前の長い長い話」という、
東太郎とも関わりのある著者の過去の話から始まる
ノンフィクション風というか、私小説的な話が、
アメリカンドリームを成し遂げた男の過去の話である
「本格小説」になる構成が面白く感じられた。

 そして、その「本格小説」部分は、
夏の軽井沢の朽ち果てそうな別荘で青年・祐介が
初老の女性・冨美子から聞かされる話であり、
内容や青年が話を聞かされる構造なども『嵐が丘』を
髣髴とさせる物語である。

 冨美子に語られる子供時代からの東太郎像は、
ヒースクリフのような悲恋から、立身出世し、
復讐ではなく、恋のために日本へ戻った男であった。
 が、そこで語られる彼に、私は悲しさは感じたものの、
あまり凄さや魅力は感じられなかったし、
太郎とお嬢様・よう子とその夫との三角関係の恋は、
古き良き時代の上流階級へのノスタルジーのある、
迫力には欠くほのぼのとした物語であるように思え、
面白いけれど、『嵐が丘』には及ばないなと感じてしまった。

 が、(少々ネタばれになってしまうが、)
冨美子の意外な真実が判るラストに、はっとさせられ、
『嵐が丘』より複雑で面白い話だったことに気付き、
なかなか凄い話であると思い、改めて読み直したいと
思わせる作品になっているのである。


本格小説(上)本格小説(下)

スポンサーサイト

テーマ : 読書メモ - ジャンル : 本・雑誌

タグ : 読書 小説 感想

EDIT  |  23:37 |  なかなか良いと思った本(☆4つ)  | TB(0)  | CM(0) | Top↑

コメントを投稿する

URL
COMMENT
PASS  編集・削除に必要
SECRET  管理者だけにコメントを表示
 

この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック

 | HOME | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。