2008.05.25 (Sun)
『天国からの銃弾』
[著者]島田荘司
[出版社]光文社 光文社文庫
[初版発行]1995年10月20日
[感想等]
富士を背景にソープランドの屋上に立つ自由の女神像に魅せられ、
写真を撮り続けていた平穏な隠居生活を送る男。
ある日、彼は女神の眼が赤く光る瞬間があるのに気付き、
その話を息子に教えた。息子も興味を持ってくれたようだったが、
そのすぐ後に、ソープランドのビルの屋上で息子が死んでいるのが
発見されて・・・という表題作『天国からの銃弾』の他に、
『ドアX』『首都高速の亡霊』を収録した作品集。
表題作『天国からの銃弾』は、話が意外な方向に行き過ぎた感じで、
自由の女神像の眼が赤く光るという謎解きの面白さが減じてしまい、
いまひとつに感じられたのが残念である。
『ドアX』は幻想的な雰囲気の漂う、不思議な感じの話で、
過去の幻想の中に生きる女性が、ドアに関わる事件が起き、
現実に目覚めるという点が興味深く感じられた。
『首都高速の亡霊』は、思いがけないことで人を殺した
と思った女性が、その死体を始末しようとする話で、
その右往左往する様子や感情の推移が面白く、
実際に殺人計画を実行した男の因果応報的なオチは
少々出来すぎだったものの、楽しめた。

[出版社]光文社 光文社文庫
[初版発行]1995年10月20日
[感想等]
富士を背景にソープランドの屋上に立つ自由の女神像に魅せられ、
写真を撮り続けていた平穏な隠居生活を送る男。
ある日、彼は女神の眼が赤く光る瞬間があるのに気付き、
その話を息子に教えた。息子も興味を持ってくれたようだったが、
そのすぐ後に、ソープランドのビルの屋上で息子が死んでいるのが
発見されて・・・という表題作『天国からの銃弾』の他に、
『ドアX』『首都高速の亡霊』を収録した作品集。
表題作『天国からの銃弾』は、話が意外な方向に行き過ぎた感じで、
自由の女神像の眼が赤く光るという謎解きの面白さが減じてしまい、
いまひとつに感じられたのが残念である。
『ドアX』は幻想的な雰囲気の漂う、不思議な感じの話で、
過去の幻想の中に生きる女性が、ドアに関わる事件が起き、
現実に目覚めるという点が興味深く感じられた。
『首都高速の亡霊』は、思いがけないことで人を殺した
と思った女性が、その死体を始末しようとする話で、
その右往左往する様子や感情の推移が面白く、
実際に殺人計画を実行した男の因果応報的なオチは
少々出来すぎだったものの、楽しめた。

2008.05.11 (Sun)
『光る鶴 吉敷竹史シリーズ16』
[著者]島田荘司
[出版社]光文社 光文社文庫
[初版発行]2006年9月20日
[感想等]
2002年11月刊の『吉敷竹史の肖像』(カッパ・ノベルス)より、
『光る鶴』と『吉敷竹史、十八歳の肖像』を再録し、書き下ろし作品の
『電車最中』を加えた作品集。
表題作『光る鶴』は、捜査一課の吉敷竹史が、罪を犯したが更生した
藤波という男の葬儀で九州・久留米市へ行き、藤波の知り合いの青年から
義父・昭島義明の事件の再審への協力を頼まれる。「昭島事件」は
26年前、3人の女性を殺害された事件で、昭島義明が加害者として、
死刑判決が下っていた。冤罪を主張する青年と藤波への情から、
事件を見直す吉敷竹史が、見つけた証拠と、事件の真実とは?
冤罪で捕まっているらしい男・昭島義明は自分の無罪を主張しない
という点が、なかなか興味深い設定である。
当然、誰かを庇っていることや庇っている相手も、
すぐに察しが付いてしまうのが欠点ではあるのだが、
偏見と時間の壁に阻まれつつ、「光る鶴」という証拠から、
犯人ではない事実を見つけ出す過程が、面白く出来ていると感じた。
だが、この作品は、実際の事件「秋好英明事件」を元にしていて、
冤罪を晴らせた話にしたという解説を読み、興ざめしてしまった。
「光る鶴」は作者の創造だそうで、それが印象的なのが救いだが。
後の2編では、吉敷はあまり登場せず、大きなトリックも無いのだが、
留井十兵衛刑事という主人公のキャラクターと、地味な捜査が実るという
実際にありそうな話の『電車最中』がなかなか良かった。

[出版社]光文社 光文社文庫
[初版発行]2006年9月20日
[感想等]
2002年11月刊の『吉敷竹史の肖像』(カッパ・ノベルス)より、
『光る鶴』と『吉敷竹史、十八歳の肖像』を再録し、書き下ろし作品の
『電車最中』を加えた作品集。
表題作『光る鶴』は、捜査一課の吉敷竹史が、罪を犯したが更生した
藤波という男の葬儀で九州・久留米市へ行き、藤波の知り合いの青年から
義父・昭島義明の事件の再審への協力を頼まれる。「昭島事件」は
26年前、3人の女性を殺害された事件で、昭島義明が加害者として、
死刑判決が下っていた。冤罪を主張する青年と藤波への情から、
事件を見直す吉敷竹史が、見つけた証拠と、事件の真実とは?
冤罪で捕まっているらしい男・昭島義明は自分の無罪を主張しない
という点が、なかなか興味深い設定である。
当然、誰かを庇っていることや庇っている相手も、
すぐに察しが付いてしまうのが欠点ではあるのだが、
偏見と時間の壁に阻まれつつ、「光る鶴」という証拠から、
犯人ではない事実を見つけ出す過程が、面白く出来ていると感じた。
だが、この作品は、実際の事件「秋好英明事件」を元にしていて、
冤罪を晴らせた話にしたという解説を読み、興ざめしてしまった。
「光る鶴」は作者の創造だそうで、それが印象的なのが救いだが。
後の2編では、吉敷はあまり登場せず、大きなトリックも無いのだが、
留井十兵衛刑事という主人公のキャラクターと、地味な捜査が実るという
実際にありそうな話の『電車最中』がなかなか良かった。

2008.05.04 (Sun)
『毒草師』
[著者]高田崇史
[出版社]幻冬舎
[初版発行]2007年4月25日
[感想等]
QEDシリーズでお馴染みの毒草師・御名形史紋(みなかたしもん)が
探偵役として、東京の旧家・鬼田山家の密室で起こった不可解な失踪と
毒殺事件を解決する。
鬼田山家では先々代当主・俊春が一つ目の子山羊を殺して以来、
「一つ目の鬼を見た」と言い残し、内側から鍵をかけて離れに閉じこもり、
そのまま姿を消してしまう事件が続いていた。
そして、ついには長男・柊也が、自室で何者かに毒殺されてしまう。
警察の捜査が行き詰ってしまったその事件の話を、隣人の西田から聞き、
御名形史紋(みなかたしもん)が『伊勢物語』になぞらえ、解決へと導く。
QEDシリーズの不気味な毒草師・御名形史紋が登場するのだが、
多分、QEDシリーズを知らなくても、充分理解できる作品だと思う。
その反面、シリーズの登場人物も活躍することを期待するような
QEDシリーズのファンには少々期待ハズレかもしれない。
しかし、QEDシリーズ同様、実際の事件を暗示するような作品、
古典『伊勢物語』の解釈があるので、私は不満は感じなかった。
そして、何よりも、主役の青年・西田の人の良いキャラクターに、
毒草師・御名形史紋も単に嫌味な奴ではない面を見せてくれるし、
まずまず楽しめた。
が、離れを密室にしたり、複雑な家族関係が事件の鍵を握ったり、
やたら消息不明者が出たりといった、今時こんな事件が?とか、
主要な登場人物が他の人間に成りすますなどのアンフェアではないか
と思わせるミステリ設定は、いまひとつに感じられたのが惜しい。

<My Blog関連記事>『QED〜flumen〜 九段坂の春』
[出版社]幻冬舎
[初版発行]2007年4月25日
[感想等]
QEDシリーズでお馴染みの毒草師・御名形史紋(みなかたしもん)が
探偵役として、東京の旧家・鬼田山家の密室で起こった不可解な失踪と
毒殺事件を解決する。
鬼田山家では先々代当主・俊春が一つ目の子山羊を殺して以来、
「一つ目の鬼を見た」と言い残し、内側から鍵をかけて離れに閉じこもり、
そのまま姿を消してしまう事件が続いていた。
そして、ついには長男・柊也が、自室で何者かに毒殺されてしまう。
警察の捜査が行き詰ってしまったその事件の話を、隣人の西田から聞き、
御名形史紋(みなかたしもん)が『伊勢物語』になぞらえ、解決へと導く。
QEDシリーズの不気味な毒草師・御名形史紋が登場するのだが、
多分、QEDシリーズを知らなくても、充分理解できる作品だと思う。
その反面、シリーズの登場人物も活躍することを期待するような
QEDシリーズのファンには少々期待ハズレかもしれない。
しかし、QEDシリーズ同様、実際の事件を暗示するような作品、
古典『伊勢物語』の解釈があるので、私は不満は感じなかった。
そして、何よりも、主役の青年・西田の人の良いキャラクターに、
毒草師・御名形史紋も単に嫌味な奴ではない面を見せてくれるし、
まずまず楽しめた。
が、離れを密室にしたり、複雑な家族関係が事件の鍵を握ったり、
やたら消息不明者が出たりといった、今時こんな事件が?とか、
主要な登場人物が他の人間に成りすますなどのアンフェアではないか
と思わせるミステリ設定は、いまひとつに感じられたのが惜しい。

<My Blog関連記事>『QED〜flumen〜 九段坂の春』
2008.04.26 (Sat)
『京都祇園迷宮事件』
[著者]海月ルイ
[出版社]徳間書店 トクマ・ノベルズ
[初版発行]2005年1月10日
[感想等]
東京からやってきて、京都・祇園のお茶屋「北尾」に住み込んでいる、
フリーライター・夏目潤子は祇園の記事を書きながら、祇園特有のしきたりに
驚いたり、戸惑う日々を送っている。
ある日、「北尾」仕込みの見習い舞妓・美代鶴と潤子は
お座敷に向かおうする途中で、全身を刺されて死んでいる男を発見する。
その男は前夜「北尾」の座敷で騒いでいた客の1人で、AVビデオ製作
会社の社長・下村だと判る。
事件を調べ始めた潤子は彼と一緒だった男達が次々と殺され、
死体となって発見されていく事件に遭遇することに・・・・。
事件の背景などかなり酷い話で、犯人や協力者に同情は覚える。
が、京都の祇園という特殊な世界での犯行方法や犯行の隠匿などが、
まるでミステリドラマ風な非現実的な感を抱かせるストーリーであり、
犯人も共犯者も途中で察しが付いてしまった。
また、ラストも余韻はあるが、いまひとつ、解決した感じが薄い。
けれども、祇園のしきたりや舞妓になる少女や舞妓を支える人々の
描き方が良く、祇園の外の人間の潤子の視点で説明されるので、
あまり知らない私でも、祇園の事情が判りやすいし、
祇園の特殊な雰囲気を感じることが出来た点は、面白く感じられた。

[出版社]徳間書店 トクマ・ノベルズ
[初版発行]2005年1月10日
[感想等]
東京からやってきて、京都・祇園のお茶屋「北尾」に住み込んでいる、
フリーライター・夏目潤子は祇園の記事を書きながら、祇園特有のしきたりに
驚いたり、戸惑う日々を送っている。
ある日、「北尾」仕込みの見習い舞妓・美代鶴と潤子は
お座敷に向かおうする途中で、全身を刺されて死んでいる男を発見する。
その男は前夜「北尾」の座敷で騒いでいた客の1人で、AVビデオ製作
会社の社長・下村だと判る。
事件を調べ始めた潤子は彼と一緒だった男達が次々と殺され、
死体となって発見されていく事件に遭遇することに・・・・。
事件の背景などかなり酷い話で、犯人や協力者に同情は覚える。
が、京都の祇園という特殊な世界での犯行方法や犯行の隠匿などが、
まるでミステリドラマ風な非現実的な感を抱かせるストーリーであり、
犯人も共犯者も途中で察しが付いてしまった。
また、ラストも余韻はあるが、いまひとつ、解決した感じが薄い。
けれども、祇園のしきたりや舞妓になる少女や舞妓を支える人々の
描き方が良く、祇園の外の人間の潤子の視点で説明されるので、
あまり知らない私でも、祇園の事情が判りやすいし、
祇園の特殊な雰囲気を感じることが出来た点は、面白く感じられた。
2008.04.20 (Sun)
『使命と魂のリミット』
[著者]東野圭吾
[出版社]新潮社
[初版発行]2006年12月5日
[感想等]
心臓外科医を目指す研修医・氷室夕紀はかつて警察官の父の手術をした医師の
西園に指導を受けている。彼女は西園と母の交際を知っていて、彼の手術で
父が亡くなったことに疑問を抱いている。
彼女の勤める病院に入院し手術を待つ患者の1人に、日本を代表する
アリマ自動車の会長・島原総一郎がいる。彼の会社は以前、欠陥車で
大きな被害を起こしていて、密かに彼を恨む青年・直井穣治は、
何らかの目的を持って病院の看護婦・真瀬望と交際をしている。
穣治の病院への医療ミスを公表しろという脅迫状で動き出す警察官の中に、
夕紀の父の部下だった七尾の姿があった。
七尾は医療ミスに対する脅迫に不審を感じ、島原総一郎の手術への妨害が
有るのではないかと思い付き、捜査方針に逆らい独自に捜査を始める。
彼の推理は当たり、島原の手術を妨害する停電が起こる。危険な状態の中、
西園や夕紀ら手術スタッフ、病院スタッフの努力が続き、七尾は必死で
犯人を追い求めようとする・・・。
最初から、犯人・穣治の行動が描かれているのだが、彼が何故、島原を
恨んでいるのか、彼が何を企んでいるのかが伏せられているので、
それが次第に明らかになっていく点が良く出来ている。
また、それと平行して、研修医・夕紀が疑問に感じていた父の死に関して
次第に真実が明らかになっていくし、緊迫した手術が進行する中、
犯人を追い求める七尾の動きなどが描かれ、かなり場面転換もはげしく、
様々な思いを抱いた登場人物たちがそれぞれの使命を果たそうとする物語
としては、とても感動的で良く出来た物語である。
ただし、ミステリとしてはあちこち、不満な点も多い。
例えば、看護婦と交際していたり、事前の脅迫などの行動が計画的なのに、
停電を起こし手術を妨害するという復讐方法には無理があると気が付かない、
犯人・穣治の設定には無理がある気がしてならなかった。
また、悪人めいた島原、父を殺したかもしれない医師・西園など、
警察から厄介者扱いされている七尾など、一癖も二癖もありそうな人物も、
犯人・穣治までも、全て善人過ぎて、少し物足りない。
何より、事件の解決を犯人の善意に頼ってしまうように感じられ、
ミステリとしては少々、結末の意外さや面白みに欠くように思えたのが
残念である。

[出版社]新潮社
[初版発行]2006年12月5日
[感想等]
心臓外科医を目指す研修医・氷室夕紀はかつて警察官の父の手術をした医師の
西園に指導を受けている。彼女は西園と母の交際を知っていて、彼の手術で
父が亡くなったことに疑問を抱いている。
彼女の勤める病院に入院し手術を待つ患者の1人に、日本を代表する
アリマ自動車の会長・島原総一郎がいる。彼の会社は以前、欠陥車で
大きな被害を起こしていて、密かに彼を恨む青年・直井穣治は、
何らかの目的を持って病院の看護婦・真瀬望と交際をしている。
穣治の病院への医療ミスを公表しろという脅迫状で動き出す警察官の中に、
夕紀の父の部下だった七尾の姿があった。
七尾は医療ミスに対する脅迫に不審を感じ、島原総一郎の手術への妨害が
有るのではないかと思い付き、捜査方針に逆らい独自に捜査を始める。
彼の推理は当たり、島原の手術を妨害する停電が起こる。危険な状態の中、
西園や夕紀ら手術スタッフ、病院スタッフの努力が続き、七尾は必死で
犯人を追い求めようとする・・・。
最初から、犯人・穣治の行動が描かれているのだが、彼が何故、島原を
恨んでいるのか、彼が何を企んでいるのかが伏せられているので、
それが次第に明らかになっていく点が良く出来ている。
また、それと平行して、研修医・夕紀が疑問に感じていた父の死に関して
次第に真実が明らかになっていくし、緊迫した手術が進行する中、
犯人を追い求める七尾の動きなどが描かれ、かなり場面転換もはげしく、
様々な思いを抱いた登場人物たちがそれぞれの使命を果たそうとする物語
としては、とても感動的で良く出来た物語である。
ただし、ミステリとしてはあちこち、不満な点も多い。
例えば、看護婦と交際していたり、事前の脅迫などの行動が計画的なのに、
停電を起こし手術を妨害するという復讐方法には無理があると気が付かない、
犯人・穣治の設定には無理がある気がしてならなかった。
また、悪人めいた島原、父を殺したかもしれない医師・西園など、
警察から厄介者扱いされている七尾など、一癖も二癖もありそうな人物も、
犯人・穣治までも、全て善人過ぎて、少し物足りない。
何より、事件の解決を犯人の善意に頼ってしまうように感じられ、
ミステリとしては少々、結末の意外さや面白みに欠くように思えたのが
残念である。

2008.04.19 (Sat)
『捜査官ケイト 過去からの挨拶』
[著者]ローリー・キング
[訳者]布施由紀子
[出版社]集英社 集英社文庫
[初版発行]2008年1月25日
[感想等]
陸軍要塞跡で死んでいた被害者フィリップ・ギルバートの自宅を捜索する、
サンフランシスコ市警の捜査官ケイトは、シャーロック・ホームズの世界を
再現したような彼の部屋に驚く。
被害者のフィリップは著名なシャーロック・ホームズの愛好研究家で、
様々なホームズに関わる品をオークションなどで入手したり、売買していて、
シャーロックのファンが当時の服装で集まり食事をするクラブの発起人だった。
その彼は最近、コナン・ドイルの未発表作品を入手していたのだが、
その作中の人物は彼が死んでいた陸軍要塞跡で殺されていたのだ。
彼はその作品のために愛好家仲間に殺されたのだろうか・・・?
真相を追うケイトは、未発表作品を読むのだが、シゲルソンと名乗る
探偵がシスコで起こった殺人事件の真相を突き止めるという筋書きの話が
とても良く出来たホームズ・パスティーシュになっている。
コナン・ドイルがアメリカを訪問していたという事実もあり、
本当にそんな作品が発見されたらと思わせる点などが何よりも良く、
その未発表原稿内で繰り広げられるシャーロック・ホームズの活躍ぶり
や現代のシャーロキアンの事情などはとても興味深かった。
現代と過去の殺人事件の謎解きが楽しめ、盛り沢山な内容であるが、
飽きさせなくて、途中で犯人の察しは付くが、まずまずである。
けれども、ケイトが同性愛者ということでだろうが、未発表原稿も
同性愛絡みの話だったし、ケイトのパートナーとの家庭事情などの話が
多かった点は、あまり好みではなかった。

[訳者]布施由紀子
[出版社]集英社 集英社文庫
[初版発行]2008年1月25日
[感想等]
陸軍要塞跡で死んでいた被害者フィリップ・ギルバートの自宅を捜索する、
サンフランシスコ市警の捜査官ケイトは、シャーロック・ホームズの世界を
再現したような彼の部屋に驚く。
被害者のフィリップは著名なシャーロック・ホームズの愛好研究家で、
様々なホームズに関わる品をオークションなどで入手したり、売買していて、
シャーロックのファンが当時の服装で集まり食事をするクラブの発起人だった。
その彼は最近、コナン・ドイルの未発表作品を入手していたのだが、
その作中の人物は彼が死んでいた陸軍要塞跡で殺されていたのだ。
彼はその作品のために愛好家仲間に殺されたのだろうか・・・?
真相を追うケイトは、未発表作品を読むのだが、シゲルソンと名乗る
探偵がシスコで起こった殺人事件の真相を突き止めるという筋書きの話が
とても良く出来たホームズ・パスティーシュになっている。
コナン・ドイルがアメリカを訪問していたという事実もあり、
本当にそんな作品が発見されたらと思わせる点などが何よりも良く、
その未発表原稿内で繰り広げられるシャーロック・ホームズの活躍ぶり
や現代のシャーロキアンの事情などはとても興味深かった。
現代と過去の殺人事件の謎解きが楽しめ、盛り沢山な内容であるが、
飽きさせなくて、途中で犯人の察しは付くが、まずまずである。
けれども、ケイトが同性愛者ということでだろうが、未発表原稿も
同性愛絡みの話だったし、ケイトのパートナーとの家庭事情などの話が
多かった点は、あまり好みではなかった。

2008.04.13 (Sun)
『シャーロック・ホームズ メアリ女王の個人秘書殺人事件』
[著者]ケイレブ・カー
[訳者]山川美千枝
[出版社]学習研究社
[初版発行]2006年12月12日
[感想等]
1566年、スコットランドのホリルードハウス宮殿で殺された
メアリ女王の個人秘書・ダヴィッド・リッツィオ。
彼は女王の目前で、全身を何十か所も刺されて惨殺されたのだが、
その死をなぞらえるように、300年後、エリザベス女王滞在中の
同じ宮殿で2人の男が全身に傷を負った死体となって発見された。
マイクロフトから依頼を受け、ホームズはワトソンと共に、
殺人事件の調査に向かう。
著者は米国シャーロキアン団体BSI(Baker Street Irregulars)
会員でコナン・ドイル著作権団体のアメリカ代表を務める方だそうで、
正統派のホームズ・パスティーシュという触れ込みの作品である。
私はホームズが歴史的な事件の謎解きをするミステリを
期待していたのだが、その点は期待ハズレだった。
幽霊が殺人を犯すはずが無いと判っている現代の読者には、
結末も犯人も容易に推測出来てしまう点も物足りない。
が、幽霊による復讐殺人と噂されるような出来事の真実を暴く、
ホームズとワトソンの捜査や活躍ぶりはドイルのホームズ物語
の一編だと言われても、違和感の無さそうな物語展開や設定で、
上手く描かれているように感じられた。
また、マイクロフトの仕事ぶりや立場をシャーロキアンらしく、
解釈して描いている点なども、興味深く感じられ、楽しめた。

[訳者]山川美千枝
[出版社]学習研究社
[初版発行]2006年12月12日
[感想等]
1566年、スコットランドのホリルードハウス宮殿で殺された
メアリ女王の個人秘書・ダヴィッド・リッツィオ。
彼は女王の目前で、全身を何十か所も刺されて惨殺されたのだが、
その死をなぞらえるように、300年後、エリザベス女王滞在中の
同じ宮殿で2人の男が全身に傷を負った死体となって発見された。
マイクロフトから依頼を受け、ホームズはワトソンと共に、
殺人事件の調査に向かう。
著者は米国シャーロキアン団体BSI(Baker Street Irregulars)
会員でコナン・ドイル著作権団体のアメリカ代表を務める方だそうで、
正統派のホームズ・パスティーシュという触れ込みの作品である。
私はホームズが歴史的な事件の謎解きをするミステリを
期待していたのだが、その点は期待ハズレだった。
幽霊が殺人を犯すはずが無いと判っている現代の読者には、
結末も犯人も容易に推測出来てしまう点も物足りない。
が、幽霊による復讐殺人と噂されるような出来事の真実を暴く、
ホームズとワトソンの捜査や活躍ぶりはドイルのホームズ物語
の一編だと言われても、違和感の無さそうな物語展開や設定で、
上手く描かれているように感じられた。
また、マイクロフトの仕事ぶりや立場をシャーロキアンらしく、
解釈して描いている点なども、興味深く感じられ、楽しめた。

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