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2007.01.06 (Sat)

『邪馬台国の謎と逆転日本列島』

[著者]飛鳥昭雄・三神たける
[出版社]学習研究社 ムー・スーパー・ミステリー・ブックス
[初版発行]2002年7月15日

[感想等]
 唯一の史料『魏志倭人伝』の記述をめぐって、
これまで幾多の論争が繰り返されてきた邪馬台国。
 方位か距離の記述が間違っているとされてきた従来の説に対し、
3世紀の日本列島が九州を北に、90度回転していたという説で
その所在地を明らかにする著作。

 『魏志倭人伝』の方位や距離をそのまま鵜呑みにすると、
邪馬台国が現在の日本には無かったことになってしまう。
 そのため、従来の学説は方位や距離の間違いを修正して、
日本の中に所在地を見つけようとしているという指摘や、
プレートなどの動きや、過去の地質の変動に目をつけて、
昔の日本列島は向きが違っていたと考えるべきだというのは
とても鋭くて目新しく面白い。
 また、従来の邪馬台国の所在地をめぐる説
をまとめてある部分はとても判りやすく、良く出来ている。

 が、いかんせん、謎の秘密組織を通じて、
匿名のアメリカの学者から入手したという
古い日本の地図を元にして、裏付けしている点などが、
胡散臭く、眉唾物という感じのある著作である。
 説としては面白くはあるが、信じられないという気持ち
になってしまう点が、残念である。
 また、日本列島が90度回転していたと考えるのは、
従来通りの方位の記載が間違っていたという考え方と
結果的には大差ないのではないだろうか。


邪馬台国の謎と逆転日本列島

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2006.11.15 (Wed)

『チョコ猫で町は大騒ぎ』

[著者]ジョアンナ・カール
[訳者]岩田佳代子
[出版社]ソニー・マガジンズ ヴィレッジブックス
[初版発行]2005年5月20日

[感想等]
 リーは夫と離婚し、伯母・ジャネット(ネッティ)を頼り、
テキサスからミシガン湖畔の小さな町ワーナー・ピアに越してきた。
 伯母が経営するこだわりのチョコレート・ショップを手伝っている彼女が
伯母特製のチョコを配達した先の、大物弁護士・クレメンタインが
伯母のチョコを食べて即死してしまう。
 死因はチョコに入っていた青酸カリだった。
 そこで、リーはチョコの無実を証明しようとするのだが・・・。

 証拠品らしい手袋を何気なく持って帰って忘れていたり、
言葉の言い間違えの多いおっちょこちょいの主人公・リーに
いらいらさせられるのだが、なかなか楽しめるコメディである。
 クレメンタインの元夫・ジョーがかつての町のスター的男性で
その彼とのロマンス的な部分も、まあ楽しめる。
 が、肝心の殺人犯とその動機などは、途中で察しが付いてしまい、
ミステリとしてはちょっと期待ハズレであった。
 軽く楽しいミステリ、ロマンス好きにはお勧めかもしれないが・・・。


チョコ猫で町は大騒ぎ

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2006.11.04 (Sat)

『陽気な幽霊 伊集院大介の観光案内』

[著者]栗本薫
[出版社]講談社 
[初版発行]2005年5月30日

[感想等]
 旧知の新聞記者・伊庭緑郎(いばろくろう)の口車にのるような形で、
「名探偵とゆく京都ミステリーツアー」のゲストになった伊集院大介。
 京都未体験のアトムくんこと滝沢稔と参加してみると忙しい観光旅行で、
やっとラストでメインのミステリーイベント開催地の千松寺に着いた時、
旅行会社の仕込みとは思えぬリアルな事件が続発する。
 伊庭は姿を消し、病気で倒れる老人、不倫カップルの失踪など、
どこまでが仕込みか現実かと、うろたえ始めるアトムくんや参加者達。
 慌てもせずに、嫌そうに距離を置く風だった伊集院大介が、
そんな中でついに動くのだが・・・。

 ネタばれになってしまうのだが・・・。
 京都を舞台にし、何かいわく因縁ありげな怪しいお寺で、
ミステリーツアーという形で嘘の犯罪が繰り広げられるうちに、
何かとんでもない実際の難解な犯罪事件が起こってしまい、
それを伊集院大介が見事に解き明かす作品なのではないかという
期待を抱いていた。
 が、見事に裏切られてしまったような、ミステリとも言い難い
お遊びっぽい作品でがっかりしてしまった。
 伊集院大介が最後の方でツアー関係者の犯罪を事前に止め、
推理らしいものを展開するのがこの作品の狙いなのかもしれないが、
それも、なんとなく唐突という感じが否めなかったし、
別に伊集院大介を出さなくても良い作品のような気がした。


陽気な幽霊 伊集院大介の観光案内


<My Blog関連記事>『女郎蜘蛛 伊集院大介と幻の友禅』


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2006.08.20 (Sun)

『フィニイ128のひみつ』

[著者]紺野あきちか
[出版社]早川書房 ハヤカワSFシリーズ Jコレクション
[初版発行]2003年7月20日

[感想等]
 亡くなった叔父が遺したことば「フィニイ128のひみつ」の謎を追う
主人公の「わたし」は全世界で展開するノンヴァーチャル・ライヴRPG、
『W&W』へ参加することになる。
 『W&W』は剣と魔法にタイムトラベルと様々な要素を詰め込み、
様々な派閥が存し、相争う壮大なる“ごっこ遊び”であった。
 その中で「光の戦士」となった「わたし」は
「フィニイ128のひみつ」の謎を探しながらも、
混沌とした虚構世界の危機を救っていくことになる。

 PCやネット上のゲームが現実の建物を空間として
世界のあちこちで繰り広げられているという設定や、
主人公が次第にゲームに熱中していく様子が面白いものの、
RPGやゲーム世界のお約束的なものを理解し興味がないと、
話についていけないストーリー展開でああろう。
 また、ラストの第三部がゲームブックのようになったのには、
読み進むのに面倒で、興味を削がれてしまったし、
結局、「フィニイ128のひみつ」という言葉は
何を意味していたのか、良く判らずに終わってしまい、
少々がっかりであった。


フィニイ128のひみつ

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2006.08.12 (Sat)

『火蛾(ひが)』

[著者]古泉迦十(こいずみかじゅう)
[出版社]講談社 講談社ノベルス
[初版発行]2000年9月5日

[感想等]
 イスラム教を題材にしたミステリー。
 12世紀の中東。聖者たちの伝記録編纂を志す作家・ファリードは、
取材のため、アリーと名乗る男を訪ねる。
 アリーが語ったのは自らの経験らしい、
姿を見せぬ導師と四人の修行者たちだけが住まう山で
修行者各々が独居している閉ざされた穹廬
(きゅうろ:テント)中で起きた殺人だった。

 舞台がイスラム教の世界というだけでなく、
謎の解決にも宗教が関わってくるので、
イスラム教や様々な宗教に関心がある人には、
一風変わった面白いミステリーと感じるだろうし、
求道的な雰囲気に良さを感じたり出来るのだろう。
 が、私はあまり興味を持てないまま、
イスラム教の宗派など、宗教の説明に翻弄され、
すっかり煙に巻かれてしまった感じになり、楽しめなかった。


火蛾

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2006.08.05 (Sat)

『水の中のふたつの月』

[著者]乃南アサ
[出版社]文藝春秋 文春文庫
[初版発行]2003年11月10日

[感想等]
 スケジュール帳を一杯にして忙しがるOL亜理子、
頻繁に手を洗わないといられない梨紗、
見栄っぱりで嘘ばかりつく恵美というのが現在の姿の、
小学生の時の仲良し3人組が十数年ぶりに再会した。
 3人が交わした秘密の「約束」とは何なのか。
封印していた過去が少しずつ掘り起こされ、
現在の1人の男・哲士を巡る駆け引きから、
また、新しい秘密が生まれていく。

 最初は、久しぶりに会ったかつての友達同士が、
子供の頃を懐かしんでいるうちに、
忘れていた事件を思い出し、その謎解きがなされるという
良くある類の話かなと思っていたら、
3人の女性たちが現在も1人の男を巡り、
子供の頃と同じような罪を犯し、秘密を共有してしまうという
反省も進歩も無い姿に恐しさを覚えさせられるような作品であった。
 こういう友情関係は決して持ちたくないものだと思ったし、
犯罪以外の行動でも道徳的に許せない部分が多く、
彼女らの誰にも共感を覚えたり同情が出来なかった。

 話の展開としては、現在の部分は判り易いのだが、
回想シーンになると、出てくる少女が誰なのかが判り難く、
混乱を誘うような技巧なのかもしれないが、
すっきりしなくて、いらいらさせられた。

 何よりも、エピローグの終わり方、
誰も罰を受けることが無く、彼女らの関係が続いて、
また何かやりそうな雰囲気を感じさせる終わり方に至っては、
がっかりしてしまった。


水の中のふたつの月

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2006.08.02 (Wed)

『女郎蜘蛛 伊集院大介と幻の友禅』

[著者]栗本薫
[出版社]講談社
[初版発行]2005年12月20日

[感想等]
 銀座で見かけた妖艶な和服美人・友納比紗子の後を付けたことから、
伊集院大介は「幻の友禅」を巡る事件に巻き込まれてしまう。
 「幻の友禅」を探すため、アンティーク着物や呉服業界を調べ始めた
大介の前に殺人、着物作家兄弟の相克、執拗な着物コレクターなど
変わった人々や奇妙な出来事が繰り広げられていく。
 
 呉服業界という伊集院大介にとって未知の世界での事件という点に
興味を持って読み始めたものの、舞台は変わっていても、いつもの、
才能や美に秀でた人の驕りや素晴らしい人への賛美ばかり描いていて、
美に欠く人々などに冷たい点が腹立たしく感じるような作品で、
途中で殺人事件の犯人等も判ってしまったし、
すっきり解決しないような結末にがっかりした。

 また、些細な点だが、冒頭で伊集院大介が友納比紗子の後を追い、
入り込んでしまうことになった呉服展示会に、
たまたま松之原カオルが居たりする安易さにはがっかりし、
それでいて彼女が事件解決に活躍しない展開にも失望した。


女郎蜘蛛 伊集院大介と幻の友禅


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